「チ」

〔地〕→ジ。
チイトノマ 〔時〕少しの間。チットノマともいう。チイトマともいう。
チイトマ 〔副・時〕チイトノマ。
チウバ 〔産〕乳母。オンバ。ウバともいう。
チガイザキ
(違い先)
〔筏〕筏を二つモヤッた場合、チガイハバのサキトコをいう。ノリザキに対していう(田戸)。
チガイハバ 〔筏〕筏を二つモヤッた場合、ハナを少し下げたハバ(→ヒトババ)をいう(田戸)。
チカノ
(近野)
〔農〕ノサン(採草地)のうち、トオノ(遠野)に対していう。大字の共有山で、主にタキモン(焚物)を採る。ヤマノクチがある(谷瀬)。
チカマ
(近間)
①〔住〕近いところ。近所。 ②〔時〕近日。近々。
チガヤ
(茅萱)
〔植〕チガヤ(田戸)。チガヤの叢中にナンバンギセルの群落を見たが、この方は無名であった。
チカラクラベ
(力比べ)
〔戯〕若い衆の遊び。ヒキウス(豆腐、蕎麦粉用)を片手に載せて上げ下げして、その回数を競い、また右サシ左サシとて左右の手の力を比べあい、あるいはヒキウスの穴に縄を通して腰に結わえ、蹲んだ姿勢から起ち上がる競争をした。ヒキウスを大小によって太郎、次郎、三郎などと分けて技と力を競い、翌日のハタウチの時にまで「太郎を何べんサシた」などと言い合った(谷瀬)。
チカラヅナ
(力綱)
〔産〕昔は坐産で、ウブヤの上からチカラヅナを下げた。チカラヅナにはオイソが一番良いといった(今西)。
ヂカン
(地火)
→ジカン
チキ 〔交〕天秤秤。チキバカリ。チギともいう。
チギ 〔交〕天秤秤。チキ。
チギチギ 〔児〕片足跳び。チギットともいう。チギチギする(三浦・内原)。
チギット 〔児〕片足跳び。チギチギともいう。チギットする(山天・野尻・小原・武蔵・山手谷・猿飼・平谷・谷垣内・那知合・桑畑・重里・西中・小山手・松柱・上湯川大桧噌)。
チギットオ 〔児〕片足跳び(小井・小坪瀬・迫西川・出谷殿井)。
チキバカリ 〔交〕天秤秤。チキ、チギともいう。
チギリモチ
(千切り餅)
〔信・食〕搗きたてのゴク(御供餅[ごくうもち])を引き延ばしてちぎったもの(上湯川寺垣内)。
チギル 〔児・vi〕片足跳びをする(小原・大野・谷垣内・上下葛川)。
ヂゲ
(地下)
〔村〕→ジゲ。
チゲ 〔形〕(メッパなど)ミとフタがぴったりと合わぬ時など「チゲニナットル」という(玉置川)。
ヂケウチ
(地下内)
〔村〕→ジゲウチ
チゲナ 〔形〕形のいびつな。特に円形のメッパに対して小判型のメッパの形容に(旭)。 →チゲワッパ
チゲトル 〔形〕(形が)いびつになっている(那知合)。
チゲメッパ 〔食〕→チゲワッパ(那知合)。小判型のもの。
チゲワッパ 〔食〕ワッパの小判型のもの(神下下葛川・田戸・小原・武蔵)。 →チゲトル
チコ 〔狩〕クグツ(罠の一種)の部分品の名称(今西)。松柱ではコハゼという。
チサナ 〔農・食〕苣菜[ちしゃな]。ふだんそう。
ヂシバイ
(地芝居)
〔戯〕→ジシバイ
チシャ 〔農・食〕チサ、チシャ。
チスジ ①〔体〕血管。 ②〔族〕血統。血族。
チチカブ 〔動〕川魚の一種。腹に吸盤があって、鮎の腹に吸いつくという。雌雄[しゆう]で色が異なり、美味(字宮原・旭)。アイカケ、カブッソウ、チチッコとも。カジカのことか。
チチコ 〔動〕1、2寸の小魚で、川底を這う(宇宮原)。
チヂコメル 〔他〕縮める(那知合)。
チチゴ 〔動〕旭ではチチカブに同じ。
チチッコ 〔動〕ハゼの類。チチカブとも。
チヂマ 〔体〕つむじ(内原)。
チヂマイ 〔体〕つむじ(折立)。
ヂヂマイ 〔体〕つむじ(平谷)。
チチノデ
(乳の出)
〔産〕
チチマメ 〔体〕乳頭。チマメとも。
チチリ 〔植〕まつかさ(上湯川寺垣内)。
チッコ 〔体〕ちび →チビ①
チッコイ 〔形〕小さい →チンコイ
チッコラサ 〔体〕→チビ
チッシャイ 〔形〕小さい(宇宮原)。
チッチリ 〔植〕松毯(『全国方言集』)(松柱・出谷殿井・上湯川大桧噌)。
チドメ
(血止め)
〔体・療〕
チドリ
(千鳥)
〔住〕棟の両端に載せる木。
ヂバ 〔名・地〕地べた。「ヂバヲハンデ」=地べたを這って(小原)。
チバシ 〔族〕血族。
チビ ①〔名・体〕ちび。チビクソ、チッコともいう。 ②けちんぼう
チビッソウ 〔体〕背の低い小さい人。チッコ、チビ、チッコラサとも。
チビット 〔副〕少し。チョビット。
チビクソ 〔体〕ちび。
チビル ①〔他〕出し惜しみする。 ②〔他〕大小便を少し洩らす。 ③〔自〕筆先や下駄の歯など、先が擦り減って短くなる。 ④〔児・vi〕片足跳びする(小川)。
チボ 〔名〕すり。
チマキ
(粽)
〔年・食〕シンコか麦粉で作り、笹かアシガヤ(芦)の葉で包んで蒸す。笹で包む場合は、裂いたシュウロの葉で、アシガヤの場合は芽で括[くく]る(上湯川)。「5月5日(ごにち)のチマキの餅でセンヨ(千重=千夜)まかれて落とされた。」(女を口説き落としたことにいう)(上湯川寺垣内)。
ヂマツリ
(地祭)
-ジマツリ。
チマメ 〔体〕(乳豆)乳房の乳首[ちくび]。チチマメとも。
チャ
(茶)
〔農・食〕
チャウケザ
(茶受け座)
〔住〕ユルリの座の一つ。 ①キシ(背戸・山手)側の座。主婦の座(上湯川・出谷)-キシザ ②ヨコザの向かいの座。シモザともいう(小原)。小坪瀬ではチャバケザ。
チャガイ
(茶粥)
〔食〕オカイ(お粥)といえば、茶粥のこと。茶がないとオカイにならぬとさえいう(五百瀬)。チャブクロ(茶袋)に茶を入れて、粥と共に炊き、大きな壺杓子[しゃくし]でとりわける。
※茶-茶は特に栽培はしなかったが、付近の傾斜地やマブにいくらでも野性していたので、それを摘んだ。剪定はせず、摘むのは年1回(5月頃)、大きな鍋で炒って筵[むしろ]の上で揉んで天日で乾かして、チャタテに保存し、必要の度に浅いイリナベで焙じた。茶が不足の時は、カシコを入れて渋味をつけた。チャンガイともいった。
チャガイジャクシ
(茶粥杓子)
〔食〕茶粥専用の大きな壺杓子[しゃくし]。
チャカマシイ 〔形〕くそやかましい(神下下葛川)。
チャケザ 〔住〕ユルリの女の座(旭中谷)。
チャダテ 〔食〕茶を保存するための、厚手のコウゾクソガミで作った袋(タテ)。
チャッコイ 〔形〕ちっこい。ちいさい。-チンコイ。
チャヅツ
(茶筒)
〔食〕孟宗竹の竹筒製の水筒。一升も入る。上・下端に穴をあけて紐をつける。
チャノコ
(茶の子)
〔食〕お茶に添えて出すもの。
チャバケザ 〔住〕ユルリのオクザ(横座)の向かい。主婦の座(小坪瀬)。
チャブクロ
(茶袋)
〔食〕チャガイを炊く時、茶を入れて一緒に炊く布袋。昔はよく藤布を用いた。
チャリ 〔名〕洒落。おどけ口。
チャワカシザ
(茶沸かし座)
〔住〕ユルリのオクザ(横座)の向かい。オナゴ(女)の座(迫西川)。
チャンガイ 〔食〕チャガイ。
チャンカケ 〔食〕琺瑯[ほうろう]敷鋳物鍋。琺瑯を敷かぬものはクロナベ(上葛川)。
チャンコイ 〔形〕小さい。チンコイ。
チュウアカ
(中赤)
〔農・食〕甘蔗の一品種で、ホンザツマの一つ。皮は赤い(小原)
チュウコクハシラ
(中黒柱)
〔住〕ダイコクバシラの上ミ手寄りの柱。
チュウハ 〔漁〕ウグイなどを捕る網の一種。
チュウバ
(中刃)
〔農〕鎌の一種で、柵田の草付の斜面(ぐる利用)刈り用。
チュウブシ
(中節)
〔農〕稲の二番目の節(谷垣内)。 →フシアガリ
チュウマル
(中丸)
〔林・炭〕大きさによる炭の分け方の一つ。 →コマル
チョウケル 〔自〕ふざける。おどける。チョケル。
チョウゲン
(丁銀?)
〔信・食〕ずっと昔は、神様に上げる餅は、指で軽く抑えて凹ませた。これをチョウゲンと言った(内原)。
チョウズ
(手水)
〔住〕便所。
チョウズノカミサマ
(手水の神様)
〔信〕厠[かわや]神。センチノカミサマ(出谷松柱)。
チョウズバチ
(手水鉢)
〔住〕洗面器。石製の手洗い。
チョウセンイモ
(朝鮮芋)
〔農・食〕馬鈴薯。ニドイモ。ジャガ(タラ)イモとも。
チョウセンオイコ
(朝鮮負い子)
〔運〕昭和になってから入って来たオイコの一種で足が長く、直接これを地面につけて休む(三浦)。
チョウセンフシ
(朝鮮節)
〔芸〕鴨緑江節。盆踊りで踊った。
チョウダル 〔食〕3斗5升入りの酒樽(竹筒)。
チョウチョ 〔動〕蝶。
チョウチョウノヨメイリ
(蝶々の嫁入り)
〔動・兆〕2羽の蝶が戯れていると、こう言い、長雨の霽[は]れる兆(松柱)。
チョウナハジメ
(手斧始め)
〔住〕普請の際の大工の仕事始め。吉い日を選んで仕掛けに掛かり、施主からお酒をモル(小原)。
チョウバ
(丁場)
〔林〕休み場。仕事の間に食事をすること、及びその場所。
チョウバコ
(帳箱)
〔村〕ダイジ(大字)及びカイト(字)などの公文書を納めた木箱で総代方で保管し、交代の際、後任者に引き継ぐ。
チョカ 〔人〕落ち着きのない人。チョカツキとも。
チョカス 〔他〕①からかう。いたずらする。 ②犬、猫をじゃらす。③だます。
チョカツキ 〔人〕→チョカ。
チョカツク 〔自〕落ち着かず、そわそわしている。
チョクル 〔他〕からかう。おちょくる。チョボクル。
チョケ 〔人〕おどけ者。
チョケル 〔自〕ふざける。おどける。チョウケル。
チョコタエンナ 〔形〕生意気な(平谷)。
チョックラ、チョッコラ 〔副〕容易に。
チョビット 〔副〕チビット。
チョボ 〔名〕点。
チョボクル 〔自〕ふざける。からかう。チョケル。
チョボチョボ 〔形〕伯仲。似たりよったり。
チョロイ、チョロゴイ 〔形〕鈍い。弱い。鈍感。
チョヤガス 〔他〕あやす(串崎・那知合)。 →タバケル。
チョンガケ 〔漁〕底にガラスを張った木箱(ミズカガミ)で、水中を覗き、魚を引っ掛けて捕る仕掛け(田戸)。
チョンガリ 〔芸〕浪花節語り(山天)。
チョンガレ 〔芸〕浪花節語り(谷垣内)。
チョンナ 〔職〕ちょうな。
チョンナガタ 〔住〕チョウナで削った痕。古い家の柱や板戸に残っている。
チョンボ 〔林・名〕①木の梢(トンボとも)。 ②失敗(チョンボスル)。
チリカキ 〔住〕ちりとり。ゴタカキとも。
チリコ 〔猟〕クグツの仕掛けの一部(田戸)。ビシャギ。
チン
(賃)
〔経〕賃銀。駄賃。
チンギウツ 〔児〕片足跳びする(三浦)。
チンギットオ 〔児〕片足跳び(山手・七色)。
チンギル 〔児・vi〕片足跳び(折立)。
チンギール 〔児・vi〕片足跳び(下葛川)。
チンクル 〔自〕血が出る。
チングリダマ 〔植〕ヤブコウジの実。スケダマ(リュウノヒゲの実)と共に、クグツの餌によい(上葛川)。
チンコイ 〔形〕小さい。チッチャイ。チャッコイ。チャックイ。
チンチラ 〔植〕まつかさ(長殿)。
チンチラコ 〔植〕まつかさ(旭・谷瀬・上野地・三浦)。
チンチロ 〔植〕まつかさ(山手谷・山天)。
チンチン 〔漁〕猪捕りのハネワサの部品(小坪瀬)。
チンバイトコ
(破従兄弟)
〔族〕イトコ対イトコの子の間柄。
チンバスル 〔児・vi〕片足跳びする(川津)。
チンモチ
(貨持ち)
〔運・交〕駄賃をとって荷持ちを業とする人々。