(二) 動詞の十津川言葉

 

(1)動詞の正しいつかい方と種類

事物の動作や存在を表す言葉を動詞という。今登るという動作を表わす言葉についてそのつかい方をしらべてみると

山を登らない
山を登ります
山を登る
山を登れ
山を登ろ

というようになる。これをみると「のぼ」という変化しない部分と「ら、り、る、れ、ろ」と変化する部分とからなっている。この変化しない部分を語幹といい、変化する部分を活用語尾という。
この活用語尾がどんな言葉に連なっていくかによって動詞は六種の形に分かれる。

種類 連なる言葉 例一 例二
未然形 ない、よう、う、に連なる 登らない 起きよう
登ろう
連用形 ます、た、だ、に連なる 登ります 登った
読んだ
終止形 言いきる 登る  
連体形 名詞(とき、こと)に連なる 登るとき 登ること
仮定形 ば、ども、に連なる 登れば 登れども
命令形 命令の意味で言いきる 登れ  

 

次に動詞は語尾の活用のしかたによって五種類に分かれる。

(イ)五段活用の動詞

活用語尾が五十音図のア、イ、ウ、エ、オ、の五段にわたる動詞

(ロ)下一段活用の動詞

活用語尾が五十音図のエ段と、それにる、れ、ろ、よ、のつく動詞

(ハ)上一段活用の動詞

活用語尾が五十音図のイ段と、それにる、れ、ろ、よのつく動詞

(ニ)カ行変格活用の動詞

活用語尾が五十音図のカ行のイ、ウ、オの三段と、ウ段にる、れ、オ段にいのつく動詞で「来る」一語だけである。

(ホ)サ行変格活用の動詞

活用語尾が五十音図のサ行のア、イ、ウ、エの四段にわたり、ウ段にる、れ、命令形にろ、よのつく動詞で「する」が一語あるだけである。然し勉強する、運動する等他の語と合して多くの複合動詞をつくることができる。

次に動詞の種類と活用の形について示す。

動詞 語幹 未然 連用 終止 連体 仮定 命令
ない、よう、う、に続く ます、た、だ、に続く 言いきる 時、こと、に続く ば、ども、に続く 言いきる
五段活用 読む

飛ぶ

払う はら

下一段活用 流れる なが

れる れる れれ れよ
れろ
投げる

げる げる げれ げよ
げろ
考える かんが

える える えれ えよ
えろ
上一段活用 起きる

きる きる きれ きよ
きろ
見る

みる みる みれ みよ
みろ
着る

きる きる きれ きよ
きろ
カ変 来る

くる くる くれ こい
サ変 する


する する すれ しろ
せよ