ムカイショウガツ
(向かい正月) |
〔年〕正月六日。ちよつとゴッツォ(御馳走)をして休む(内原)。 |
ムカイバシラ
(向かい柱) |
〔住〕大黒柱の奥、つまりナカノマとオクノマとの間の柱(迫西川)。 |
ムカエビ
(迎え火) |
〔年〕お盆の迎え火。13日の夕方。コエマツの束を燃やす(谷垣内・迫西川)。 |
ムカジ
(向地) |
①〔村〕ムコウジに同じ(滝川)。 ②〔動〕百足(ムカデ)(田戸・西川)。昔は食べたという。瓶につけて油をとり、切り傷に貼る(田戸)。 |
ムカワリ |
①〔葬〕1年祭(一周忌)。普通はムカワリまでに墓石を立てる。ムカワレともいう。 ②〔産〕初誕生日。「もうムカワリトオッたか(通った)(もう初誕生過ぎたか)(内原)。 |
ムカワレ |
〔葬〕一周忌(上湯川寺垣内)。 |
ムギ
(麦) |
〔農・食〕単に「ムギ」といえば裸麦を指す。小麦は「コムギ」。 |
ムギアカリ |
〔動〕キジバト(松柱)。ツチバト、ツチクレバト、ホンバトなど異称が多い(各項参照)。 |
ムギイレバコ
(麦入れ箱) |
〔食〕麦櫃。食用の麦を小出ししておく箱。米櫃型で、蓋の半分は固定して、半分だけ開けて出し入れする(小原・武蔵)。 |
ムギウマセドリ
(麦熟ませ鳥) |
〔動〕郭公(カッコウ)。 →ムギウラシドリ |
ムギウラシドリ
(麦熟らし鳥) |
〔動〕郭公(カッコウ)。麦の熟れる頃に鳴くのでこの名がある。ムギウマセドリ、マメウエドリともいう。 |
ムギカイ
(麦粥) |
〔食〕たまに小豆を入れるとおいしかった。 |
ムギカチ |
〔農・食〕麦搗き。ハタウチと並んで辛い仕事だった。大抵4人でタテウス(ムギカチウス)で搗いた。4人で1日で搗いて1石4,5斗。竹筒では、カラウスで搗いた。莚[むしろ]に拡げてカラサオ(連枷[からざお])で搗くこともあった。 |
ムギカチウス |
〔農・食〕麦搗き臼。ムギカチ専用のタテウス。材はトチ。少々ひびが入っても良かった。一クボ(一臼分)4升くらい。 |
ムギカチギネ |
〔農・食〕麦搗き杵。餅搗き用の杵よりも太いが使い良いように軽い杉材を用いた。米搗き用にはサルスベリ材が良い。 |
ムギガラ
(麦穀) |
〔農〕麦わら(竹筒)。 |
ムギスゴキバコ
(麦扱き箱) |
〔農〕上にセンバこき(かなこぎ)を取り付けて、こいた麦粒を箱に落とし込む装置。高さ7~80cm、長さ1m、巾5.60cm(小原・武蔵)。 |
ムキズネ
(剥き脛) |
〔衣〕脛[すね]を剥き出しにすること。ムキズネで=脛を丸出しで(谷垣内)。 |
ムギツキウタ
(麦搗き唄) |
〔農・芸〕「麦は搗きよく朝日に麦を但馬丹後の紅麦を、コラショ」(竹筒)。 →ムギカチ |
ムギツキザカ
(麦搗板) |
〔交〕〔注〕麦搗坂は大字内原字栗平から高津~上野地あるいは迫辻(ブドウ落)から大字旭字迫に至る急坂で、その坂を登り切るには麦を搗く時間がかかるほど辛い山道であったという(元村長中嶋時峯氏談)。 |
ムギヅル
(麦蔓) |
〔農〕麦わら(谷垣内・神下下葛川・小原・武蔵)。竹筒ではムギガラという。小麦わらの方が質が良い。 |
ムギトリ
(麦取り) |
〔農〕麦苅り。 |
ムギバナ
(麦花) |
〔食〕昔はムギ(裸麦)を紛にしてコウジブタに入れてコウジバナを作ったから、コウジバナのことをムギバナと言った(旭)。ムギバナの味噌は黒くなったが、味は良かった。 |
ムギフミ
(麦踏み) |
①〔農・食〕カラウスで麦を搗くこと。一晩に二クボ(8升)が規準(内原)。 ②〔農〕畑の麦踏み。 |
ムクギ |
〔体〕身体。 |
ムクタイ |
〔副〕全く。すっかり。「無理ムクタイに引きちぎっていった」=無理やり引きちぎっていった。 |
ムグラモチ |
〔動〕モグラ(平谷)。 |
ムクリョウホウスケ |
〔村〕何故か判らぬが谷垣内の椋尾切(ムクリョウギレ)(廃村)のことをこういった(武蔵)。 |
ムクル |
〔他〕①(鋤で)すきおこす。畑を掘り起こす(かえす)(那知合・上葛川) ②めくる。 |
ムクレカエス |
〔他・農〕ハタウチでは下から始めて、一鍬一鍬土をうしろへ上げていく。こうすることをムクレカエスと表現する。 |
ムクロージ |
〔植〕無患子(ムクロジ)。行商人のオコ(天秤棒)には、この木が一番良いという(田戸)。 |
ムケル
(向ける) |
〔他・葬〕(墓に)手向けをする(今西)。 |
ムゲンノカネ
(無間の鐘) |
〔信・俗〕奈良の二月堂へ行って無間の鐘を撞いた家は小豆飯を炊いてはいけない。犯せば蛭[ひる](ビル)になる(今西)。 |
ムコイリ
(聟入り) |
〔婚〕嫁ツレには婿と仲人が先方へ行って盃をして来る(上湯川寺垣内)。 |
ムコウ
(向こう) |
〔地〕重立った集落の対岸にあたる土地を漠然と○○ムコウという風に呼ぶ。例えば「風屋ムコウを通って……」という。ムカイとは言わぬ。 |
ムコウジ
(向地) |
〔地・村〕川向かい。対岸(谷瀬・内原)。しばしば本在所対岸の小部落の固有名詞となる。但し、瀧川ではムカジ(向地)と呼ぶ。下北山村ではムカボウ(向坊)と呼ぶことが多い。 |
ムコウバナ |
〔衣〕草履などの前緒(上葛川)。 |
ムサンコ |
〔副〕無暗に。前後の考えもなしに。「ムサンコに歩き廻った」。 |
ムシ
(虫) |
〔産〕カンノムシ(疳の虫)。 |
ムシアゲ |
〔農〕土用の二番丑のムシオクリのあとで、ヤドに集まって飲むこと(上葛川)。 |
ムシオクリ
(虫送り) |
〔農〕土用丑(六月丑)の日に行った。虫送りの行列のほかにこの日、牛を行水させる(上湯川・松柱・今西・西中・小山手・重里・平谷・谷垣内・内原)。玉置川では一番丑。 →タノムシオクリ、ドヨウウシ、サネモリドン、ムシツギ |
ムシゴメ
(蒸し米) |
〔食〕粃(シイナ)を幾叺もとっておいて大釜で蒸し、天日で干して搗き、タカミでヒアッたもの。炒って食べるとうまい(旭)。 |
ムシツギ |
〔農〕土用丑の日にコムギモチを作って田畑を祭ること。ムシツギニユク(松柱)。 →ドヨウウシ、コムギダンゴ、ムシマツリ |
ムシノキトウ
(虫の祈祷) |
〔農〕昔はアワ(粟)の害虫が多かったので、玉置山の祈祷札を畑に立てた(重里)。 |
ムシマツリ
(虫送り) |
〔農〕土用丑の日、コムギダンゴを作って枝付きの栗の葉に包み、カヤ(茅)の葉でくるんで田、畑一枚一枚に立て、神様には握ったままの団子を供えた。畑に供えたこの団子をタバッて(いただいて)食べると夏負けせぬという(谷垣内)。 →ドヨウウシ、コムギダンゴ、コムギモチ 迫西川でも「土用丑のムシオクリ」といって、同様に田畑に祭った。 |
ムシムシト |
〔副〕気持ちがくしゃくしゃする。 |
ムシメシ
(蒸飯) |
〔食〕おこわ(今西)。 |
ムシヨイ |
〔形〕大胆な。度胸の良い。小気味の良い。「なんと、ありゃあムシノヨイことする」(讃辞)(神下下葛川)。 |
ムシル |
〔他〕(草を)つかみとる。 |
ムスビゾメ
(結び初め) |
〔産〕生児の初宮参りの折、産婦の里からヨロコビに持参する。綿を入れて縫ったミョウトヒモをさせ、神前で子供を前に向かせて、それまで前で結んでいたヒボ(紐)、オビを後に結び替える。これをヒボイワイという(上湯川大桧噌)。 →ミヤマイリ、ミョウトヒボ、ヒボイワイ |
ムソビキ |
〔漁〕→ナデバリ(玉置川)。 |
ムタラコイ |
〔形〕物事がよりかかって気分が重い。モタラコイ、モッタラコイとも。 |
ムツ |
〔動〕ムツ。川魚の一種。アブラハヤのこと。 |
ムツキ |
〔産〕おむつ(襁褓[おしめ])。オシメと言い初めたのは70年ほど前である(谷垣内)。 |
ムツクソ |
〔動〕川魚の一種。カワムツ。アブラハヤのこと。身は軟らかく不味い。しばしば鰻の餌(オキヅリの)とされる。 〔注〕どの川や谷川にもいる魚で、どんな餌でも釣ることができる。人の姿があっても釣れる。昔は味噌で炊いて食べたようだが、今は鰻の餌になる程度である。この魚は焼かれる寸前に弘法大師に助けられた伝説がある。そのため全身黒ずんでいる。 |
ムツモドリ |
〔漁〕ムツをとるためのモドリ(上葛川)。 |
ムナオリ
(棟折り) |
〔住〕棟折皮。ムネガワともいう(谷垣内)。 →ムナオリカワ |
ムナオリカワ
(棟折皮) |
〔住〕カワ(杉桧皮)葺きの場合、棟にあてて折り曲げて、ササラでおさえた皮。石でおさえる場合もある(ムナオレノイシ)。ムナオリ、ムネガワともいう。 |
ムナオレノイシ
(棟折れの石) |
〔住〕カワ葺きの棟には、こわいような大きな石を載せた(竹筒)。 |
ムナガイ |
〔農〕牛具の一つ。首下の部品。 |
ムナギヅカ
(棟木束) |
〔住〕棟木を支える束(ツカ)(小山手)。 →ムナヅカ |
ムナヅカ
(棟束) |
〔住〕棟木を支える束(ツカ)(上湯川)。 →ムナギヅカ |
ムナムシ
(胸虫) |
〔体〕蛔虫[かいちゅう]が口から出ることにいう。クサギの虫の黒焼を食べさせた(田戸)。 |
ムネ |
①〔住〕棟。 ②(嶺・峯)〔地〕尾根。地名でも「峰」と書いて「ムネ」と読むところが多い。例えば峰地(ムネジ)=(上湯川字寺垣内・松柱)、峰切(ムネギレ)=(那知合)、孫入峰(ソンニュウムネ)=(平谷)、椎尾峰(シオムネ)=(竹筒)。 |
ムネアゲ
(棟上げ) |
〔住〕建前[たてまえ]。上棟式。 |
ムネアゲモチ
(棟上げ餅) |
〔住〕昔はタテマエの時、径1寸5分くらいの餅を12枚ずつ12ゼン、膳またはモロブタに載せて棟木の上に供え、あとで少し撒いて、残りは大工に持たせた(上葛川・内原)。 |
ムネオサエ
(棟抑え) |
〔住〕棟のウラ(表)側とキシ(裏)側に置いて棟皮をおさえる大きな棟木。これを更に石でおさえる(谷垣内)。 |
ムネガワ
(棟皮) |
〔住〕棟折皮。ムネオリともいう(谷垣内)。 →ムナオリカワ |
ムネサブロウガシ |
〔植〕オオガシ(大樫)の一種(松柱)。 |
ムネマツリ
(棟祭り) |
〔住〕タテマエの時、棟木の上で行う祭り(小原・上葛川)。 |
ムライリ |
〔村〕 |
ムラカブ
(村株) |
〔村〕①大字の共有財産権。またはそれを持つ家。ホンコ(ホンコスウ)。谷瀬・上野地辺では特にムラカブと呼ぶことが多い。 ②アザカブともいう。ムラカブを買えばホンコになれる(谷垣内)。 |
ムラギトウ
(村祈祷) |
〔村・信〕伊勢講の代参者2人が神宮で行う村安全の祈祷(竹筒)。 |
ムラナミ |
〔村〕トウヤ、役員を問わず、一般村民全部を含めていう。 |
ムラソシキ
(村組織) |
〔村〕 |
ムラヘデイリシタヒトビト
(村へ出入りした人々) |
〔交〕 |
ムラヤマ
(村山) |
〔村〕大字共有林(五百瀬・竹筒)。 |
ムラヨリ
(村寄り) |
〔村〕 |