「ユ」

ユー
(柚子)
〔植・食〕柚子[ゆず]。ユベシ(ユウベシ)や食酢として使う。
ユーノキ
(柚の木)
〔植〕柚子[ゆず]。ユベシが名物。実はユー。
ユアミ
(湯浴)
〔名〕(乳児を)お湯に入れること(田戸)。
ユイソ 〔農〕稲や草、薪などを束ねて負う縄の類。オイソとも。
ユイニ 〔村・労〕田植え、畑打ち、草苅り、ホシカイモ作りなどの際の無償労働交換を昔はこう言った。テマ、テッタイともいった。「ユイニする」(旭)。
ユイワラボウキ
(結い藁箒)
〔住〕藁を結って作った箒。
ユウ
(言う)
①〔他〕非難することにも使う。「人にユワレル」(非難される)(杉清)。 ②〔自〕蝉などが「鳴く」ことにもいう。「ヒグラシがユイソメルと夕飯炊かんならん」(五百瀬)。
ユウケ 〔形〕気の豊かな。呑気な。「あのシはユウケな人じゃ」。
ユウゴ 〔農〕ユウガオ。その実を乾かして刳り抜き、タネモノイレ(種物入れ)などに使う(竹筒)。
ユウセンギカ
(言う詮議か)
〔言〕そんなこと言うどころか。とんでもない。ユウセギカともいう。
ユウタランジュ 〔言〕言ってやりなさいよ(竹筒)。
ユウメシ
(夕飯)
〔食〕夕食(上湯川・出谷・五百瀬)。
ユカ
(床)
〔住〕→ユカドコ(田戸)。
ユガク 〔他〕茹でる。ウデル。南部では用いず。
ユカドコ 〔住〕急傾斜地で家や小屋を建てる敷地の足りぬ所では、前庭(カド)は勿論、床[ゆか]までタナ(張り出し)にして、その上に土を盛ったりして建てる。これをユカドコまたはユカと呼び、その下は往々物置に利用される(田戸)。
ユカン
(湯潅)
〔葬〕棺に遺骸を納める前に、湯で拭き清めること。神道の村でありながら仏葬の形式が残っているのである。
ユキアメ
(雪雨)
〔天〕霙[みぞれ]のこと(那知合)。
ユキナオシ
(行き直し)
〔婚〕足入れ。出谷では話だけ開いている。
ユキノシタ 〔植〕子供のひきつけの薬になる(神山)。
ユキムシ
(雪虫)
〔動〕冬前になると飛び出す虫。この虫が出ればイノコが来たと言い、この虫をイノコムシとも呼んだ(旭字迫)。
ユスギ ①〔住〕篭の一種。 ②〔名〕素洗い。野菜や衣類を洗うことに使う。すすぎ。動詞は、ユスグ。すすぐこと。
ユタイ 〔形・地〕河水の停滞している状態。
ユダラ 〔産〕産湯の盥[たらい](内原)。
ユツボ
(湯壺)
①〔葬〕湯潅[ゆかん]の湯は、床下にユツボを掘って棄てる(上湯川)。 ②〔産〕アトザン(胞衣)(ノチモノ、エナ)を始め、出産による汚れを洗った湯は一切、特に作ったユツボに入れた。方角を見て家の隅のウスヤやナヤの土間に径2尺くらいの穴を掘り、使わぬ時は犬などに踏まれぬように蓋をしておく。これを一番先に踏んだものを、その子が特にこわがるようになるという(谷垣内・東中)。 →ノチモノ
ユネコ
(湯猫)
〔住〕ゆたんぽ(小原・武蔵)。
ユノハラ ヌストエ コイ コジキ 〔言・村〕湯之原盗人に小井乞食。近隣への悪口言葉。
ユハイ
(位牌)
〔葬〕位牌。ホトケサマともいう。但し廃佛後は作られない。
ユベシ
(柚餅子)
〔食〕十津川のチーズともいわれる。晩秋、柚子の実をとってヘタ(あとで蓋に使用する)の部分を切り取って中身をくり抜き、中へ地味噌を中心にしてさまざまな具を入れ、ヘタを蓋にして蒸す。これをワラシベで幾つも包んで軒下に吊るし寒風にさらす。中に入れる具も家庭によって違い、従って家庭によって味も違ったものになった。今では十津川の風物詩となったが、泊山(トマリヤマ)などへの備蓄食料の一つだったのだろう。
ユマキ
(湯巻き)
〔衣〕腰巻。昔はフンドシともいった(谷垣内)。
ユミカグラ
(弓神楽)
〔信〕玉置神社で行われる古式の神楽(玉置川)。
ユミノマトイリ
(弓の的射り)
〔年〕正月5日、引継ぎを終わった前組頭(小字長)の家の庭で、クミ(小字)の男子全部がやる。中たれば出世するという(串崎・上葛川)。 →ヤビラキ
ユミハジメ
(弓始め)
〔年〕もとは正月2日。ヤビラキともいう(上湯川寺垣内)。
ユメ
(夢)
〔占〕
ユメダツ
(夢立つ)
〔俗〕夢枕に立つ。夢の中でお告げがある(三浦)。
ユモギ 〔植〕蓬(ヨモギ)(小坪瀬)。 →ヨモギ
ユリ
(百合)
〔植〕ユリといえば一般にはオニユリ。カノコユリはカノコユリ(那知合)。
ユリドメ
(揺止め)
〔林〕スラの揺れを防ぐために斜めに支えるホウシ。オイボウシともいう(田戸)。 →オイボウシ
ユル
(淘る)
〔他〕紙漉きの作業の一つ(谷垣内)。
ユルリ 〔住〕囲炉裏。今は殆ど姿を消した。ザ(座)の名称については各項参照。
ユワタリ
(家渡り)
〔住〕新築への引っ越し。 →ヤウツリ、イワタリ
ユンベ 〔時〕昨夜。ヨンベとも。