ミ |
①〔林〕杉桧材の外側のシラタ(コワ)に対して、芯の赤い部分をいう(神下下葛川)。 ②〔狩〕獲物の肉。皮に対していう。 |
ミーサン
(巳さん) |
〔信〕水神(田戸)。 |
ミイトコ |
〔族〕兄弟姉妹の曾孫[そうそん]同士。 |
ミカワマンザイ
(三河漫歳) |
〔村・芸〕→マンザイ |
ミギグワ
(右鍬) |
〔農〕右手が先になる鍬の持ち方。勿論、こんなウチ方が多いが、ヒダリグワが得手の人もある(重里)。 |
ミグチ |
〔農〕水田の水口(竹筒・七色)。竹筒では苗取りの時、ミグチに糯苗を供える家もある。ミナクチと呼ぶ所が多い。 |
ミクマ サンタカ ソレミタカ |
〔狩〕1日のうちに熊、鷹[たか]三つは捕らぬ(狩人の心得)(杉清)。 |
ミケネコ
(三毛猫) |
〔動〕 |
ミコ |
①〔信〕〔神子〕玉置神社で弓神楽[かぐら]を演ずる男子。玉置川の村人の役。 ②〔衣〕三つ撚[よ]り。 |
ミゴウシン
(三庚申) |
〔住・信〕方角の凶い所に何か建てようと思えば、3度の庚申毎に土を貰って置けばよい。一庚申のたび毎に3回続けて予定地の四隅に榊を立てて七五三縄を張る(上葛川)。 |
ミゴク |
〔信〕祭のトウヤの手伝い役(上湯川・出谷・迫西川・小山手)。上湯川寺垣内の大将軍様のミゴクは、昔は6人、今は4人。上湯川大井谷や迫西川ではハタラキドとも言う。小坪瀬ではミゴクニンと言う。 |
ミゴクニン |
〔信〕祭のトウヤの手伝い役(小坪瀬)。 |
ミゴメ
(実米) |
〔農〕籾に対して、すった玄米。スリミともいう。 →スリミ(旭)。 |
ミサオオドリ |
〔芸〕盆踊りの一つ(上湯川)。 |
ミジク |
〔他〕微塵[みじん]に砕く。こわす。モジクとも。 |
ミシリクサ
(毟り華) |
〔農〕畑から毟[むし]りとった雑草。これまでハイガマで焼いてコヤシにした(上葛川)。 |
ミシル
(毟る) |
〔他〕(草を)むしる。 |
ミシロ |
〔住〕莚。ワラミシロ、ガマミシロ。 |
ミジンダマ
(微塵玉) |
〔狩〕散弾(出谷)。 |
ミズイタチ
(水鼬) |
〔動〕鼬(イタチ)の牝。皮はオン(牡)の方が高い(小坪潜)。 |
ミズイネ
(水稲) |
〔農〕普通の苗代をして植える稲(旭)。 |
ミズカケ
(水掛け) |
〔婚〕嫁入りの途中で若い衆が水を掛けた。アジツケがいいという意味でやった(上湯川)。今西ではイワイ(祝い)という。 →イワイ |
ミズカガミ
(水鏡) |
〔漁〕底に硝子をはめて水中の鮎やアメノウオをうかがい、ヘシ(釵)で突く仕掛け。ハコカガミともいう。昔は径1尺くらいの桶の底に硝子をはめたが、やがて板張りの箱に変わり、更にブリキの箱になった(小原・武蔵・田戸)。 |
ミズガラウス
(水碓) |
〔農〕シシ追いのための、箱を用いた添水[そうず](神下下葛川)。出谷・竹筒ではミズタタキという。 |
ミズキ |
〔植・製〕ミズキ。桐がないので、この木を下駄材に使う(田戸)。 |
ミズクサイ
(水臭い) |
〔形〕①(食物)の塩味が足りぬ。薄味。 ②薄情な。 |
ミズクミオコ
(水汲杠) |
〔食・運〕飲水を汲んで来るための天秤棒(猿飼字高森)。 |
ミズコ |
〔産〕生後すぐ死亡した子供。 |
ミズコイドリ
(水恋鳥) |
〔動〕アカショウビン。親不幸の罰で水が飲めぬとの昔話から。 |
ミズコワ |
〔林〕杉桧材の外側の白身の部分。中心の赤身はシシ(西川筋)。 →シラタ、コワ |
ミズシリ
(水尻) |
〔農〕田の排水口。水口はヒエグチ(小坪瀬)。ミズハキ、トシリともいう。 |
ミズタタキ
(水叩き) |
〔農〕シシ追いの添水[そうず](出谷・竹筒)。神下下葛川ではミズガラウス。 |
ミズタシ
(水出し) |
〔食〕塩蔵物の塩出し(ゴンパチ、筍、蕗[ふき]など)(旭)。 |
ミズタナ
(水棚) |
〔住〕ながし(内原字栗平・那知合)。炊事場(旭)。 |
ミズトリ
(水取り) |
①〔農〕トユ(樋)を作って水を引いてくること。但し、詰まった水を引きにゆくのは「水をカケにいく」(高津)。 ②〔筏〕鉄砲堰用語。 |
ミズトリグチ
(水取口) |
〔農・住〕取水口(高津)。 |
ミズトンボ
(水蜻蛉) |
〔動〕トンボの一種(田戸)。 |
ミズヌクメ
(水温め) |
〔農〕水が冷たい場合は、小さい田を1枚犠牲にして、一旦そこに水を溜めてヌクメルことがある。一般にはコロイデを設け、水を廻してヌクメル(山天)。 →ヒヤミズ 小坪瀬でもヒエクチ(水口)にミズヌクメを設けることがある。 |
ミズノミ
(水飲み) |
〔運〕峠道などで清水の湧く所。当然、ヤスバ(休場)になる。(三浦)。 |
ミズハキ
(水捌き) |
〔農〕田の水の出口。トシリともいう(今西)。小坪瀬ではミズシリ。 |
ミズハシリ
(水走り) |
〔住〕ながし(内原字奥里)。 |
ミズバナレ
(水離れ) |
〔動・兆〕鯉が水面に跳ね上がること。鯉がミズバナレしたら雨の兆(松柱)。 |
ミズヒョウロ |
〔動〕アカショウビン(那知合)。 |
ミズヒョロ |
〔動〕アカショウビン(旭・玉置川)。 |
ミズヒョロヒョロ |
〔動〕アカショウビン。親不幸の昔話がある(松柱・今西・小坪瀬・上葛川)。その鳴き声から、ミズヒョロ、ミズヒョウロ、ミズヒョロロ、ともいい、ミズコイドリの称もある。 |
ミズヒョロロ |
〔動〕アカショウビン(田戸・上葛川)。この鳥が山で鳴けばヒデリ、川で鳴けば大水の兆(上葛川)。 →ミズヒョロヒョロ |
ミズフネ
(水槽) |
〔住〕谷から樋でひいた水を流し元に貯える水槽。昔は主に松材をくり抜いて作ったが、後には木挽[こびき]に松材を厚く挽いてもらって作った。上湯川方面では、これをイドと呼んでいる。 →イド② |
ミズマダ
(三角田) |
〔農〕三角形に近い形の田。但し、特定の意義はない(五百瀬)。 |
ミズメガネ
(水眼鏡) |
〔漁〕ミズカガミに同じ(田戸)。 |
ミズモト
(水元) |
〔住〕みなもと。谷水の取り入れ口(上湯川入谷)。ミナクチ、タニともいう。 |
ミセル
(見せる) |
〔t〕見つける(失せものなど) |
ミソ
(味噌) |
〔食〕 |
ミソカ
(晦日) |
〔年・暦〕大晦日(谷瀬)。 |
ミソサンザイ |
〔動〕ミソサザイ。とても良い声で「カナゴキ千両」と鳴く(上葛川)。 |
ミソダイコ
(味噌大根) |
〔食〕大根の味噌煮き(内原)。 |
ミタマオガミ
(御霊拝み) |
〔葬〕出棺の前に、ガンバコ(棺)の前に机を置き、その両脇に一升瓶を据え、榊を立てて注連縄[しめなわ]を張り、祠掌や天理教教師がお祓いをし、告別の辞を読む(上湯川寺垣内)。 〔注〕郷内の葬式は廃佛後、すべて神式で行われている。 |
ミタマサマ
(御霊様) |
〔葬〕お先祖のユハイ(位牌)。ホトケサマと呼ぶのが一般であるが、廃佛後、物固い老人はミタマサマと呼ぶ。竹筒では、ミタマサマは盆には信濃の善光寺へ行って、15,6日に帰るという。 |
ミタマヤ
(御霊屋) |
〔住・葬〕もとブツダンがあった。キャクデンの裏の3畳の小部屋(旭字迫)。宇宮原辺ではブツマ(佛間)という。 |
ミダレキビ |
〔農・食〕トウキビ。コキビ。ホキビとも。 |
ミチカキ
(道掻き) |
〔村〕道普請のこと(宇宮原)。 |
ミチカリ
(道苅り) |
〔村〕道普請のこと(竹筒・玉置川)。 |
ミチキリ
(道切り) |
〔村〕隣村に悪疫がはやるとジゲの境(サカイバ)に、サガリが九-十-三のシメナワを張った。アクビョウヨケ(悪病除け)である。 |
ミチギリ
(道切り) |
〔占・禁〕蛇のミチギリ。イタチのミチギリなど。これらの動物が行く手を横切れば、右からキッたか左からキッたかによって吉凶を気にする。 |
ミチシルベ
(道標) |
〔交〕 |
ミチツクリ
(道作り) |
〔村〕年に一回、3月頃青年が道路を補修する(上湯川)。また8月1日から戸主たちが村道、私道を修理する(上湯川)。 |
ミチバチ |
〔動〕蜂の一種で、土中に巣を作る。台所に来ないから、その蜜はきれいである(宇宮原)。 |
ミチブシン
(道普請) |
〔村〕村道(里道)、山道などの共同修理、草刈りなどの賦役。ミチカキ(宇宮原)、ミチカリ(竹筒)などともいう。 |
ミチユキ
(道行) |
〔交〕山畑仕事ではなく遠方へ歩いて行くこと。ミチユキにはアシナカを履くと足が速い(田戸)。 |
ミツイチ
(三つ一) |
〔名〕3分の1(上葛川)。 |
ミッカガエリ
(三日帰り) |
〔婚〕新婚3日目の初里帰り。餅を持参する(上湯川・西川・出谷・今西・田戸・旭・玉置川)。 |
ミッカナエ
(三日苗) |
〔農・禁〕苗取りをしてから3日日の苗(ミッカナエ)は植えてはならぬ。どうしても植えねばならぬ時は2日目に全部の苗に触っておく(谷垣内)か、ナゼて(撫でて)おく(山天)かし、あるいはヨシギ(葭[よし]の茎)を挿しておくといい(山天)。 |
ミッカバチ
(三日蜂) |
〔動〕巨きな蜂の一種。これにクワレル(螫[さ]される)と、3日しか生きられぬという(田戸)。ニカダロウのことか。 |
ミツクチサマ(?) |
〔信〕出谷松柱の峯地の田泉[たずみ]家の近くにある歯痛の神様で拝んで癒[いえ]ればカネ(鉄)の鳥居を上げる。 |
ミツグマ |
〔動〕仔連れの熊。補ってはいけない(神山)。 |
ミツグワ
(三つ鍬) |
〔農〕柄の長い小さな三つ鍬。クマシ(堆肥)を拡げ散らすのに使う(旭)。 |
ミツゴ |
〔産〕嬰児。 |
ミッチャ |
〔体〕あばた。あばたづら(ミッチャヅラ)。 |
ミッチャヅラ |
〔体〕あばた面。カビッチョ、ジャンコともいう。 |
ミットウナイ |
〔形〕みっともない。見苦しい。 |
ミツバウツギ |
〔植・療〕ニベ。 |
ミツバゼリ
(三つ葉芹) |
〔植・食〕ミツバ。 |
ミツバチ
(蜜蜂) |
〔動・食〕木のウト(空洞)や土の中に巣を作る蜂。便所へ塩気をとりに来るから、その蜂は汚い(宇宮原)。竿の先にモトミツをつけておいて、次々と蜂がやって来れば木の上に登って、その行方を見定め、あとをつけて蜜や仔をとる(今西)。 |
ミツメ
(三つ日) |
〔農〕①ビッチュウの一つ。畑のアラオコシに使う。三つ鍬。ハタウチの最初に使う(旭・重里大津越・玉置川)。 ②マエゴエダシに使う道具の一つ。平歯で三つ歯。柄は1.5m。→フタツメ(武蔵・小原)。 |
ミヅラ
(見面) |
〔名〕みえ。外観。 |
ミト |
①〔地〕川の流心(西中・宇宮原・高津)。 ②〔地〕水流(竹筒)パイプ(水道管など)の穴も(込の上)。 ③〔筏〕筏の通路。場所によって人工で啓開する。イカダミト。(ミトは水途と考えてよい)。 ④〔林〕スラの木材滑走路。ドオリともいう(田戸)。 |
ミトウナァ(イ) |
〔形〕みっともない。美人でない。 |
ミナクチ
(水口) |
①〔住〕家庭用水の取り入れ口(上湯川・西中・小坪瀬・上葛川)・ →タニ②・ミズモト ②〔農〕田の水口(今西・谷瀬)。 →ミクチ、ヒエクチ |
ミナチカゴ
(皆地篭) |
〔交・農〕紀州の皆地から売りに来た桧製の篭。 |
ミナチガサ
(皆地笠) |
〔衣〕マツガサのこと。紀州の皆地から売りに来たので、この称がある(内原)。 →マツガサ |
ミナミ
(南) |
〔天〕南風。南からの雲(出谷)。 |
ミナモトゼキ |
〔地〕川の源流。最奥。 →セキ① |
ミバナオル
(巳花折る) |
〔葬・禁〕墓参りには巳の日は凶(小森)。松柱では「ミヲオル」という。 →ハナオリ |
ミハバマエカケ
(三幅前掛) |
〔衣〕昔はみな三幅の前掛をしめた(五百瀬・内原・谷垣内)。一巾木綿を三つ縫い合わせ、横でウチアワセル。紐は三ツワリ(一巾を三つに割る)で二まわり。黒、小紋、餅など(内原)。一巾前掛を見初めた時は、大きな尻が丸出しで可笑しかった(谷垣内)。 |
ミミ
(耳) |
〔衣〕針の穴(那知合)。 |
ミミイシ
(耳石) |
〔信〕穴のとおった石。耳の悪い人など祈願のため探して神様に納める。 |
ミミガネ
(耳鐘) |
〔葬・俗〕同い年の者が死ぬと耳がガーンとなる。この時は、「南無阿弥陀仏」を3度唱えると納まる(小坪瀬)。 |
ミミダレ |
〔体〕みみだれ(耳疾)(田戸)。 |
ミミタブラ |
〔体〕耳たぶ(那知合・串崎)。 |
ミミツク
(木菟) |
〔動〕オオコノハズク(垂里)。 |
ミヤキ
(宮木) |
〔信〕神社境内の木。伐れば祟[たた]りがあるとて怖れる。 |
ミヤコイモ
(都芋) |
〔農・食〕ホイモ(里芋)の一種。子が沢山つく(五百瀬)。 |
ミヤダ
(宮田) |
〔信〕昔は氏神に付属した田があった(迫西川)。玉置川ではトウダとも。 →トウダ、トウデン。 |
ミヤトウバン
(宮當番) |
〔信〕トウヤのこと(竹筒)。 |
ミヤビト
(宮人) |
〔信・伝〕七人塚など伝説に多い平家の落人をこう呼ぶ(内原字栗平)。 |
ミヤマイリ
(宮参り) |
①〔産〕・初詣(上葛川)。 ②今西では70日過ぎ、出谷小壁では男児は100日過ぎ、女児は75日目。但し、丁度100日目は避けるo(上湯川大桧噌・谷垣内・竹筒では100日日・上葛川)。神前では必ず子供を起こす。上葛川・上湯川大桧噌などでは親子だけで参るものではないとてお伴を連れ、小山手では他の子供も連れて参る。 →ヒャクニチマイリ |
ミヤヨセ
(宮寄せ) |
〔信〕神社の合祀(田戸)。 |
ミョウガ |
〔農・食〕ウナギ釣りにこの葉を叩き潰して誘う。ムシオクリの時、クワの葉と一緒に田に立てた(上葛川)。 |
ミョウガダケ
(茗荷竹) |
〔食〕茗荷[みょうが]の若葉を巻いたもの。刻んでオツケ(お汁)のハ(実)などにする。茗荷の子は「ミョウガノコ」。 |
ミョウジオヤ
(名字親) |
〔村・族〕名字(姓)を分けて貰った家。本家扱いにし、正月にはカドアケに行く(特に猿飼字高森)。名字を貰うことを「ミョウジヲヒク」という。 |
ミョウトヒボ
(夫婦紐) |
〔産〕百日参りのウチカケの紐は両方色の異なったものをつける(上湯川)。 |
ミョウホウザン
(妙法山) |
〔葬〕那智青岸渡寺の北の霊山。生きている間に一度でもここへ参っておけば、いつ何処で死んでも、その姿のままで見附られて拾うてもらえると言った(上葛川)。 |
ミヨシ |
〔運〕舟の舳[へさき]。サキともいう。艫はトモ(田戸)。 |
ミヲオル |
〔葬〕「ミ」は巳と身にかけ、オル(折る)はハナオリ(手向)の折る。墓参りには巳の日を忌む。小森では、ミバナオルという。 |