(一) 名詞の十津川言葉

 

(1)普通名詞の十津川言葉

(E)その他普通名詞の方言

方言 説明
・あい 平常、ふだん
・あいさ 間、あいま
・あおぐも 青空
・あき(麦秋など言う) 作物の収穫時
・あく(煙草のあく)
・あげら 川のふち
・あしもと 脱穀の時足元に落ちた籾を云う
・あて 立木の日の当る方の側
・あて
・うけ口
木を倒す時倒れる方向に深く切りこんだ切口
・いなびかり いなづま
・いぬふさぎ 床下に入られないようにした板
・くら 岩石のきりたった所
・いわまつ いわひば
・いんがごし どうにでもなれといった態度
・うかれぶし
・おかれぶし
浪花節(今の浪曲)
・うそっぱち うそ
・うちがい 財布、弁当其の他いろいろなものを入れる袋
・うちら 内側
・うと
・うろ
空洞
・うぶやしない 出産祝
・うるか 魚の臓腑
・うとっぽ 空洞になったもの
低能な人
・うね
尾根
・えいよう ぜいたく
・えこひき えこひいき
・えそ
・えだ 獣の四肢
・ちぎっと 片脚跳
・えて(えてがわるい) 工合
・おい(おいをうつ) 物々交換の時不足分を追加する金
・おいぐち 木を倒す時倒れる方の反対側に入れる切口
・おいこ 物を背負う時使う道具
・おいこみ 鶏小屋
・おいやい 鬼ごっこ
追いつ追われつする事
・おいしらが 追いつ追われつする事
・おおかん 大道
・おおきに 挨拶の言葉(有難う)
・おおけん 凡その見当
・おおつごもり おおつごもり
・おおどう 大胆
・おくびょうたれ おくびょうな人
・おくり 葬式
・おざき 山の丘陵の出鼻
・おさめ 終わり
・おしまい 挨拶の言葉(今晩は)
・おじゃみ お手玉
・おとつい 一昨日
・おと(おともない) 便り
・おとし わな
・おどし かかし
・おはり 裁縫
・おひいさま 太陽
・おびや 産室
・おびやみまい 産婦が生家に居る時に見舞いに行くこと
・おやま 遊女
・おりいろ そらいろ
・おれがい 拙宅
・おろ 牛が小屋から出られないようにした棒
・かかり 手はじめ
・かがり 煤煙[ばいえん]
・かかりあい 関係
・かぐら 物をひきよせるために引綱をまく装置
・がけくら 断崖
・かげら 日影
・かざ におい
・がさ
・がさり
・がさつき
落ち着きのない人
・かざりなわ しめなわ
・かしま 裏返しになること
・かしき 炊事夫
・かたいっこう 頑固
・かたぎ 質のかたい木
・かたちんば 対の物が揃わないこと
・かたつら 片方
片側
・かち 徒歩
・かて(机のかて) ふち
・かどた 家のすぐ側の田
・かなぎ 質の堅い木
・かなくそ 金を鍛える時できる焼き金
・かび わらを束ね布をしんにした蚊やり、(ぶよよけ)
・かまいったち 小旋風
・かまえ(家のかまえ) 構造
・かみこと 小言
ひにく
・かみそ 楮[こうぞ]の皮
・かも 筏の一床
・から 植物の茎
・からっぽ 空になっていること
・がらくた 役に立たない廃品
・からくり 工面
・からけし 消し炭
・からす よく物を忘れる人
・がらんど 空になっている所
・かりかわ 木材をばら流しすること
・かりば 草刈場
・かりわけ 収穫物を地主と小作人が折半すること
・かるこ
・ころ
木に上る時使う道具
・かわながれ 溺死体
・かわらぎ 河原の流木
・がん(これはがんだ) むつかしいこと
・かんから 空罐
・かんこ 寒に生える椎茸
・かんちめし 炊きそこねた御飯
・がんばこ ひつぎ
・き(きがいい) 気分
気持
・きうま 木材を運ぶそり
・きご 澱粉
・きさんじ
・きさく
気持のさっぱりしていること
・きしな 家の裏側
・きしょく 気持
・きじり 流材の後端
木炭の炭化していないこぐち
・きずい わがまま
・きずき 楮[こうぞ]ですいた紙
・きせるざお 羅字
・きままたれ きままを云う人
・きんのう
・きんにょう
昨日
・きばな 流材の先端
・きまえ きだて
・きよし お人よし
・きりあし 霧の下方
・きりこ 木材をきる人
・きりょう人 美人
八方美人
・ぎょうさん
・おおか
沢山
・ぐ(ぐがかかる) 労力
・くえ 崩壊地
・くぐつ 小鳥をとるわな
・くじ 訴訟
・くそいじ 強情
・くそかき泳ぎ 犬泳ぎ
・くそったれ
・くそっぽう
つまらない人
・くだし 山から薪など下ろすために溝をつくった所
・くだ流し 木材をばらで流すこと
・くだり(知らんくだりを言うな) すじ
・くち(くちをかける) 言葉
・くちぐるま 人を誘いこむために上手を言うこと
・くちだき すみがまに火をつけること
・くちなめ へびが舌を出すこと
・くちへんじ くちごたえ
・くちよせ みこに死人をみてもらうこと
・くぼたまり くぼ地
・くも 天、空
・くもえ
・ぐもえ
くもの巣
・くもすき 山頂
・ぐやく 部落などで共同施設をする時の労役
・くらっぱち 断崖
・ぐる 共謀
草木の茂った所
・くれ 桶をつくる板
・くろくわ 土方
・くらたま湯 煮え湯
・げすいた 風呂の底板
・けたい
・けたいくそ
気持
縁起
・けたぼ かもじ(入れ髪)
・けち(けちをつける) 欠点
不吉
・けち
・けちんぼ
りんしょく
・けつ 最下等
びり
・けば
・けぶらい そぶり
・けぶるい 日の細かいふるい
・げん 効果
縁起 
・げんくそ 縁起
・こいさ 今夜
・ごうたれ 強情な人
腹立ち
・ごうら
・ごうらぼうし
かっぱ
・ごた ごみ
・こち 東風
・こっぱ 木片
・こっぽね 物ごとにこり固まった人 
・こつもごり こつごもり
・こないだ この間
先日
・このじゅう この頃
・こわ 木材から板をとった屑
・ごやさって 五日目の日
・ころ 重い物を動かす時下に当ててころがす木
・こんきゅう ききん
・さか(子ざか、いねのさか) 成育ぶり
・さかっとう
・さかとんぼ
さかさま
・さかめ 酒で狂っておこること
・さきおととし
・さけおととし
一昨昨年
・さく(上さく) 作物のできばえ
・さくとく 地主のもらう年貢米
・さきおとつい
・さけおとつい
一昨昨日
・さこ 両山の間の窪地(谷)
・さるくそ結び 逆の結び方
・しあさって
・しやさって
四日目の日
・じげ 在所
・しけ 暴風雨
・ししがき 猪の害を防ぐ垣
・ししよう 神主
・しもおれ 朝のよい天気がくずれること
・じゃみ 細かいもの
・しりくりあげ しりはしょり
・しょしゃ ふるまい
しょうことなしにすること
・しょて 先頃
始め
・しょんがつ 正月
・しらぼたえ たわむれさわぐこと
・しりの下 家屋
・しんどう(きびのしんどう) しん
・すか あてがはずれること
・すばる 山の両岡の集まった所
・すら 山から木材を出すしかけ
・すりび
・するび
マッチ
・せい(君のせい) ため
・せい 威勢
張りあい
・せいた 丸太から板をとった残
・せき(谷のせき) 谷の奥
・せこ
狩の時追う人
・せと 谷のせまいところ
・せんばし 木材業者
・そう(そうがわるい) 様子
・そぎ 屋根をふく薄い板
・その(菜ぞの) 主作物でないものをつくる畑
・そま きこり
・たあら 平地
・たお
・たわ
山中の窪地
・だつ すすきの穂でつくった木炭を入れる俵
・たのもと
・たなもと
食事の後始末すること
炊事
流し場にも用う
・だめ(だめをせよ) 物を大切に直しておくこと
・だんなし 財産家
・ちょぼ
・つづくり 修繕
・つちころび 分水嶺
・つちだ
・つちべた
地面
・つろく つりあい
調和
・でこ 人形
・であい 谷川の合流点
・てっぽう水 一時に流出する洪水
・てま(てまにする) 労働交換
・てんごう いたづら
・てんごうのかわ たわむれ
・てんぐるま 肩車
・とい
・とうや 祭の座
・どくり 小言
毒舌
・とうしみ とうしん
・どしょうぼね 根生
・とっぱな 先端
最初
・どば 木材を山からおろしておくところ
・とり 終わり
・どろだんご どろまみれ
・とんがり 頂上
・どろべた ぬかるみ
・どんぶくろ まん中
・とんぼ 先端
頂上
・なからび かく日
・ぬた 猪が身をこする泥沼
・ぬるみ 淀み
・ねき(机のねき)
・ねんしや ものごとに念を入れる人
・のう 能率
調子
工合
・のうしろ 苗代
・のて 猪や鹿の通る道
・ばくろう 牛を商売にする人
・はな
・はなた

先端
・はながら 神仏に供える米
・はま 下駄のは
・はみ
魚が餌を食んだ跡
・ひ(ひがかかる)
・ひかっぱ よく乾いたもの
・ひじ 道の曲り角
・ひったて 傾斜の急な土地
・ひづ 欠点
・ひなか 日中
・ひね(ひね米) 年を経ているもの
・ひろみ 広場
都会
・ひようつり 小言
ものごとの可否を言うこと
・ふし(○○ぶし) 流儀
・ぶとう(山ぶとう) 支配人
・ふゆとし 旧年
・ふんづまり 行きづまり
・へきり 区切り
仕切り
・へげ
・へんげ
うそ
・べらさつ 紙幣
・へら(向うべら) 側[がわ]
・へり はし
・ほうびき とばくの一種
・ぼくっとう
・ぼさ(ぼさわら) そだ
・ぼた 推茸の母木
・ほぼ
先端
・ほんま 本当
・まいまい 旋回
・まえど 先日
・まち 猪の通る道
・まぶ 草の生えている畦畔
・まみ 樹木の日の当らない方
・まわり 準備
・みと 川の中央部
・むかわり 一周忌
・むね
・めが 筏をつくる時いかだからみを通す切込み
・めど 見込み
・めっそう 目分量
・もえくべ もえさし
・や 木を伐る時使う楔
・やうつり
・やどがえ
転宅
・やまこたぎ
・まやこたぎ
外でおとなしくして家でやかましく云う人
・やえん 針金を伝って物や人を運ぶ装置
・ゆわたり 引越し
・ゆんべ
・よんべ
昨夜
・よいろ(よいろみる) 様子
・ようがた
・ようさがた
夕方
・ようさ
・よおけ 沢山
・よおだち 夕立
・よおなべ よなべ
・ようやけ 夕焼
・よとぎ お通夜
・よばい 夜相手の寝所に這い入り情を通ずること
・よばいし
・よばいど
よばいをする人
・よろ 小枝のまき
・らくさげ 安楽さ
・りん 木材をつむ時の枕木
木材を伐採した積木
・りん代 木材の伐採賃
・ろく(ろくにすわってください) 平坐
・ろく(ろくなことせない) 正しいこと
・わざ(水神さまがわざしている) たたり
・わだ 窪地
・わりき
・わるき
割った木
・わるいき ものごとがわるい方へむかうこと
・わるさ いたづら
・わんがい 拙宅
・ごんごら穴 ほら穴