(二) 動詞の十津川言葉

 

(2)動詞の未然形の十津川言葉

十津川に於ては動詞の未然形が、よう、に連続する時語尾を変化させる。

(イ)下一段活用の動詞の場合

下一段活用の動詞に於ては、例えば「流れよう」という時、「れ」を発音せず「りょう」となる。
ローマ字で書いてみると nagareyo が ngaryo となり e が脱落する。
尚十津川に於てこの動詞を五段活用の動詞のように語幹の次に「ろ」を入れて「う」に連続させる。

例)
考えよう  かんがよう  かんがえろう
比べよう  くらびょう  くらべろう
混ぜよう  まじよう   まぜろう
載せよう  のしよう   のせろう
越えよう  こよう    こえろう
投げよう  なぎよう   なげろう
読めよう  よみょう   よめろう
払えよう  はらよう   はらえろう

(ロ)上一段活用の動詞の場合

上一段活用の動詞の未然形に於ては「よう」と云わない。例えば「起きよう」という言葉は「おきゅう」という。ローマ字で書いてみると okiyo が okyu となり i が脱落し、o が u に変化する。
尚十津川に於ては語幹の次に「ろ」を入れて「う」に連続させる。

例)
起きよう  起きゅう  起きろう
見よう   みゅう   みろう
着よう   きゅう   きろう
伸びよう  のびゅう  のびろう
浴びよう  あびゅう  あびろう

(ハ)カ行変格活用の動詞の場合

この動詞の未然形に於ては「こよう」というのが正しい。然し十津川では「こう」と「う」に連続させる。
中には連用形「き」に「よう」を続けて「きよう」という人もある。

(ニ)サ行変格活用の動詞の場合

この動詞の未然形に於ては「しよう」というのが正しい。
然し十津川では「しょー」と「し」と「よ」がはっきり発音しない。
ローマ字で書くと siyo が syo となり i が脱落する。

例)
勉強しよう  勉強しょー
運動しよう  運動しょー