「ケ」

ケイゴ
(警固)
〔信〕正月2日のトウヤ神事の折、タマトリ(籤引)で選ばれる2人の若者。弓の射手も務める(玉垣内)。
ゲイシュウ
(藝州)
〔村・運〕以前、藝州(安芸)からニモチとして季節的に群をなして出稼ぎに来た人々。この人達からオイコ(背負子)を習った。
ケガエ 〔葬・農〕家に不幸があれば牛を取り替えること。知らせなくとも、すぐにバクロウ(バクロ)がやって来た(玉置川)。
ケゴ 〔農〕稚蚕。
ケサマヅク 〔自〕躓[つまず]く(谷垣内・小原・武蔵)。 →ケツマズク
ゲザン
(下山)
〔林〕山での仕事を一通り終わって山を下りること。ソマフ(伐採人夫)がゲザンすれば、ヒヨウ(出材人夫)が入って、ヤマオトシ(出材)の作業をする。
ケシ
(芥子)
〔産〕女児が6歳頃になると、頭髪を真ん中だけ残して剃った。この髪型をケシといった(小山手)。
ゲシ
(夏至)
〔農〕cf ゲシダ。ハゲ。
ケショウ
(化粧)
〔衣〕
ゲシダ
(夏至田)
〔農〕ゲシダといって、夏至には田に入らぬ(谷垣内)。
ケシトンボ 〔産〕脳天に髪を少し残して結んだ幼児の頭。ケシともいう。
ケシボウズ
(芥子坊主)
〔衣・産〕頭の天辺だけ丸く剃り残す髪型。ウブヤアゲにする。
ゲスイ 〔形〕下品な。
ゲスイタ 〔住〕風呂の底敷板。
ケズリ
(削り)
〔筏〕筏用語。
ケズリガマ
(削り鎌)
〔林〕材木の皮を剥ぐための鎌。秋は木の皮がむきにくいのでこれを使ってむく。
ケズリカワ
(削り皮)
〔林〕材木の剥皮作業。夏がよい。
ケズリコ 〔食〕鰹節(平谷)。
ケズリバナ
(削り花)
〔信〕山の神に供える削掛。山の神様のカンザシだという。(上湯川・西川筋・平谷・折立・神納川筋・谷垣内・那知合・葛川筋・高瀧・樫原・小原・小森・猿飼・旭迫・旭中谷)。
ケセル 〔食〕煙管[きせる]。
ケタイ・ケタイクソ 〔名〕気持ち。縁起。
ケタツキ 〔住〕ケタツキノイエ。天井の桁から直に屋根が出た、つまりガンギやノキテンジョウのない家。
ケタボ 〔衣〕入れ髪。
ケツイカダ 〔筏〕尻筏。筏の一番尻のトコ。ケツノリが乗る。
ケットー 〔衣〕毛布。
ケツネ 〔動〕狐。
ケツノリ
(尻乗り)
〔筏〕ケツイカダに乗る筏師。筏をヒカエたり、カンの弛みを直したり、浅瀬へかかればサオで操ったりする。アトノリともいう。
ケツマクラ
(尻枕)
〔林〕スラのマクラの一番下のもの。 →シリマクラ
ケツマズク 〔自〕つまずく。ケトルとも(串崎・那知合)。
ケトリ 〔狩〕ハネワサ(シシ罠)のハネギを撓[しな]める細いカズラ(蔓)。シシがこれに鼻先で押せば、チンチンが外れてハネギが跳ね上がり、ワサ(罠)が締まる(小坪瀬)。
ケトル 〔自〕つまずいて足が乱れる。「あんまり急ぐとケトルぜ」(串崎・那知合)。ケツマズクともいう。
ケナルイ 〔形〕→ケナリイ
ケナリイ 〔形〕羨ましい。ケナルイ。
ケナルガル 〔自〕羨ましがる(那知合)。
ケヌキ 〔衣〕わら草履の前緒の結びを草履の本体の中へ入れるもの(五百瀬)。
ケヌキゾウリ 〔衣〕ハナオ(鼻緒)を裏へ引き抜いて、裏で結んだ草履(谷垣内)。
ケバ 〔名〕毛。
ケブルイ 〔住〕目の細かい篩[ふるい]。
ケブライ 〔名〕気配。そぶり。様子。気振。「そんなケブライもなかった」。
ケムリダシ
(煙出し)
〔林・炭〕炭窯の煙出しの穴。
ゲヤ
(下屋)
〔住〕母屋に建て添えた小屋。小室。軒下。
ケヤキ
(欅)
〔林・植〕
ケヤス 〔他〕消す。キヤスとも。
ケラ 〔動〕①きつつき。 ②カワゲラ。幼虫は釣りの餌になる(宇宮原)。 ③螻蛄[けら]。タノムシオクリの折、送られる対象の一つ。例。「ムシモ ケラモ オクルゾー」(重里)。「ムシモ ケラモ オントモセイ サネモリドノノオントオリ」(今西)。
ゲロウ 〔人〕いやしい人。助平[すけべえ]な人。
ケン ①(間)〔住〕カワ(杉桧皮)の量の単位。巾1尺2寸、長さ3尺5寸のカワを6枚ずつ腹合わせに計12枚を両端でワラやクズカズラ(葛の蔓)で括ったものを1ケンとし、四六間(四間×六間)の家なら、カワが何ゲン要ると見積もる。 ②〔植・食〕ケンポナシ(谷垣内)。
ゲン ①縁起。「ゲンがよい」 ②〔名〕効果。 「ゲンクソ ワルイ」
ケンカゴソク
(喧嘩五足)
〔狩〕シシの大きさを示す語。ヨンソクとゴソクの中間。この辺でカワカイ(皮買い)とよく喧嘩になるからこういう(小坪瀬)。
ケンケン 〔児〕片足跳び(長殿・旭・上野地・川津・高津・猿飼・平谷)。
ケンザオ
(間竿)
〔林〕材木の寸法をはかる6尺の竿尺(上葛川)。
ケンザキ
(剣先)
〔信〕伊勢の0型の御札。
ケンシャク
(検尺)
〔林〕伐った材木の石積をはかること。ケンシャクする。スンケンするとも。
ゲンジロムシ 〔動〕蛹[さなぎ]。ニシヒガシとも。
ケンズイ
(間食)
〔食〕間食。谷瀬では午前中。これとアサイとの間にアサケンズイがある。旭では、ヒルメシとユーメシの中間。オチャともいう。上葛川でも午後。ヤツヂャともいう。
ケンゾク 〔族〕家族。
ケンタイ 〔形〕当然。
ケンツ 〔筏〕信州トビ(鳶口)の竿の先にはめる金具で、浮いた材木を追しやるのに用いた。
ゲントウ
(幻燈)
〔芸〕
ケンド・ケンドモ 〔接〕けれど。けれども。
ケンバイ 〔形〕大嫌い。
ケンビキ 〔体〕肩の筋。
ケンライ 〔名・副〕「ケンライもない」。コレッポチもない。カタデない(旭)。