フーキ |
〔植・食〕蕗。フキ。蕗の薹[ふきのとう]はフキノシュウトメ。 |
フイキ |
〔植・食〕フキ(上葛川)。 |
フイキメシ
(蕗飯) |
〔食・農〕ウシアゲの日に食べる。蕗[ふき]の軸を刻み込んで炊いたカヤクメシ(玉置川)。 |
フイゴマツリ
(吹鞴祭り) |
〔年〕霜月8日。鍛冶屋の休み(田戸など)。 |
フエシカ
(笛鹿) |
〔狩〕鹿笛で牡鹿を誘き寄せる猟法(上葛川)。 |
ブエン
(無塩) |
〔食〕生(なま)。昔はブエンの魚(塩気のない生魚)はなかった。 |
フキ |
〔食・植〕蕗の薹[ふきのとう]は、シュウトメの異称。 |
フキオロシ
(葺き下ろし) |
〔住〕屋根の葺き上げの祝い。田戸ではジゲ中が喜んで集まり一杯飲んで踊った。 |
フキノシュウトメ
(蕗の姑) |
〔植〕蕗の薹[ふきのとう]。 |
フキミズ
(噴き水) |
〔住〕湧き水。清水(谷瀬・宇宮原)。宇宮原ではワキミズともいう。 |
フキヤ
(吹き矢) |
〔児〕童戯。アマダケの節間の長いものを使う。矢は細い割竹に円錐形に紙を巻き付けて作る(田戸)。 |
フク |
①〔自・天〕ニジガフク=虹が立つ。ゴランゴ(河童)の息(いき)だという(東中・上葛川)。 ②〔植〕フシ(五倍子)が出来ることも、フシガフクという(内原)。 ③〔自・他〕吹く。 |
ブク |
〔葬〕死やお産からくる不浄。ブクガカカル(宇宮原・上葛川)。 |
フクイ |
〔住〕藺草[いぐさ]で編んだ敷物の一つ。莚より良い。 |
フクソウダイ
(副総代) |
〔村〕総代が事故または出張中、その職務を代行、現在一大字2名(谷垣内)。 |
フクツク |
〔動〕梟(フクロウ)のこと。普通はフルツクというが、正月に限ってこう呼ぶ。元朝、若水を汲みに行って兵の声を聞けば「フクツク(福付く)」が鳴いとるという(小坪瀬)。 →フルツク。 |
フクナエ
(福苗) |
〔農〕田植えの折り、苗代の真ん中の苗を10本ほど取って来て、ヘヤのエビス様に供える。これをフクナエという(重里)。 |
フクミズ
(福水) |
〔年〕若水。ワカミズともいう(内原)。 |
フグリ |
〔体〕陰嚢。睾丸。フングリともいう。 |
ブクリョウ
(茯苓) |
〔植・療〕マツホドの漢方名。松の木を切ってから2、3年経つと土中に残った松の根方に出来る球状の菌類。その黒い表皮を除き去って白い部分を粉末にしたのが茯苓末。利尿剤。昔は健胃剤として用いた。猪は、食べ過ぎると、これを掘って食べるという。上湯川ではマツフド。 |
ブクリョウツキ |
〔林・療〕薬草のブクリョウを突いて掘り出す道具。薬剤としてよく掘った。伊那谷の場合、土中のマツホドの有無を調べるため「ホド針」という90cm位の、先の尖った鉄製の針を使って土中の松の根を突く。マツホドがあれば、針が突き刺さって抜けて来ないから、その所在が知れる。 |
フクロイチゴ
(袋苺) |
〔植・食〕イチゴの一種。谷垣内では、タウエイチゴより少し後れて実るというが、松柱ではこれをタウエイチゴともいい、また上湯川ではカムトイチゴともいう。 |
フクロキビ
(袋黍) |
〔農・食〕玉蜀黍(上湯川)。キビ、ナンバ、ナンバキビとも。 |
フゴ |
①〔農〕わらふご。畑から藷を掘って持ち帰るために、また山道具入れ、苗木運びなどに用いる。小ぶりのものは山仕事のメッパ(曲物の弁当箱)を入れて行くのに使ったが、これに入れると冬など飯が冷えず喜ばれた。 ②〔産〕昔は幼児をフゴに入れた。イズメコとも(上湯川字大桧噌)。 |
フサガリ
(塞がり) |
〔占〕凶の方角。フタガリ。スキの反対。 |
フサザクラ |
〔植・食〕一般にいうワタナのこと(出谷)。 |
フシ |
①〔植〕五倍子。 →ヤマブシ。 ②〔名〕流儀。「○○フシ」。 |
フジ |
①〔葬〕凶事。フジガカカル。 →ブク。 ②〔植〕藤。 |
フシアガリ
(節上がり) |
〔農〕稲のフシアガリは3べんある。ワラにはハツブシ、チュウブシ、スエブシと三つのフシがあり、そのフシの上がる日だけは田に入ると凶い。暦にあるという(谷垣内)。 |
フジギモノ
(藤着物) |
〔衣〕藤の繊維で織った布(内原)。ヒトミコずつでモジリを作った(内原)。 →フジコギノ。旭では、これを一枚織れにゃ嫁に行けんと言った。 |
フジキリ
(藤伐り) |
〔林〕編筏用のフジカズラを伐ってくること。これでフジタマを作って筏師に売り、テッポウセギの水漏れ止めのコケやシダなどと共に女たちの収入になった。 |
フジクラ |
〔衣〕麻裏草履(表は藺[い]で作り、裏は麻で作る)。 |
フジコギノ |
〔衣〕藤の繊維で織った布。特にヒウラフジノマフンジンが良いという(上湯川・西川筋)。 |
フシタカイチベ |
〔植〕イチベの一つ。ツトイチベとも(上葛川)。 |
フジタマ
(藤玉) |
〔林〕編筏用に村人が伐って来て作った。 |
フジツキ |
〔林〕伐倒した木の枝を落とすこと(西中)。 |
フジブクロ
(藤袋) |
〔食〕藤布(フジコギノ)で作った袋。茶粥の茶袋などに用いた。 |
フシノキ |
〔植〕ヌルデ。 |
フジョウビ
(不浄日) |
〔年〕この日は特定の禁忌[きんき]はないが、山へはあまり入らない。①正月3日(上湯川寺垣内・松柱・小坪瀬・旭)。 ②上湯川大桧噌では、不浄日は、旧正月3日から77目、77日に来るという。 |
フシン
(普請) |
〔村〕村仕事。公役。惣代の命で出動する。学校や宮の修理などジゲ(大字)全体の賦役もあるが、大抵は道刈りなどバン(小字)単位のバンブシンである。出動日数(デグ)を勘定し、デブソク(不参日数)を精算する所もある。谷瀬の場合、サシブシン、ソウブシン、ソウダイブシン、ハシカケブシン、ミチブシン、ヤマブシンなどがある(各項参照)。 |
フズクル |
〔他〕強いる。押し付ける。「何もいらんもの、人にフズクルなよ」。フズケルともいう。 |
フズケル |
〔他〕→フズクル |
ブスツク |
〔自〕ぶすぶす不平をいう。独り言を呟く。ブツツクともいう。 |
フスマ
(衾) |
〔衣〕カミソを漉いて厚い紙を作り、何枚も貼り合わせて澁を塗ったもの。冬は炬燵[こたつ]に被せ、また着て寝た。ワラスクダ(わらのはかまをすぐったもの)を入れて、敷いても寝た。出谷では、綿の入った蒲団は、明治40年代から用いたが、所帯の苦しい家ではもっと後までフスマを使っていた。 |
フセコミ |
〔林〕キリツケ(立木を元倒しにする)の際、山の上から順に伐って下ること(字宮原)。 |
フセル
(伏せる) |
〔他〕「病気をフセル」=祈祷で癒す(谷垣内)。 |
フタイトコ |
〔族〕またいとこ。 |
フタガリ |
〔俗〕→キヅマリ(西中)。 |
フタガル |
〔自〕塞がる。 |
フタカワ
(二川) |
〔地〕中洲などによって河流が二股に分かれている所。流材には、まずその一方をフタグ。 |
フタグ |
〔他〕塞ぐ。蓋をする。〔自〕は、フタガル。 |
フタグラ |
〔住〕あぐら。イタクラ。オタグラとも。 |
フタコネリ |
〔衣〕「ヨソイキはフタコネリ」とて、他出[たしゅつ]用の草履は若い娘など美しい2色の布で巻いた(西川)。 |
フタツグルマ
(二つ車) |
〔植〕門松の枝の2段になったもの。門松には、これを忌み3段、5段など奇数を好む。 |
フタツメ
(二つ目) |
〔農〕①厩肥[きゅうひ]を掻き出す道具の一つ。鉄製の二つ歯で、歯は丸い。柄は1.5m。→ミツメ②(武蔵・小原)。 ②より小型で畑の草取りに使うものもこういう(上葛川)。 |
フダバン
(札番) |
〔村〕惣代の用聞き役。用事を1回勤めれば、次の番に木札を廻す(谷垣内・竹筒・玉置川)。 |
フタル |
〔自〕①すたれる。廃絶する。(習俗など)なくなる(猿飼)。 ②こぼれる。 |
フチアミ
(渕網) |
〔漁〕フリカケ(夜の網漁の一つ)に用いる大網(田戸)。 |
ブチクル |
〔自〕小言を言う。ブツクルとも。 |
フツ |
〔自〕胡瓜、山芋など柄のついている頭の部分で、まずいから捨てる部分をいう(串崎・那知合)。 |
ブツ |
〔名〕栃の実など水に漬けておくと小さい泡がぶつぶつ実のまわりに吹き出る。これを「ブツフク」という(上葛川)。 |
ブツクル |
〔自〕小言を言う。ブチクルとも。 |
フツケ |
〔名〕綿屑など細かいもの。細かくて小さい物。ブッケともいう。 |
ブッケ |
〔名〕フツケ。 |
フッケンダケ |
〔住〕火吹竹(竹筒)。 |
ブツダン
(佛壇) |
〔信〕廃佛後100年近くにもなるが、この語は今も残り、またそのまま残している家が多い。廃佛の時、封印したまま開けてはいけないという家もある。先祖をホトケサマと呼ぶのも一般で、お大師さんを信心している家は極めて多い。ホトケダナともいう(小坪瀬)。 →ブツマ |
ブツツク |
〔自〕ぶつぶつ不平を言う。 →ブスツク |
ブツマ
(佛間) |
〔信・住〕オクノマ(キャクデン)の裏側のブツダン、エビッサンのある3畳の間(宇宮原)。旭などでは、この部屋をミタマヤと呼ぶ。 |
フテル |
〔他〕①捨てる(東中・今西)。 ②亡失する。「大事なものフテてよわったわよ」。落とす意もある(神下)。ゴッタフテ=塵捨場(今西)。 |
フド |
①〔植・食〕ホドイモ。昔はホリモノ(掘り物)の一つとして、よく芋を掘って食べた。フドイモともいう。 〔注〕非常に深い所にある芋で、掘るのに相当苦労したという。伝説もある。 ②〔植・療〕松の根方に生える菌の一種。薬効あり。 |
ブト |
〔動〕蚋(ブヨ)。 |
フドイモ |
〔植・食〕→フド |
ブトウ |
〔林〕支配人。山ブトウ。 |
フトオ
(太尾) |
〔地〕主稜(宇宮原)。 |
フトン
(蒲団) |
〔衣〕→フスマ。 |
ブナ |
〔植〕 |
フナシ
(舟師) |
〔運〕舟方。船頭(田戸・竹筒・七色)。 |
フナダマ
(舟玉) |
〔運・信〕川舟の神様。舟のナカフナバリ(中舟梁)の中央で祭る(田戸)。 |
フナハリ
(舟梁) |
〔運〕船の両舷を突っ張る3本の梁。真ん中の梁をナカフナバリといい、ここで舟玉様を祭る(田戸)。 |
フナバン
(舟番) |
〔運〕新宮通いの荷舟が途中で泊まる時に、夜中交替で積荷の番をする役(田戸)。 |
フナビツ
(舟櫃) |
〔運〕荷舟で寝るための蒲団、着替え、草鞋などを入れておく大きな櫃。蓋は浸水を防ぐため、一枚板で丸味をもたせる(田戸)。 |
フナモリ
(舟守り) |
〔運〕渡守り(三浦)。 |
フネヅメ
(舟詰め) |
〔運〕昔の舟板の隙間を塞ぐのに横(マキ)のアマカワ(甘皮)を細い糸のようにして詰めた。マキは水に強い(小原・武蔵)。 |
フネバチ
(舟蜂) |
〔動〕葉裏に舟形の巣を作る蜂。ハネウラバチ、ヒリヒリバチともいう(宇宮原)。 |
ブマシ
(歩増し) |
〔経〕仕事の難しさによって標準賃銀より多く出すことをブマシヲカケルという。 |
フミジリ
(踏尻) |
〔農・住〕カラウスの踏み場のシリの辺りを指す。ノチモノ(後産・胞衣)や堕した子は、ここへ埋めた(内原)。 |
フミダイ
(踏み台) |
〔住〕棚の上に物を上げ下ろしする時などに上る台。フミツギともいう(小原・武蔵)。台の下を塵箱に使っている家もある。セツギとも。 |
フミタクル |
〔他〕踏みつける。踏みにじる。 |
フミツギ
(踏継ぎ) |
〔住〕→フミダイ、セツギ |
フユダマ |
〔植〕リュウノヒゲ。スケダマとも。 |
フユトシ |
〔時〕旧年。 |
フユヌケ
(冬抜け) |
〔農〕畑作物などでタカナのように冬越しすることにいう(上湯川)。 |
ブラクリヂョウチン |
〔住〕携帯用の丸提灯。カブラヂョウチンともいう(小坪瀬)。ブラブラヂョウチンともいう(田戸)。 |
ブラブラ |
〔住〕ブラブラヂョウチンに同じ(上葛川)。 |
ブラブラヂョウチン |
〔住〕携帯用の丸提灯。 →ブラクリヂョウチン |
フリカケ |
〔漁〕闇夜[あんや]に渕にフチアミという大きな網を張って取り囲み、麦ワラなどのタイマツを振り回して鮎を追い込む漁法(田戸)。 |
フル
(振る) |
〔他・農〕ムギヲフル。コエヲフルなど。米、麦を播いたり、肥料を撒いたりすることにも用いる(竹筒)。 |
フルウ |
〔自〕①ふるえる。おののく。 ②財産を無にする。 |
フルギ
(古着) |
〔衣〕田辺の行商人がジャコなどのほかに、主に古着屋の古着を持って来た(谷垣内)。 |
フルセン |
〔農〕種に使った古い芋。 |
フルチ
(古血) |
〔産〕産後、ズイキを炊いて食べるとフルチが早く下りる(旭)。 |
フルツク |
〔動〕兵(フクロウ)。「フルツク フーフー」と鳴く(重里・那知合・西中・田戸・小山手・小坪瀬)。小坪瀬では、元朝、若水を掬みにゆく時に、この鳥の声を開けば「フクツク(福付く)鳴いとる」と喜ぶ。猿飼字高森では、この鳥がココココと鳴けば雨の兆し。「ノリツケホーセ」と鳴けば、好天の兆し(串崎・那知合)。大晦日に風呂へ入らぬとフルツクになる(小山手)。ホウスケともいう。「ノリツケホーセ」と鳴いて、明日の好天を知らせる(串崎・那知合)。 |
フルハカ
(古墓) |
〔葬〕祭りの絶えた墓(上葛川)。 |
フルヤマノカミ
(古山の神) |
〔信〕以前、誰が祭っていたか判らぬが、山の神と伝えられる木。方々にある(小坪瀬)。 |
フレガシラ
(触頭) |
〔村〕バンガシラのこと(出谷)。 →バンガシラ |
フレバン
(触番) |
〔村〕ジゲ(大字)中に用件を触れる役(七色ほか)。 |
フレマイ |
〔社〕振舞。御馳走。 |
フレヤク
(触役) |
〔村〕(那知合)。 →フレバン |
フロノツボ |
〔地〕(内原)。 |
プロペラセン
(プロペラ船) |
〔交〕最盛時は野尻の辺まで上っていた。 |
ブワ |
〔名〕泡〔上葛川〕。ビールのブワ。 |
フングミ |
〔衣〕(踏み込み)長い股引。ナカバッチともいう(小原・田戸)。山袴。フンゴミともいう。 |
フングリ |
①〔体〕ふぐり(陰嚢・睾丸)。フグリともいう。 ②〔植〕まつかさ(迫西川)。マツフグリとも。 |
フングリゼンマイ |
〔食・植〕胞子嚢のあるゼンマイ。軸だけ食べ、またその綿を乾してテンマリのシンにして遊んだ。オトコゼンマイともいう(旭)。 |
フングリツツキ |
〔植〕(ふぐり突き)柊(内原)。オニノフングリツツキという所も多い。 |
フンゴミ |
〔衣〕山袴。 →フングミ。 |
フンダ |
〔植・療〕桑のフンダ。梅の木のフンダ。 |
フンドシ |
〔衣〕①女の腰巻き。伊予や備後の紺餅で下に柔らかいコシマキをしめた(上葛川)。よそ行きの時は外してコシマキだけにする。コシマキともいう。モツキとも(串崎・那知合)。 →コシマキ ②北部ではロクシャクフンドシ(六尺褌)。6尺5寸。 |
フンドシモチ |
〔婚〕嫁入りの行列の道中で花嫁の衣類を入れた箪笥[たんす]を持つ役目で、最も嫌われ、長男や青年たちは持たないことになっていた。フンドシはやはり腰巻きを指すか?(西川)。 |
フンドン
(分銅) |
①〔交〕秤の分銅。 ②〔戯〕ホウビキのオヤが持つホソビキの一端につけるワラシベや紙屑などの玉。 →ホウビキ |