足中草履

(図61)足中草履
足中草履とて川漁や舟仕事で川へ入る時など、水切りが良くて足が輕いので履いてゐる人を見かけた。横鼻緒から後が殆どなし、即ち足半ばなるが故の名称か、特に足中をよく履いてゐた山口の音松爺さんの□□が強い。

 

 

 

 

炭俵(ダツ)作り


(図62)炭俵(ダツ)作り
材料-大萱、細縄、板(札木)
槌の子の一端を少々割って、縄の巻き始めを止めている。槌の子は、縄の両端に八個付けている。1を編んで3を編む。そして萱を折り返して4を編み、次に2を編む。母は非常な仕事達者であったが、一切の準備をして、只編む一方で、1日14枚が最高だったと云ふ。萱は、初冬枯れてから刈り取り保存し置き、雨、雪の日を利して作る。縄は殆ど晩仕事に手ないで作った。札木は、父や自分が作ってゐた。

木馬道の通学


(図63)木馬道の通学
通学路は木馬道(牛曳き)なれば、図の如く盤木が並べてあった。わしが尋常5、6年當時の通学途中には、こんな危険があった。即ち、雨天には自家製の下駄をはいて行く。心得てはいても、ふとこの盤木にのぼると、下駄のハマを踏み込んで外れぬため、牛の糞混じりの泥中へぶっ倒れた。また、二人並んで歩いているとき、一人が盤木の端を踏むと片方が跳ね上がり、それに足を取られて倒れる。教科書を風呂敷に包んで背負ひ、南口と云ふ両端を絞る様になった弁当入れをかけてゐた。

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