「ソ」

ソーギ 〔住〕武蔵など。ソギに同じ。
ソウ 〔名〕様子。ソウガワルイ。
ソウカイ
(総会)
〔村〕主に盆と正月に開かれる。
ゾウスイ
(雑炊)
〔食〕おじや。訛ってドウスイともいう。ナナクサゾウスイ=七草粥
ソウダイ
(惣代)
〔村〕大字の長。初めは人民惣代といい、なる人はホンコ(ホンコスウ)に限られていた。大字内における村長の代理役を勤める。任期は1年。再選を妨げず。
ソウダイブシン
(惣代普請)
〔村〕昔は、各戸に一定量のタシバを苅って惣代の所へ報酬として持参した。この公役をソウダイブシンといい、10貫を超えればお金(カギン)をくれた(谷瀬)。
ソウダンヤク
(相談役)
〔村〕大字で3人選出。惣代の顧問。その代わり商議員はない。(神下)。
ソウトメ 〔農〕田の植え手(女性に限らず)(上湯川寺垣内)。
ゾウニ
(雑煮)
〔年・食〕他の栂之本では、元旦に素麺を茹でて、つけ汁につけて食べ、別に丸餅を焼いて食べた家もあった。
ゾウニモチ
(雑煮餅)
〔年・食〕雑煮に入れる餅。のべて四角に切ったキリモチ(山天)。
ゾウニワン
(雑煮椀)
〔年・食〕雑煮専用の椀(竹筒)。
ゾウニン 〔年・食〕雑煮。小坪瀬では、菜・椎茸などを入れるが、餅は入れぬ。元日に餅を食べるとモグラが畦に穴を開けるといい、餅を食べたければ大晦日のうちに食べる。
ソウブシン
(総普請)
〔村〕大字中の者が出動する公役。共有林の植え付けなど、男女とも出動した(谷瀬・上葛川)。
ゾウヨ
(雑用)
〔村〕経費。
ゾウリ
(草履)
〔衣〕普通、ハキモノと言えば草履(ジョリ)のこと。ヨナベに作り、一晩に2足が一人前。男の草履はハナオ(鼻緒)の付根を上で結び、女の草履は裏で結んだ(西川筋)。マエオ(前緒)の結び目を中に入れるケヌキ、上で結ぶウエムスビ、底裏で結ぶシタムスビがある(五百瀬)。用途によりヨソイキ(他所行き)、ウワバキ(土間履き)、シゴトイキの別がある。
ソウレイシャ 〔信〕祖霊社の訛り。廃仏棄釈後、招魂社に兼ねて大字の祖霊を祀って氏神境内に別に一祠を建立した。彼岸の中日が祭日。ソレイシャと発音する所も多い。ショウコンサン(招魂社)と呼ぶ老人もいる。
ゾエゾエ 〔形〕だらしない状態。
ソエマイリ
(添え参り)
〔信〕伊勢講の代参者に付添って参ること(旭)。
ソオガシイ 〔形〕さわがしい。
ソガーニ 〔副〕「そがいに」の訛り。そのように。「ソガーニせいでも(しなくても)だいじない」(平谷)。
ソギ ①〔住〕(枌)屋根葺き用の薄板。ソンギという所もある(東中)。 ②〔名〕「そげ」の訛り。竹や木の棟。ソギがたつ。
ソギブキ
(枌葺き)
〔住〕ソギで葺くこと。またその屋根。
ソギワリボウチョウ
(ソーギワリボウチョウ)
(枌割包丁)
〔住・職〕板屋根用の枌を割る大割用、小割用などがある。
ソク
(足)
〔狩〕シシ(猪)の大きさを示す単位で、その皮からクツが幾束とれるかを示す。7寸で一ソク分のクツがとれるというが、ウリッコ、コブッタ以上で、サンゾクから始まり、サンゾクガシラ、ヨンソク、ケンカゴソクを経て普通はゴソクで最大級だが、たまにはオオゴソク、ロクソク、オオロクソクなどもあった(小坪瀬)。 →ハイ①
ソグイ 〔名〕(手足指などに刺さる)棘。
ソクウ 〔自〕似合う。
ソクライ 〔名・衣〕(衣類の)繕い。「ショウゾクのソクライ」。 →ソクロウ
ソクロウ 〔他・衣〕(衣類の破れなど)繕[つくろ]う。足袋をソクロウ。 →ソクライ
ソコマメ
(底豆)
〔農・食〕落花生(杉清・上葛川)。
ソシル 〔他〕陰口をいう。
ソソクサイ
(ソソクサァ)
〔形〕そそっかしい。
ソッパ 〔体〕反歯。
ソッポ 〔名・体〕額つき。「ソッポがわるい」。
ソデナシ
(袖無)
〔衣〕
ソデヨギ
(袖夜着)
〔衣〕袖のついた夜着(内原)。伊勢参りの宿で着せてくれた。
ソトスボリ 〔人〕外へ出るとおとなしい人。ウチベンケイの反対。
ソトベヤ
(外部屋)
〔住〕穀物倉。エベッサンとダイコクサンを祀る(田戸)。
ソノ
(苑)
〔農〕野菜専用の畑。ソノバタケともいう(上葛川)。主作物でないものを作る畑。ナソノなど。
ソノバタケ
(園畑)
〔農〕①菜園。ソノともいう(上葛川)。 ②表の石垣のすぐ下の畑。専ら菜園になっている(竹筒)。
ソバ ①〔農・食〕蕎麦。 →ソバウチ、ソバカキ、ソバキリ、ソバモチ。 ②〔植〕ネズミモチの木(田戸・那知合)。ソバノキとも。
ソバアゲ
(蕎麦上げ)
〔食〕ラケット状に竹を編んだものに竹の柄をつけて、茹でたソバをすくい上げる道具。
ソバウチ
(蕎麦打ろ)
〔食〕蕎麦粉をウチバンの上でメンボ(麺棒)でこねる作業。
ソバエル 〔自〕甘える。
ソバカキ
(蕎麦掻き)
〔食〕碾[ひ]いた蕎麦を熱い湯でカーテ(掻いて)塩を少し入れて食べた。蕎麦はこうして食べるのが普通だった。ソバネリとも(旭)。
ソバキリ
(蕎麦切り)
〔食〕いわゆる手打ち蕎麦(谷瀬・旭)。ソバキリボウチョウで切る。
ソバキリボウチョウ
(蕎麦切り包丁)
〔食〕ソバキリに使う包丁(旭)。
ソバナ
(蕎麦莱)
〔食〕以前は、よくソバの葉を摘んでオシタシにして食べた。こういう時は、ソバの葉をソバナといった(武蔵)。
ソバネリ 〔食〕ソバカキに同じ(旭)。
ソバノキ 〔植〕ネズミモチ(那知合・上葛川)。
ソバハズカシイ 〔形〕こっぱずかし(竹筒)。
ソバマキ
(蕎麦播き)
〔動〕ソバマキトンボともいう。ソバを播く頃に一斉に出てくる(旭・重里・平谷・上葛川)。これが出るとソバを播くともいう。平谷ではアキトンボともいう。
ソバマキトンボ
(蕎麦播き蜻蛉)
〔動〕赤とんぼ(西川)。ソバを播く頃、一斉に出て来る(旭・那知合)。ソバマキともいう。
ソバヤキ
(蕎麦焼き)
〔食〕十能の大きなものに油を敷き、水でといたソバ粉を入れて上下を焼く。塩味(小原・武蔵)。
ソマ
(杣)
〔林〕伐採専業労働者。またその作業。キリ。
ソマゴヤ
(杣小屋)
〔林〕伐採のヒヨウ(人夫)(ソマフ)の山小屋(字宮原)。
ソマジョウヤ
(杣庄屋)
〔林〕伐木現場の責任者、指導者。
ソマフ
(杣夫)
〔林〕キリ(伐採)専門のヒヨウ(日傭)(職人)。
……ソメル
(初める)
〔自〕「始めて……する」の義で、よく使用される。「学校へ行きソメた時分は」など。
ソヤグ 〔他〕ほめそやす。ソヤスとも。
ソヤス 〔他〕→ソヤグ
ソラガミ
(空神)
〔信・怪〕天狗。グンイサンともいう(田戸)。紀州田辺辺でも、この呼称あり(『牟婁口碑集』p75)。
ソラデ 〔体〕手の使い過ぎなどで、手が何ということもなく痛むこと。
ソラミズ
(空水)
〔天〕雨水(内原)。
ソレイシャ
(祖霊社)
〔信〕→ソウレイシャ
※祖霊社
屋敷の一角あるいは、その家の先祖に由緒深い地点などに独立して構える小祠。多くの場合、江戸時代の後期以降、国学や神道の普及によって神仏分離の運動が起こった結果、持仏堂を廃して、代わりに建てたという。一藩挙げて神仏分離を実施した津和野藩の場合は特に著しく、農民に至るまでこれを定めさせ、地区ごとにまとめた「惣霊社」も設けた。中世の武士が、その屋敷内に設けた堂、庵の類は、一族の祖を祀る点で同性質のものであったが、近世に入って檀家制度の発達と共に衰えたようである。なお、神官を世襲する家(多く社家といわれる)には、近世においても当主と相続人だけは檀那寺に属しなかった関係で祖霊社を早くから有した例は多く、少数ながら古来の社家の中には、ごく古い由緒をもつ祖霊社も存在するようである。(大塚民俗学会・日本民俗事典)
ゾレオチル 〔自〕ずり落ちる。崩れ落ちる。ズレル。
ソレガァナ 〔形〕そんな。
ソレジャースカ 〔接〕それですから。ソンジャー。ソンナラ。
ソレベクソウロウ 〔言〕それっきり。そのまま音沙汰のないこと。単にベクソウロウともいう。
ゾレル 〔自〕①崩れる。「山がゾレル」。ゾレオチル。転じて②のいみとなる。 ②死産する。「子がゾレた」。
ソンギ 〔住〕ソギ(枌)の転訛(東中)。
ソンギュウ
(村牛)
〔村・農〕牛の飼育の盛んだった頃は、役場所有の村牛もいて、タネツケもした。
ソンジャー 〔接〕それでは。
ソンドウ 〔言〕そうですね。(同意の言葉)。
ソンナラ 〔接〕それでは。ソンジャアー。