ドー |
〔地〕本流から分かれている細い支流。ゴトともいう。 |
トード |
〔農・労〕田人。田植えの協力者(早乙女)もハタウチの連れもこう呼ぶ。イー(結い)で行き来する(谷瀬)。 →トードウチ |
トードウチ
(田人内) |
〔農〕イー(結い)で何人も一緒に行うハタウチ(谷瀬)。 →トード。 |
ドーバト、ドバト
(土鳩?) |
〔動〕キジバト。畑を荒らして困る(西中)。 |
トイシ
(砥石) |
〔林〕砥石を跨[また]ぐと割れる(田戸)。 |
ドイブチ |
〔住〕ユルリの縁(西川筋・田戸)。 |
トイマクラ
(樋枕) |
〔農〕 |
トイホリヨキ
(樋掘り斧) |
〔林〕 |
トイヤ |
〔交〕 |
ドイレ |
〔筏〕カリカワの時、初めて材木を川へ落とし込むこと。 |
トウ |
①〔社・村・名〕寄り合って飲むこと(上湯川)。 ②〔信〕トウヤ(上葛川) ③(塔)〔信・地〕孤立して屹立[きつりつ]する巨岩。上葛川の塔御前神社参照。川上村の大塔さん、下北山村のそれに相当するか。 |
ドウ
(堂) |
〔信・村〕「道場」と呼ぶ処も多い。廃された寺院の古材を用いたものもあり、また寺とは別に在った所もある。中には密かに仏像を安置したものも見受けられる。一種の公民館として撃剣[げっけん]の稽古や盆踊りの練習などに用いられた。 |
トウイト |
〔衣〕糸の一種。 |
トウキビ
(唐黍) |
〔農・食〕キビの一種。草丈は長く、穀粒は赤い。ハクにして(精白)蒸して食べ、また粉にして餅(トウキビモチ)にも搗く。脱粒した穂、稈[わら]は箒として利用される。それでホウキグサともいう(内原)。 |
トウキビダンゴ
(唐黍団子) |
〔食〕ウヅキヨウカにホトケサンに径2寸位のトウキビダンゴを供えた。お釈迦さんにという(旭の迫)。 |
トウキビモチ
(唐黍餅) |
〔食〕トウキビの粉を搗いた餅。 |
トウキュウ |
〔植・療〕当帰。トウキとも。 |
トウキン |
〔林・筏〕ヤマオトシ(出材)や流送の際、材木のコグチを傷めないために切り口の巡りを削り落とした切削面。こうすることを「トウキンヲマク」という。特に田戸では、切り口全体をトウキンという。 |
ドウグイレ
(道具入れ) |
〔林〕山仕事の道具一切や弁当を入れる頑丈な篭(内原)。 |
ドウグイレカゴ
(道具入れ篭) |
〔林〕→ドウグイレ |
ドウグマツリ
(道具祭り) |
〔年〕正月にトシトクサンの下の段に道具を並べて、餅、蜜柑などを供えること(宇宮原)。 |
トウザ
(頭座) |
〔信〕山天では、氏神祭りの2軒のトウヤのうち、ヤドをする家のこと。那知合では3軒のトウヤのこと。ザモトともいう。 |
トウシミ |
〔住〕燈芯。 |
トウジン |
〔工〕酒造りの杜氏(永井はか)。 |
ドウジョウ
(道場) |
〔村・信〕ドウ(堂)に同じ。 |
トウス |
〔農〕籾すり臼(玄米にする)。2人でひく。これを更にカラウスで搗いてハクにする(上葛川)。 |
ドウス
(土臼) |
〔農〕昔の籾すり臼(内原)。 |
ドウスイ |
〔食〕雑炊(ぞうすい)の訛り。オジヤ。ナナクサドウスイ。 |
トウダ
(頭田) |
〔信〕頭屋(トウヤ)の入費を助けるためにトウヤに付いて廻る田。ハタ(傍)にユーノキ(柚子)もあった(山天・上葛川・玉置川)。上葛川・玉置川ではミヤダともいった。内原の奥里でもカイト(字)の共有になっている。同栗平・谷垣内・東中にもある。竹筒ではトウデンという。 |
トウダマツリ
(頭田祭) |
〔信〕内原奥里。 |
トウダイ
(燈台) |
〔住〕古鍋などに木の台を取り付け、マツ(コエマツ)をアカシた昔の照明具。金持ちは鍛冶屋に注文して作らせた。トウダイヲタク。トウダイでマツを焚く。 |
ドウチュウガネ
(道中鉄漿) |
〔衣〕携帯用のカネつけ道具一式。 |
トウデン
(頭田) |
〔信〕トウヤ(ミヤトウバン)4人で作り、祭りの甘酒に使った(竹筒)。 →トウダ |
トウドウ |
〔副〕到頭[とうとう]。 |
トウナ |
〔農・食〕葉の大きな菜の一種。タカナ(重里・谷垣内・那知合)。 |
トウナズシ |
〔食〕春、トウナの葉に湯をとおし、酢味噌を塗って、温い麦飯を包んで巻いて食べる。その中に長丈で葱を入れる。チシャの葉を使ってもいい。その場合は湯を通さなくても良い。ヒッパリズシともいう(重里)。 〔注〕一般的には、トウナを塩漬(漬物)し必要に応じて一枚一枚手の平に広げて温かい御飯を包み込む。当然、塩味である。同じ塩味でも、白菜やキャベツに御飯を包んだものは、ツケナヅシという。 |
トウニン
(頭人) |
〔信〕祭りの責任者(上湯川)。祭りのトウヤ。トウヤバンともいう(東中・上葛川)。トウとも。 |
トウノバン
(頭の番) |
〔村〕バン(字)の初寄り合い(正月1日)のヤド。まわりもち(田戸)。 |
トウバ
(塔婆) |
〔葬〕 |
ドウブチ |
〔住〕ソギブキ屋根を抑える棟木。マキを割って並べ石を載せる(上湯川) |
トウマイリ
(塔参り) |
〔年〕お盆の14日の墓参り。先ず大宮さま(氏神)に参り、それからハカサマ(墓様)に参る(竹筒)。 |
ドウマル
(胴丸) |
〔漁〕大型の竹編みの魚篭。紐で手に提げる(小原・武蔵・小井)。小さい腰付け用の魚篭はボウツリ。 |
トウムロ |
〔信〕シモツキトウにトウムロヤシキで行った的矢の親(上葛川)。 |
トウモロコシ |
〔農・食〕高梁。ホーキビともいう(猿飼高森)。玉蜀黍はナンバ、ナンバキビ、フクロキビという。 |
トウヤ
(頭屋) |
〔信〕頭屋。当屋。上湯川の大井谷、入谷のように世襲的にある社祠[しゃし]のトウヤを勤める家もある。那知合では祭を指す。竹筒では庚申講の廻りもちのヤド。旭の迫では持廻りの祭の世話役、ヤド。申崎でも天神さん(玉垣内の川合神社)の祭にトウヤの家でフルマイをした。 |
トウヤバン
(頭屋番) |
〔信〕頭屋。トウニンともいう。2人(東中)。 |
トウヤマツリ
(頭屋祭り) |
〔信〕東中の若一神社、神下下葛川の東雲神社の祭(共に旧暦霜月朔日)。 |
トウヨウボウズ |
〔交〕 |
トウラ |
①〔住〕たわし(藁を切ってつかねたもの)。その形状から転じて、 ②〔名〕玉蜀黍のしん。 |
ドウラク
(道楽) |
〔人〕懶[ものう]け者。不精者。 |
トウワタシ、トウヤワタシ
(頭屋渡し) |
〔信〕トウヤの引継ぎ(山天)。 |
ドエラァ
(ドエライ) |
〔形〕大変な。ひどい。 |
ドエンブチ |
〔住〕ユルリの縁(谷垣内・東中)。ドイブチともいう(西川筋・田戸)。炉縁の訛り。旭の中谷ではロエンブチという。 |
トオケ
(斗桶) |
〔食〕一斗桶。 |
トオシ |
①〔農・食〕粗目の米、麦の糠[ぬか]をふるうための大篩[ふるい]。 ②〔時〕しょっちゅう。 |
トオス |
〔他〕下痢する。 |
トオノ
(遠野) |
〔農〕ノサン(採草地)のうちチカノ(大字共有山)に対していう。草苅り場が主で、個人持ち。クサを苅る権利は山持ちから貸借でき、その権利は一代ごとに更新され(クサカリイチダイ)、苅らねばその権利を取り上げられた(谷瀬)。 |
ドオリ |
〔林〕スラ(修羅)の滑走路の底面を形成。ミトともいう。マクラの上に3本並べる。その両側にヤに沿って4本ずつウチギが置かれてⅤ状の滑走路を造る。トメホコで前にずれるのを防ぐ(田戸)。 |
トオリオ
(通り尾) |
〔地〕長く続く脊稜(宇宮原)。 |
トオリモノ
(通り物) |
〔動・狩〕一匹猪(今西)。 |
トオル
(通る) |
〔自〕……を経過する。「ナエヤク トオラニャ ウエラレン」=「苗厄が過ぎぬと田植えが出来ぬ」。 |
トガ |
〔植〕栂。谷垣内の七本トガは南丈(ナンジョウ)の滝の主の遊び場だった。 |
トカキ
(斗掻き) |
①〔農〕一斗枡(トマス)の表面を均らす円筒状の棒。 ②〔厄〕米寿の内祝いを贈る際、鏡餅やテハンと一緒に贈る。米をちょっと入れて両端を紙玉でふさいだ1~1.1尺位の細竹。①に擬した呼称(旭)。 |
トカケ |
①〔農・交〕一斗枡(トマス)の上を均らす丸棒。トカキともいう。 ②〔産・体〕掌を横切って真っ直ぐなスジ(トカケ)があれば、その子は出世する(宇宮原)。 |
トギ
(伽) |
〔名〕話相手。連れ(高津)。 |
トキヨリ
(時折) |
〔年〕おりめ。もんび(宇宮原)。 |
ドクソ |
〔代〕何処か。「ドクソヘ行ったか知らん」。 |
ドクナガシ
(毒流し) |
〔漁〕単にナガシともいう。 →ナガシ |
ドクリ |
〔名〕不平を言うこと。「ドクリばかり、言うもんでないよ」。動詞はドクル。小言、毒舌。 |
ドクル |
〔自〕独りでぶつぶつ不平を言う。「あんまりドクルなよ」。不平はドクリ。 |
トゲヌキ |
〔体・療〕 |
トコ |
①〔床〕〔地・農〕畑の黒土の下の赤土。 ②〔筏〕筏の一面をいう。並みの筏はサキトコからケツイカダまで13トコで1ハバ(1ノリ)とする。 ③〔筏〕筏を構成する材木の一組。8トコで1ノリ(田戸)。 ④〔筏〕鉄砲堰用語。トコホリ。 |
トコアゲ
(床上げ) |
〔産〕産後の離床。この時までウブヤバシラを置いておく。ウブヤデともいう(今西)。 |
トコウ |
〔他〕悪しざまにいう。「人をトコウものでない」(古・呪う)。 |
トコガキ |
〔筏〕筏用語。 |
トコギリ |
〔副〕徹底的に。飽くまで。「トコギリ反対だ」。ネッコギリとも。 |
トコサン
(床さん) |
〔住〕床の間〔旭・玉置川〕。トコザマ。 |
トコズリ |
〔農〕カラスキの底部。昔はうんと良かったが、太田カラスキが入ってからは短くて使い易くなった(玉置川)。 |
トコダナ |
〔住〕戸棚。 |
ドコトモ
(何処とも) |
〔言〕どこも。どこでも。 |
トコノマ |
〔住〕①床の間。 ②奥の間。 |
トコホリ |
〔林〕鉄砲堰用語。 |
トゴム |
〔自〕沈澱する(澱粉など)。沈む。トゴル。他動詞は、トヨマス。 |
トゴメル |
〔他〕沈める(田戸)。 |
トコロ |
〔植・食〕野老[ところ]。根を掘って食べ、毒流しにも使った(内原・上葛川)。 |
トサヅル
(土佐鶴) |
〔林〕鶴嘴[つるはし]の一種で、金具をつける。これが入ってから、オオヅルが廃[すた]れた(田戸)。 |
トジ |
〔食〕いわゆる「つなぎ」。粘りを増すために添加するもの(玉置川)。 |
トシカミサマ
(年神様) |
〔年・信〕正月神。 |
トシゴイ
(祈年) |
〔年〕節分(カミノトシコシ)(谷垣内・上葛川・竹筒・七色・猿飼)。七色ではトシコシとも。 |
トシコシ
(年越) |
〔年〕節分。 |
トシコシソバ
(年越蕎麦) |
〔年〕オオツモゴの夜12時頃食べた(上葛川)。 |
ドシコム |
〔自〕割り込む。 |
トシダマ
(年玉) |
〔年〕お年玉。 |
トシヅヨ
(年強) |
〔名〕早生まれ。1年のうち前半に生まれたもの。トシヨワの反対。 |
トシトクサマ
(歳徳様) |
〔年・信〕正月様(小坪瀬・谷瀬・宇宮原・重里・旭)。 |
トシトクダナ
(歳徳棚) |
〔年〕正月神を祭るために特設する棚(小坪瀬・重里・旭)。 |
トシトリ
(年取り) |
〔年〕正月様に供えたコウジ(柑子)を食べて年を取る。「やっぱり、コウジ、よけい、すわっとら」(谷垣内)。 |
トジブキ
(綴葺き) |
〔住〕カワを3枚くらい重ねて、ほぼ3枚毎にカワのシリを竹のワレ(割竹)で抑え、金釘でとめる。この竹が腐らぬように次のカワで隠してゆく葺き方。石は置かぬ(田戸・竹筒・玉置川)。カワブキのノキグチ(軒口)が8~10枚の厚葺き。一代では2回葺けば済む(谷垣内)。 |
トシマイリ
(年参り) |
〔信〕昔あった伊勢参りの一つで、戻った人はイセマイリヨロコビとて人を招いて祝宴を張った(今西)。 |
トシヨリザ
(年寄り座) |
〔住〕ユルリのヨコザ(横座)の向かいの座(玉置川)。 |
トシヨワ
(年弱) |
〔体〕おそ生まれ。1年の後半に生まれた者の称。トシヅヨの対語。 |
トシリ |
〔農〕田の水の出口。ミズハキ(今西)。 →ミズシリ |
ドスコイ |
〔形〕スコイ(=ずるい)の強調。 |
トズミソ
(閉味噌) |
〔食・禁〕暦の上でトズ(閉ず)の日には、味噌を造らぬ。「閉ず」は、12直の最後の日(旭)。 |
ドタ |
〔筏〕キバナの乗る小さな1トコの筏。カモともいう。 →カモ |
ドダイ |
〔形〕まるで。大変。非常に。とても。 〔注〕「天気がドダイ悪うて、仕事がはかどりゃぁせん」=「天候が大変悪くて、仕事がはかどりません」 |
ドダイギリ |
〔副〕全然。「ドダイギリ、ワカラン」=「さっぱり判らん」(上葛川)。 |
トダス |
〔他〕物を取り出す。 |
ドタマ |
〔体〕頭の卑語。「ドタマ、カチ割ったろか」(ドもカチも強調の接頭語)。 |
トチ
(栃) |
〔食・植〕救荒食物の一つで、秋に栗に似た実をつける。この実をアワして潰し、穀物に混ぜて食べた。栃餅(トチモチ)は、その名残である。大字玉置川では凶作に備えてトチの木は決して切らなかったという。村内各所には、今でもトチの巨木が在る。 〔注〕なお、玉置川では飢饉の年の主食代用としてトチのことをガシンマイだという。 |
トチノキジョウモン
(栃の木証文) |
〔村・食・植〕凶作時の重要な食料の一つであったトチノキの貸借について触れた証文のこと。 |
トチハカリ
(栃量り) |
〔動〕啄木鳥(キツツキ)。木をつつく音がトチの実を枡へあける音に似ているから、この称がある(西川筋・田戸・上葛川)。但し、同じ西川筋での重里では、ケラ、テラジという。 →テラジ |
トチマナコ |
〔体〕どんぐり目。 |
トチモチ
(栃餅) |
〔食〕→トチ。 |
トチモライ
(土地貰い) |
〔住・信〕 |
トチヤマビキ |
〔動〕蟾蜍[ひきがえる]。またはヒキ(蟇)。老人はヒキッソーという。昔は、補ってよく食べたが、あとでクチズ(口唾)が出て困った(猿飼字高森)。 |
トチワラ |
〔動〕蟾蜍[ひきがえる]。ゴトビキ、ゴトウビキともいう(松柱・玉置川) |
トチワラビキ |
〔動〕ゴトビキ(ゴトヒキ=蟇)のことを昔はこう呼んだ(西川・上葛川・下葛川・高津)。下葛川の小原谷には、トチワラビキの化け物がいた。 |
トツカワノイモザムライ
(十津川の芋侍) |
〔食〕芋が常食だった十津川郷士に対する悪口。 |
トツカワオソロシ
(十津川恐ろし) |
〔村〕クンナカ(現在の奈良盆地)へ行ったら、「十津川恐ろし、五條代官焼打ち」と言われた。天誅組の一味を当時見たからである。 |
ドヅク |
〔他〕打つ。殴る。こつく。「言うことをきかんとドヅクぞ」。 |
トックニ |
①〔時・副〕すでに。もう。「トックの昔に仕事は終わったわよ」。 ②朝トックニ=朝早く(小坪瀬)。 |
トックリバチ
(徳利蜂) |
〔動〕蜂の一種。10月頃、仔を捕って食べる(出谷・今西・宇宮原)。旭ではツチバチとも。 |
トツケモナイ |
〔形〕思いもよらぬ。途方もない。「トツケモナイことを言う奴じゃ」。 |
トッサ |
〔族〕夫。亭主。「うちのトッサ、昨日から帰らんのさ」。 |
トッタカミタカ |
〔副〕のるかそるか。 |
ドッチャマ |
〔動〕蟇[ひき]。蟾蜍[ひきがえる]。老人はゴトヒキと言う(宇宮原・旭)。 |
トッツク |
〔自〕取り憑く。 |
トット |
〔副〕実に。まことに。トットサイとも。 |
ドットコ |
〔林〕ツル(鶴嘴[つるはし])とトビ(鳶口)の中間くらいの力のでる鶴嘴の類。大きな材木を引っ掛けて出す。昭和になって入って来た。 |
トットサー |
〔副〕まことに。非常に。「トットサー、困ったことになってしもうたぞ」。トットサイとも。 |
トットサイ |
〔副〕トットサーに同じ。トットせも。 |
トッパナ |
〔名〕先端。最初。 |
トッポウサク |
〔副〕突然。飄然[ひょうぜん]と。 |
ドテコイ |
〔形〕大きな。 |
ドテライ |
①〔形〕大きい。 ②自分を大きく見せる。衒[てら]う。 |
トト |
〔幼〕魚。 |
トトクイヒゲ |
〔産〕初生児のウブゲを剃る時、前額に少しだけヒゲ(毛)を剃り残す。全部剃れば坊主になってトト(魚)が食われんからだと言う(上湯川)。ビビクヒゲとも言う(谷垣内)。 →オブヒゲ |
トトムシ |
〔動〕アリジゴク(玉置川)。玉置川ではアリクイとも。「トトムシ デテコイ」といって掘り集めて喧嘩させて遊んだ(玉置川)。 |
トナリマワリ
(隣廻り) |
〔婚〕結婚式の翌日、嫁が親戚またはヨメザムライに伴われてクミ内を廻ること。土産は風呂敷、手拭い程度(今西)。 |
ドニヤス |
〔他〕殴る。どやす。ニヤスの強調。 |
ドバ
(土場) |
〔林・筏〕材木の集積、作業基地。筏の場合、アバヅナを張り渡して材木を導入、集積する場所。ドバショともいう。 |
ドバイワイ
(土場祝い) |
〔林〕ドバザケに同じ(宇宮原)。 →ドバザケ |
トバカス |
〔自〕疾走する。 |
ドバザケ
(土場酒) |
〔林〕ドバ仕事の解散で、勘定して一杯やること。キリアゲの祝い。ドバイワイともいう。(字宮原)。 |
トバシ |
〔漁〕毛鈎[けばり]で釣ること。トバシニイコラ(串崎・上葛川)。 |
ドバシゴト
(土場仕事) |
〔林〕ドバに丸太を集め、溜まった材を揚げる仕事。 |
ドバショ
(土場所) |
〔林〕ドバに同じ。 →ドバ |
ドバスル |
〔林〕ドバ仕事を終了する。 |
ドバト
(土鳩) |
〔動〕キジバト(高津・上葛川)。上葛川ではカシバト、ツチクレバトともいう。西中ではドーバトという。 →ツチバト |
ドバビヨウ
(土場日傭) |
〔林〕キンマ運材の場合、ドバまで運び、ドバ専属の人足(ヒヨウ)がその材木を下ろし、下にマクラをあてがって川へマクリコム(転がし込む)のに都合が良いように積む。 |
トビ
(鳶) |
〔林〕鳶口。 |
トビアガリ
(跳び上がり) |
〔名〕剽軽[ひょうきん]者。お転婆。 |
トビキリ
(飛切) |
〔林〕堰出しの組織のヒヨウの中で一番賃の良い階級(田戸)。 |
トビワタリ
(跳び渡り) |
〔地〕跳び渡れるほど谷の両岸が逼っているところ。固有名詞にもある(猿飼字高森)。 |
ドブカリ |
〔地〕?渕。 |
トボシ |
〔住・食〕種油。数十年前までは、みな平谷へ買いに行った。食用の種油もこう呼び、照明用の場合は特にアカシトボシと呼び、食用の方が大分高かった。トボシアブラともいう(谷垣内・上葛川)。トボシはキンマのバンギに塗るためにも必要だった。 |
トボシアブラ |
〔住・食〕トボシに同じ。 |
ドマ |
〔住〕土間。ツチマとも(串崎・那知合)。 |
トマイタ |
〔筏〕鉄砲堰用語。 |
トマエ
(戸前) |
〔筏〕鉄砲堰(テッポウセギ)の流材放出口。トマエグチ。 |
トマエイタ
(戸前板) |
〔筏〕トマエグチを塞ぐ板。ヤを打って、これを外し、材木を一挙に放出する。 |
トマエグチ
(戸前口) |
〔筏〕トマエに同じ。 →トマエ |
トマエヅナ
(戸前綱) |
〔筏〕鉄砲堰用語。 |
トマス
(斗枡) |
〔交〕一斗枡。トガケで均す。 |
トメ |
〔筏〕テッポウセギの部品。棟木。トメホコ。 |
ドメ |
〔地〕沢の行き止まり。 |
トメグサ
(止め草) |
〔農〕最後の、つまり三度目のタノクサトリ(玉置川)。祝いはない。 |
トメホコ
(止め桙) |
〔筏〕スラの上に横に載せ、クサビでずれを止め、ドオリ材が前にずり出るのを防止する(田戸)。 |
トメヤ
(留め矢) |
〔狩〕仕留めの矢。または弾丸。トメヤウツ(西中)。 |
トメル
(留める) |
〔他・狩〕(犬がシシなどに吠えついて)足をとめさせる。 |
トモ
(友) |
①〔農〕ハタウチの際のトモウチの2人組(谷瀬)。 →トモウチ ②〔漁〕鮎のトモカケ(友釣り)の囮[おとり]鮎。 ③〔動〕オオカメ(狼)、ハビ(蝮)などの仲間連れ。群れ。〔例〕-オオトモ=狼の大群。 ④〔体〕アシ(足)のトモ=踵[かかと]。アシノトモ(串崎・那知合・野尻・小川・桑畑・上、下葛川・西中・小山手・小坪瀬)。 |
トモウチ |
〔農〕ハタウチの際、2人ずつに分かれて組んでウツこと。そのうち先頭の組を一バントモ、以下二バントモ、三バントモという(谷瀬)。 |
トモカケ
(友掛け) |
〔漁〕鮎の友釣り。囮[おとり]はトモ(宇宮原・田戸)。 |
ドモッソ
(ウ) |
〔体〕吃[ども]りの人(重里)。「小原ヘンゲ(嘘つき)に、小森ドモッソ(吃り)」(悪口言葉)。 |
ドヤス |
〔他〕大声できつく怒鳴る。 殴る。 |
トヨ |
〔住・農〕樋。 |
ドヨウイカダ
(土曜筏) |
〔筏〕筏用語。 |
ドヨウウシ
(土用丑) |
〔年・農〕土用の丑の日。上湯川を例にとれば、土用の丑の日にはオサソリを枝付きの栗の葉に包んで田畑に供え、牛を川へ連れて行って行水させ、ムシオクリもこの日にした(上葛川では二番丑の日)。 |
ドヨウウナギ
(土用鰻) |
〔年〕土用の丑の日には鰻を食べる。 |
ドヨウカワ
(土用皮) |
〔住〕屋根の杉皮には土用皮と秋皮がよい。 |
ドヨウグサ
(土用草) |
〔農〕夏に刈って里芋など秋作を取り入れてからムギコエとして畑に入れた(出谷)。 |
ドヨウゴチ
(土用東風) |
〔天〕土用頃によく吹くコチ(東風)。その頃のコチは雨にならぬ(旭)。 |
ドヨウサブロウ
(土用三郎) |
〔年〕土用に入って3日目。特にこの日の天候を気にする。一寸でも雲があれば、その年は不作。 |
ドヨウジロウ
(土用次郎) |
〔年〕土用に入って2日目。 |
ドヨウタロウ
(土用太郎) |
〔年〕土用の入りの日。以下2日目を土用次郎、3日目を土用三郎と呼ぶ。 |
ドヨウノウシノヒ
(土用の丑の日) |
〔年〕→ドヨウウシ |
ドヨウノボリ
(土用上り) |
〔動・漁〕土用の頃、鰻が川を遡[さかのぼ]ってくること。 |
ドヨウボシ
(土用干し) |
〔農〕土用のうちに麦を干すこと(串崎)。 |
ドヨウモチ
(土用餅) |
〔年・食〕→ドヨモチ |
トヨマス |
〔他〕(あく抜きのためアワシて)沈澱させる(谷垣内)。 →トゴム |
ドヨモチ |
〔年・食〕土用餅。土用に食べる餡入りの餅。食べたら夏痩せしない(竹筒)。 |
トラカス |
〔他〕倒す。トラカル、トロカスとも。 |
トラカル |
〔自〕ころがる。トロカルとも。 |
トラノオモミ |
〔?〕 |
トラバサミ
(虎挟み) |
〔狩〕罠の一種。ハサミ。 |
トラマエル |
〔他〕捕らえる。 |
トリ |
①〔農〕収量(猿飼字高森)。 ②〔名〕おしまい。最後。 ③〔社〕(酒宴の)おひらき。「トリニスル」=きまりをつける、おひらきにする(谷瀬) →トリザカナ |
トリアイ
(取り合い) |
〔地〕分水嶺。「上湯川と小又川のトリアイ」(上湯川)。 |
トリアゲ
(取り上げ) |
〔産〕助産。助産婦。産婆(トリアゲバアサン)。 |
トリアゲバアサン
(取り上げ婆さん) |
〔産〕産婆。 |
トリイ
(鳥居) |
〔農〕カラウスの杵の支点の鳥居型の構造(旭)。 |
トリオイ
(鳥追い) |
〔年・農〕今西では、ナナクサゾウスイのこと。「トウドノトリト ニホンノトリト ニホンノクニヘ ワタラヌサキニ ステテコタタイテトーホー」と歌いつつ、ナナクサを刻んだ(今西)。また、こうして賑やかにナナクサを刻むこともトリオイという(今西・内原・谷垣内)。旭の栂之本や迫では、6日の晩にナナグサを神さんに供えて、オヒカリを上げ、その下に俎[まないた]を置いて金火箸などのせて「トードノトリガ ニホンノトチヘ ワタラヌサキニ ナナグサ ナズナヲ ヒトテヲタタイテホーラホーホー」と唱えながら刻んだ(旭)。上湯川寺垣内では、火箸とレンギを俎の片端に置き、片手でナガタナを持って「唐土の鳥と日本の鳥と、とりあい、けあい、渡らん先に、七草なずなを切り混ぜて、すててこ叩いて、とーほー」と、はやしながら刻む(上湯川)。 |
トリオナ |
〔産〕子供が多過ぎて、もう子がいらぬという時は、これでトリ(しまい)にするためにつける末・留・満などの名(上湯川大井谷)。 |
トリカゲ |
〔動〕晰暢(トカゲ)。アオトカゲ、キトカゲの別がある。 |
トリキル
(取り切る) |
〔農・禁〕田植えの時、苗代の真ん中から苗を取り始めると、トリキル(飯米に不自由する)とて忌む(迫西川)。 |
トリコ |
〔食〕餅鴇きの際、丸めた餅にまぶすとり粉。白餅には米の粉、所帯の辛い家ではシイ(椎)の粉も使った。雑炊餅にはナンバ(玉萄黍)の粉を用いた(谷垣内)。松柱では、ヤナゴという。 |
トリコブ |
〔体〕くるぶし。トリコブシ、ウメボシともいう(串崎・那知合)。 |
トリコブシ |
〔体〕くるぶし。トリコブ。 |
トリコミ |
①〔名〕独り占めすること。 ②〔農〕収穫すること。 |
トリサカ |
〔動〕鶏冠[とさか]。 |
トリザカナ |
〔社・食〕酒席のトリ(おひらき)という時に供する肴。サバノスシが多い(谷瀬)。 |
トリダス |
〔vt・住〕用水が詰まった時など、仕込みにゆく。「水トリダシに行く」(込之上・串崎)とか「ツレニ行く」とも(串崎)。 |
トリツバサ
(鳥翼) |
〔動〕鳥類の総称(旭)。 |
トリヅミ |
〔信・怪〕凶い霊魂。カツエ(餓えて)て死んだ者がトリヅミになっているのがダル(ヒダル神)である(松柱)。 |
トリツム |
〔自〕つまずく。「石にトリツンだ」。 |
トリマワス |
〔他〕とりしきる(谷垣内)。 |
トリモチ
(鳥黐) |
〔狩・製〕モチの木の皮を剥いでダンボ(小さい水溜まり)を掘って漬け、絶えず水がかかるようにしておいて、2~3ケ月して上げ、木槌で叩いて黐[もち]に仕上げた。昔は、よく買いに来た(内原)。但し、此処でいうモチの木は、ヤマグルマのことらしい。 |
ドレアイ |
〔婚〕自由結婚。スキヨリとも(上湯川)。 |
ドレガァナ |
〔形〕どんな。 |
ドロ |
①〔地〕深く水を湛えた渕、沼。瀞八丁・大畑のドロ(永井)。 ②〔地〕粘土(那知合)。 |
トロイ |
〔形〕にぶい。愚鈍な。よわい。鈍感な。「トロイ方じゃ」。トロクサイ、トロコイとも。 |
トロカス |
〔他〕倒す。ころがす。 →トロカル。 |
ト□カル |
〔自〕倒れる。こける。「そんなに慌てるからトロカルんじゃ」。トラカル。 |
トロクサイ |
〔形〕情け無い。鈍い。「まったくトロクサイ男じゃのう」。トロイとも。 |
トロコイ |
〔形〕→トロイ |
ドロダンゴ |
〔形〕泥まみれ。 |
ドロベタ |
〔地〕ぬかるみ。 |
ドロマブレ |
〔形〕泥まみれ。 |
ドンガラ |
〔形〕図体。なり。 |
トンガラシ |
〔農・食〕唐辛子。 |
トンガリ |
〔地〕頂上。 |
ドンクサイ |
〔形〕不器用な。のろい。 |
トングァ |
〔農〕鍬の一つ。トンガとも。 |
ドンダケ |
〔副〕いかほど。 |
トンド |
①〔名〕焚火 ②〔年〕正月14日夜の左義長[さぎちょう](栂之本)。 |
ドント |
〔副〕うんと。「ドント昔」=ずっと昔のこと(松柱)。 |
ドンドンブシ |
〔芸〕「高い山から谷底見れば、瓜やなすびの花ざかり、ハレワ、ドンドン」。盆踊りの一つ(松柱)。 |
ドンナ
(鈍な) |
〔形〕馬鹿な。不器用な。 |
トンビノヘソ |
〔植〕カラスビシャク(上葛川)。 →ハンゲ |
ドンブクロ |
〔名〕真ん中。 |
トンボ |
〔名〕木の天辺。梢。チョンボ、サキトンボ、先端、頂上(玉置川・上葛川) |
トンボシビ |
〔動・食〕カジキ。シビは鮪。ノオラギとも。 |
トンボニ |
〔副〕だしぬけに。不意に。「トンボニお客があると困る」。 |
トンヤ
(問屋) |
〔交〕船荷の預かり業者。取次店(田戸)。 |