デー
(出居) |
〔住〕十津川郷北部で四間取りの場合、セイジ(勝手)の隣、表側の室。普通は6畳だが、8畳の家もある(谷瀬)。二間(ふたま)取りの時はナカノマともいう(字宮原・五百瀬・内原・内原奥里・旭)。 |
テアイ
(手合い) |
〔名〕①なかま。ともがら。連中。 ②話上手で、手をいろいろ動かして話をする仕種。 |
デアイ
(出合) |
〔地〕谷、川の合流点。 |
テアンド(ー) |
〔住〕手行灯[あんどん]。相対する2面を枝張りにして、他の2面に紙を貼り、または4面とも紙を貼って持ち歩く角行灯(小坪瀬・谷垣内)。 |
テイモ
(手芋) |
〔農・食〕つくねいも。 |
テオドリ
(手踊り) |
〔年〕 |
テガウ |
〔他〕からかう。さからう(平谷地区)。 |
テカケ |
〔衣〕妾[めかけ]。アシカケとも。 |
デカホウシ |
〔芸〕デコマワシのこと(神納川区)。 →デコマワシ |
テガマ
(手鎌) |
〔農〕クサリガマ(上葛川)。 |
テギ |
①〔地〕支稜の端の岡。カワガラスがテギゴシ(越し)すれば、荒天の兆[きざし](普段は谷伝いにしか飛ばぬこの鳥がテギを越えて高く飛べば天気が荒れる兆) ②〔食〕竪杵。コンニャクを掃くのに使う(那知合)。 |
デキゴ
(出来子) |
〔産〕出来たばかりの嬰児。初生児(上湯川)。 |
テギネ
(手杵) |
〔食〕竪杵。中央部を持って縦にして搗くこと。 |
デク
(木偶) |
〔児〕人形。ヒナデク=雛人形(内原)。 →デコ |
デグ
(出工) |
〔村〕フシン(公役)に出動したク(日)数(樫原)。 |
デクルボウ |
〔芸〕でくのぼうの訛り。あやつりの木偶人形。 →デコ |
テコ |
①〔食〕箸。 ②〔交〕天秤棒(オーコ)のことにもいう。 |
テゴ |
〔鉱〕鉱山の鉱石運搬夫(高津)。 |
デコ
(木偶) |
①〔年〕女の節句の雛人形。 →デク ②〔児・芸〕木偶人形。あやつりの木偶。「デコマワス」=人形を操る。 |
デコチン |
〔体〕額の出ていること。 |
デコマワシ |
〔芸〕木偶使い。毎年正月過ぎに家々を訪れて、恵比須さんの人形を舞わせ目出度い詞を叙[の]べてカドツケした淡路の人形使い。 →デコマワス デカホウシともいう(神納川区)。 |
デコマウス
(木偶廻す) |
〔自・食〕「木偶を遣う」所作から転じて、ユルリの火で焼いた塩茹での里芋のかしらを串刺しのまま噛ることにいう。「デコまわそうらい」=デコ廻そうかと言えば、芋のかしらで済まそうか、ということになる。越中の売薬行商人が言い出した言葉だという(旭)。旭では、こうは言わぬ。「十津川のデコマワシ」という言葉は寧[むし]ろ軽蔑的に、その乏しい食生活を揶揄[やゆ]して用いられてきた。 |
テサシ |
〔衣〕手甲[てっこう](上葛川)。 |
テザト |
〔婚〕嫁の実家。 |
テシオ、テショウ、テショー |
〔食〕小皿。 |
デシコイムシ |
〔動〕アリジゴク。子供たちが「デシコイ、デシコイ」と言って掘って遊ぶ(旭)。 |
デシノマ |
〔住〕中の間。 |
テシマ |
〔衣〕畳表を二重に折って、紐で頸[くび]へ吊る雨具(背に油紙をはる)。婦人が多く用いた。頭にはマツガサをかむった(五百瀬・上葛川)。 |
テスリコンボ |
〔名〕平身抵頭。懇願。 |
テスリゴンボ |
〔名〕テスリコンボに同じ。 |
テゼイ
(手勢) |
〔村・労〕労働力、働き手の数。 |
デタチ
(出立ち) |
〔交〕出立。殊に伊勢参りの出立の祝い。 |
テダライ
(手盥) |
〔住〕洗面用の小さな盥[たらい](池)。 |
テチマワス |
〔他〕打ち殴る。 |
テチミジク |
〔他〕打ち壊す。テチミジルとも。 |
テチミジル |
〔他〕テチミジク。 |
テッカチ |
〔地〕山の天辺(平谷)。 |
テッキュウ
(鉄灸) |
〔食〕 |
テッケ |
〔地〕山頂(五百瀬)。 |
テッケジョー |
〔地〕山頂(五百瀬)。 |
テッコ |
〔衣〕手甲。先を丸く切って肘の下まで元を広くし、釦[ぼたん]でとめてヒモで巻いた(内原・谷垣内・上葛川)。テサシとも。昔は、田植えの時でも着けなかった(五百瀬)。テッコウとも。 |
テッコウ |
〔衣〕手甲。 |
テッタイ
(手伝い) |
〔村・労〕(普請や葬式など)互いに手伝い合うこと(小原・内原)。旭では田植えや畑打ちにもいい、テマまたはユイニともいう。 |
テツナベ
(鉄鍋) |
〔食〕昔は、ズクテツで作ったテツナベを使った。ナベツルが付いていて、自在(ジザイ)に掛けてユルリで炊いた(内原)。 |
テッペー |
〔地〕山の天辺(谷瀬・宇宮原)。 |
テツボ |
〔農〕ツボ①に同じ(谷垣内)。「おそろしや、あはんテツボや、どなたのテツボにあはうやら」(谷垣内の田植え唄)。 |
テッポウ
(鉄砲) |
①〔狩〕銃身を水で洗えば人を撃つとて、必ず湯で洗う(田戸)。 ②〔筏〕テッポウセギに同じ。「テッポウハル」=鉄砲堰を築く。 |
テッポウガリ
(鉄砲狩り) |
〔筏〕テッポウセギを築いて、湛水を放流して、その水勢によって材木を押し流すこと(西中)。 |
テッポウセギ
(鉄砲堰) |
〔筏〕略してテッポウ、セギともいう。 |
テッポウミズ
(鉄砲水) |
〔地〕俄[にわか]の水。 |
テツンボ
(手聾) |
〔体〕手先の不器用な人。 |
テデル |
〔自〕反る。反りかえる。後に曲がる。魚がオカで跳ねる。 |
テノウチ
(手の内) |
〔名〕「遍路にテノウチをやった」(谷垣内)。 |
テノクボ
(手の窪) |
〔体〕掌の中心の凹み。 |
テノゴイ |
〔衣〕手拭い。テフキともいう。 |
テバシコイ |
〔形〕手早い。すばやい。 |
テバン
(手判) |
〔厄〕88才、米寿の人が贈る墨の手判。餅と一緒に祝いを受けた家に配る。 |
テフキ
(手拭き) |
〔衣〕手拭い(内原)。テノゴイとも訛る。 |
テブシ
(手節) |
〔名〕①手。腕。 ②腕前。手並。腕っ節。 |
デブソク
(出不足) |
〔村〕フシン(公役)に出られぬとデブソクになる。その場合、全区のクミガシラが一フシンを担当して、12月末に総勘定して各戸の平均出動ク(日)数を算出し、出不足の人から金を徴収して、余分に出た人にク数によって分けた(谷瀬)。 |
テブラハチカン
(手ぶら八貫) |
〔言〕無一文。「テブラハチカンで何が出来るか」。 |
テブロシキ
(手風呂敷) |
〔衣〕風呂敷。 |
テマ
(手間) |
〔村・労〕①イー(結い)のこと(田戸・谷瀬・山天・五百瀬・竹筒・旭・重里大津越・玉置川)。五百瀬では、「テマで人をタノム」という風に用いる。谷瀬では、イー(結い)のトードのこともこういう。 ②杣仕事で、手伝ってやる代わりに手伝って貰うこと。①②の場合とも無償交換労働で、カエスこと(テマガエシ)を原則とする。 |
テマガエ
(手間換え) |
〔村・労〕互いにテマで仕事すること。無償労働交換。 |
テマガエシ
(手間返し) |
〔村・労〕与えられた協力の返し。受けた手間は返すのが原則である。必ずしも同じ仕事ではなく、ハタウチを1日手伝ってもらったらクサカリを1日して返すといったように、とにかく来てもらった日(ク)数だけ返せばいい(重里大津越)。 |
テマサカリ
(手鉞) |
〔林〕小さいマサカリ。 |
テマシゴト
(手間仕事) |
〔村・労〕テマ(結い)でする仕事(上湯川)。 |
テミ |
〔農〕→イタミ(玉置川)。 |
デモノ
(出物) |
〔体〕出来物(玉垣内)。 |
テヨキ
(手斧) |
〔林〕伐倒した木の枝払い用の小斧(五百瀬・田戸)。コシノコと一緒に腰に挿した。 |
テラ |
〔戯〕寺銭[てらせん]。ホウビキを人の家でやる時は少しテラ(寺銭)を出した(樫原)。 |
テラジ |
〔動〕啄木鳥[きつつき](重里・小坪瀬・西川・田戸)。重里では、雀くらいの大きさの種類を指す。この鳥が木をつつく音からトチハカリともいう(西川筋・田戸)。この鳥の木をつつく音がはっきり聞こえると天気が変わる(小坪瀬・上葛川)。「ドウモコリャー、雨が降る、テラジウトウタレク(歌うて歩く)」(小坪瀬)。 |
テラヤシキ
(寺屋敷) |
〔地〕 |
デラン
(出らん) |
〔言〕出ぬ。 |
テル
(照る) |
〔自〕果物など、よく熟していることにいう。「この西瓜、ようテッとる」。 |
テン
(貂) |
〔動〕ケ(毛皮)の値が下がって捕らぬのに少なくなった。が、今もいる(上葛川)。 |
テンカラヅリ |
〔漁〕擬似餌でアメノウオを捕る仕掛け。 |
テンカワパッチ |
〔衣〕 |
テンググラ
(天狗嵓) |
〔地・怪〕天狗が棲むという岸壁。村内各地に在る。二の滝(下葛川)の岸壁も天狗嵓と言われ、洞穴周辺の草(羊歯類)が朱くなると、「天狗さんが帰って来た」という。また、秋の夜に強く吹く風があると「天狗さんが渡っている」とも言った(神下下葛川)。 |
テングドノ
(天狗殿) |
〔怪〕天狗さん。テンゴ、グヒン、グンイともいう。 |
テングノアソビギ
(天狗の遊び木) |
〔怪〕天狗が遊びに来る木(西中・小坪瀬)。 |
テングルマ |
〔戯〕肩車。 |
テングユリ |
〔植〕ササユリ(那知合)。 |
テンケツ |
〔地〕頂上。天辺。テンコツ。 |
テンゴ |
①〔怪〕天狗(高瀧)。テンググラ(天狗嵓)(高瀧)。 ②〔名〕冗談。ざれ。テンゴウ。テンゴ。テンゴノカワ=たわむれ。 |
テンゴウ |
〔名〕→テンゴの②。 |
テンゴウノカワ |
〔名〕たわむれ。 |
テンコウヨチョウ
(天候予兆) |
〔天〕 |
テンゴグラ |
〔怪〕天狗嵓(高瀧)。 →テンググラ |
テンコツ |
〔地〕頂上。天辺。テンケツ。 |
テンジクボタン
(天竺牡丹) |
〔植〕ダリア(那知合)。 |
テンチュウボウズ
(天誅坊主) |
〔体〕手に負えんやんちゃ。乱暴者。 |
テンテナキ |
〔動〕ヒグラシ(蜩)。テンテンと鳴くから(上湯川)。 |
テンテンムシ |
〔動〕ヒグラシ(蜩)。鳴き声からヒグラシゼミともいう(竹筒)。 |
テント |
〔副〕全然。 |
デントウ
(電灯) |
〔住〕 |
テントサマ
(天道様) |
〔天・信〕お日様。オビヤアガリまでは体をテントサマにあててはいかんと、便所へ行くにもマツガサをかぶった(谷垣内)。 |
テントナガシ
(天道流し) |
〔筏〕白谷奥など、嶮岨[けんそ]で迚も出材出来ない谷へ材木を落とし込んで、大夕立や集中豪雨を待って一気に流送する。オテントサマ任せの一か八かの大博打[ばくち]。 |
テンネー |
〔言〕滅多に(……せぬ)。テンネースル=滅多にしない。テンネーアル=滅多にない(竹筒)。 |
テンネニ |
〔副〕ごくたまに。「テンネニ来た」(東中)。 |
テンバコ
(貂箱) |
〔狩〕網を引けば木箱の一方の側の戸が落ちる仕掛け。よくイタチを捕った(田戸)。 |
テンパチ
(天鉢) |
〔伝〕出谷の庵平は行基菩薩の建立した寺跡で、昔ここからテンパチを下げたと伝える。 |
テンビン
(天秤) |
〔副〕前後平均(に)。「テンビンに積む」。 |
テンボウ |
〔体〕手のない人。 |
テンポウセン
(天保銭) |
〔交〕 |
テンボウノフリアテ |
〔言〕(猟)のまぐれあたり(小坪瀬)。 |
テンマ |
〔運〕川舟の一種。ヒラダに同じ(田戸)。七色では専ら渡し舟に用いた。 →ヒラダ。 |
テンマリ
(テンマル) |
①〔児〕手鞠[てまり]。女児の遊び。綿またはゼンマイの綿をまるけて白糸で巻き、色糸で亀甲や大阪菊などを飾った手鞠。 ②〔植〕アジサイ。もちろん、その形状が手鞠に似ているから(重里)。 |