「ホ」

ホーキビ
(穂黍)
〔農・食〕トウモロコシともいう。但し、高梁(コウリャン)のこと(猿飼字高森)。イナキビをホキビと呼ぶ所も多い。 →ホキビ
ホータル 〔動〕蛍(重里)。
ホーデ 〔農〕カリオキをスシた堆(串崎字大津越)。
ホーヌケ 〔副〕不意に。だしぬけに。「ホーヌケ キカレテモ ワカラン」(旭)。
ホーハズカシイ 〔形〕てれくさい。
ホイタラ 〔接〕そうしたら。
ホイテ 〔接〕そして。
ホイテカラ 〔接〕それから。
ホイモ 〔農・食〕里芋(五百瀬・内原・小原・平谷・旭)。内原ではマイモともいう。ホンイモという所もある。カシラ(頭)は、オヤまたはカブといい、子芋はコジ、コウジ、イモコジなどという。カシラはデコマワシの主材料として、主食に近い地位を占めていた。ズイキ(イモヅル)も食用。ワリナにして貯蔵し、買いにも来た。クリイモ、ミヤコイモ、ヒュウガイモ、エグイモ(アオヅル)、ヤツガシラなど品種が多い(五百瀬の例)(各項参照)。
ホイヤ 〔族〕本家の義か。家名(ヤミョウ)にある(上湯川大桧噌市原、宮脇家)。
ボイヤイ 〔児〕(追い合い)追いかけっこ。鬼ごっこ。ボウは追う。
ホウ
(朴)
〔植〕朴[ほお]の木。そのハネ(葉)で五月節句のオサスリを包んだ(小原)。
ボウ ①(坊)〔村〕小字を示す語の一つ。キレ、バンに相当する。例えば谷瀬の西坊、岡坊など。下北山村に極めて多い。 ②〔他〕追う。鬼ごっこはボイヤイ。
ホウエン 〔芸〕盆の大踊り。法会[ほうえ]か(谷瀬)。
ホウキ 〔住・産〕「春三月[みつき]箒を作れば、福の神をナデ(掃き)出す」(上葛川)。
ホウキグサ
(箒草)
〔農〕箒の素材としてのトウキビのこと(内原)。 →トウキビ
ホウキノカミサマ
(箒の神様)
〔信・産〕厠[かわや]の神様と共にお産に立ち会われる。それで箒は絶対に跨[また]いではいけない。
ホウキモチ
(箒持ち)
〔葬〕葬列で、嫁いだ姉娘が竹箒を持って先頭に立つ(谷瀬)。
ホウキョウトウ 〔信〕法華経塔か、竹筒の上のクラワキの峠にあり、高倉神社の旧地と伝える(竹筒)。
ホウゲタ
(頬桁)
〔体〕頬の卑語。「ホホゲタぶち殴ってやるぞ」。ホッペタ、ほうづらとも(申崎・那知合)。ホウゲタタタク=物を言う(卑)。
ホウケントウ
(法華経塔)
〔信〕法華経一字一石埋納供養塔(塚)。
ホウコウニン
(奉公人)
〔族〕女中。下婢[かひ]。詰まってホコニンともいう。デガワリ(契約更新)は正月前と盆前(樫原)。
ホウシ ①(法師?)〔族〕男。アマ(女)に対していう(出谷・西川・平谷)。 ②〔卑〕あの野郎とか、あの小悴[せがれ]などと譏[そし]る場合にも用い、「あのホウシ、ゴシたろうらい=あいつ、いじめてやろうか」と使う。アホンダラホウシ、カッタイボウシ、オイボシ(甥)などと接尾語的に用いることも多い。 ③〔林〕スラ(修羅)のサオを括[くく]ったり、釘付けにしたりしないで、下または斜め下から支える支柱。材木をカク(角材)にハツル作業などにも応用する。垂直に立てて支えるのはマボウシ、はすかいに支えるのはオイボウシ。その下に据える(礎)石をホウシジリという(田戸・下北山村)。
ホウジ 〔植・食〕蔓になる。地下にイモが出来、コンニャクによく似ている。身を清めるものだと言い、お宮へ参りに行くとき食べていけと言う(上葛川)。
ボウシ 〔農〕スシクサ堆のこと。サシボウを芯にスス(山天・竹筒・谷垣内・玉置川)。谷垣内では、クサボウシとも。コエボシ、スシコエボシなどと用い、スシクサの量の単位として一ボシ、ニボシという。
ホウシジリ 〔林〕ホウシ③の礎として据える石(田戸)。 →ホウシ②
ホウジョウイン 〔年〕放生会[ほうじょうえ]の訛。イモ名月のこと。この日が踊り納め(山天)。 →イモメンゲツ。
ホウスケ 〔動〕梟(フクロウ)。 →フルツク
ホウズケ 〔植〕ホオズキ
ボウセキイト
(紡績糸)
〔衣〕
ホウソ
(柞)
〔植〕コナラ、またはミズナラ。その実で餅を作った。若葉を肥にした。 →ホウソモチ
ホウソウ
(疱瘡)
〔体・療〕天然痘。流行していると聞けば、村の入口にミチキリをし(→ヤマイガミ)、愚者が発生すればニゲゴヤ、ホウソウゴヤを仮設して隔離した。社日生まれの人は、ホウソウにかからぬ(谷垣内)。
ホウソウゴヤ
(疱瘡小屋)
〔村〕天然痘患者を隔離した仮小屋(高瀧)。谷垣内ではニゲゴヤとも。
ホウソメ
(柞芽)
〔農〕ホウソの若葉。タシバに一番良い(谷瀬・旭)。
ホウソウモチ
(柞餅)
〔食〕ホウソの実を小槌で叩き潰して皮をハズシ、粉にして袋に入れ、ワキミズ(湧水)に漬けてアワシ(灰汁を抜き)、餅に搗いたもの(谷瀬)。
ホウダイ 〔食〕わらづと(藁苞)。サケツリなど祝儀の魚を包む(松柱)。 →ホデ
ホウチョウ
(包丁)
〔林〕山包丁。山刀。十津川郷士の遺風として、刀代わりに、何処へ行くにも腰にぶちこんで歩いた。竹筒では、カイフともいう。
ホウヅラ
(頬面)
〔体〕頬の卑語。ホッペタ、ホウゲタとも(串崎・那知合)。
ボウツリ 〔漁〕魚篭[びく](小坪瀬・小原・武蔵・旭)。ボッツリともいう。大型の丸いものはドウマルという(小原・武蔵)。
ホウトクナァ(イ) 〔形〕心細い。
ホウビキ
(宝引き)
〔戯〕人数に合わせて短い紐(ホソビキなど)を作り、そのうち1本だけ尻に一文銭やワラシベ、紙屑などを括って印(→フンドン)をつけ、オヤが一纏[まと]めに握って仲間に引かせ、印(フンドン)のついた紐を引き当てた者に、皆の張った銭があたる。特に女たちが好んでした気楽な博打の一つ。他人の家を借りてやる場合は、なにがしかの寺銭(テラ)を出した。
ボウフウシセツ
(暴風施設)
〔住〕
ボウブラ 〔農・食〕南瓜。ナンキン、カボチャとも。
ホウラクル 〔他〕放置する。
ホウル 〔他〕ホッタル。投げ捨てる(串崎・那知合)。
ホウロク 〔食〕焙烙[ほうろく]。素焼きの炒り皿。
ホエル 〔自〕怒鳴る。
ホオクリバンジョ 〔植〕シュンラン(山天)。
ホオクロバナ 〔植〕シュンラン。ホオクリバンジョ、ジジババ、ホケキョとも。
ボカウチ 〔農〕ハタウチ作業の一つ。クサを入れずに、逆さになって打っていく。
ホカス 〔他〕①投げる。ホッタル、ホラクルとも。 ②捨てる。
ホキビ
(穂黍)
〔農・食〕イナキビのこと(出谷・小原・武蔵)。 →イナキビ。猿飼大字高森でホーキビといえば高梁のこと。 →トウキビ
ボクショ 〔名〕棒切れ(旭)。
ホグセ 〔農〕カマカギ(玉置川)。
ボクットー 〔名〕ボクトに同じ。 →ボクト
ボクト 〔名〕①棒。棒切れ。 ②ささくれ(木片)。 →ボクットー
ホクラバンジョウ 〔植〕シュンラン。ホオクロバナなど。
ホクレバンジョ 〔植〕シュンラン(那知合)。
ホクロ 〔植・食〕サツキ類の葉に出来る虫瘤。子供たちがむしって食べた(田戸)。
ボケ 〔人〕阿呆。
ホケッチョ 〔植〕春菊(旭・高津)。
ボケツツジ 〔植〕ツツジの一種。年中咲くから、この称がある(沼田原)。松柱ではメクサリ。アホダラツツジと呼ぶ所が多い。 〔注〕モチツツジのことか。ヒッツケバナともいう。
ホケラカス 〔他〕ひけらかす。見せびらかす。ホケル②
ホケラバンジョウ 〔植〕シュンラン。ホケラバンジョウ。ホオクロバナ。
ホケル ①〔自〕囀[さえず]る。「鴬がよくホケル」。 ②見せびらかす。ホケラカス。 ③物事に熱中する。ふける。
ホコニン 〔村・族〕奉公人。女中。 →ホウコウニン
ホコル 〔自〕頑張る。「ひとほこり ほこれよ そうとうに あがりのわかを知らぬか」(山天の田植唄)。
ボサ 〔地・植〕棘薮。非常に生え込んだ所。そだ。ボサワラ。
ボサアラケ 〔林〕山の潅木や草が生え茂った所を苅り払って(アラケテ)きれいにする作業。
ボサユキ 〔天〕ぼさぼさして固まらぬ雪。牡丹雪。ボタモチユキ。
ボサン 〔信〕お坊さん。
……ボシ ①〔農〕苅干草堆(竹筒)。コエボシ、ススコエボシ。また苅干草の単位としてヒトボシ、フタボシという。 →ヒトボシ ②(法師)〔人〕ヒトリボシ(ひとりぼっち)。ハダカボシ(裸ん坊)。キツネボシ(狐)、タヌキボシ(狸)、ヤエンボシ(猿)、ゴウラボシ(河童)。また、悪罵[あくば]の意を込めてアホンダラボシ、(クソ)カッタイボシという。
ホシイ 〔形〕惜しい。
ホシイモ
(干藷)
〔食〕サツマ(甘藷)を煮て輪切りにし、藁に通して日乾しにして保存する。八分目にもどして煮て食べる(上湯川・西川)。シラボシ、ウテボシ、マルボシの別がある(西川)。北部ではホシカ、ホシカイモという。 →ホシカイモ
ホシカ 〔食〕干藷(五百瀬・内原)。 →ホシカイモ、ホシイモ
ホシカイモ 〔食〕干藷(谷瀬・三浦・五百瀬)。重里大津越・上葛川・猿飼ではカンピョ(ウ)イモともいう。ホシイモと呼ぶ所も多い。
ホシコイ 〔動〕アリジゴク。「ホシコイ、ホシコイ」と唱えて掘り出した(武蔵)。
ホシコイコイ 〔動〕アリジゴク。遊びは覚えていないという(高津)。
ホシコイドリ
(星恋烏)
〔動〕五位鷺[ごいさぎ]に似た鳥で、羽に星のような小白円紋がある。
ホシジャコ
(干雑魚)
〔食〕煮干し。だしじゃこ。
ホシッコ
(法師子)
〔族〕ホウシ①の転訛。男の子(『全国方言集』)。
ホゼクル 〔他〕ほじくる。ホゼルとも。
ホセル 〔他〕干す(上湯川)。
ホゼル 〔他〕ほじくる。「歯をホゼル」。探し求める。ホゼクルとも。
ホソ
(柞)
〔植〕楢。
ホソシバ
(柞柴)
〔農〕ホソの若枝、若葉。肥料として田に鋤き込むタシバには、これが特に喜ばれた(玉置川)。
ホゾノ 〔産〕臍[へそ]の緒(小山手・内原・東中)。
ホゾノオ
(臍の緒)
〔産〕同上(上湯川・今西)。一生に一度の大病の時に煎じて飲めば癒[いえ]る。
ホタ
(榾)
①〔住〕炉で焚く割木。ホダ、ボタともいう。上葛川ではホタは榾、ボタは椎茸榾。 ②〔林〕椎茸栽培用の丸太もシイタケボタという。
ホダ ①〔林〕榾。→ホタ ②〔体〕転じて比喩的に足、下肢。「そこのホウシ悪さしくさっとるとホダ叩き折ったるぞ」(那知合)。
ボタ ①〔住〕榾。 ②〔林〕特に椎茸栽培用の榾木。 →ボタウチ
ホタウチ
(榾打ち)
〔住〕普請の際、イシヅキのゾウヨ(入費)を避けるためにホタ(割木、丸太)でとんとん搗いておくこと(内原)。
ボタウチ
(榾打ろ)
〔林〕椎茸の菌糸の増殖を促進するためにボタ(シイタケボタ)を叩いて振動を与える作業。 →ボタ、ホタビラキ
ホタエル 〔自〕調子にのって悪ふざけする。たわむれる。
ホタサマ
(榾様)
〔年〕正月にユルリで焚くホタ(榾)を特にこう敬称する(旭字迫)。
ホタヅキ
(榾搗き)
〔住〕イシヅキの経費を省くためのホタでとんとん搗き固めておくこと(内原)。
ホタヒラキ
(榾開き)
〔林〕椎茸は、春茸は自然生えを採るが、土用茸、秋茸は、池を作って貯水し、ホタを10時間以上浸し、両端を2,3度叩いて(ボタウチ)引上げて積んで置き、2,3日して立てて並べる。この作業をボタビラキと呼んだ(上湯川)。
ホタマクラ
(榾枕)
〔住〕ユルリに燻べる長いホタの先が浮上がらぬように、その下にかませる木片(内原字栗平)。
ホタマツリ
(榾祭り)
〔年〕年頭にユルリでセチボタをくべること(迫西川)。 →ゼニボタ
ボタモチ
(牡丹餅)
〔食〕御飯を炊いて潰した餡[あん]をつけた団子。おはぎ(上湯川・玉置川)。
ボタモチユキ
(牡丹餅雪)
〔天〕→ボサユキ
ボタンザクラ
(牡丹桜)
〔植〕八重桜。
ボチボチ 〔副〕ゆっくり。ぼちぼち。
ホッカブリ 〔衣〕頬被り。寒い時は、女の人もホッカブリした(谷垣内)。
ホッコリ 〔副〕具合良く。
ホッコリスル 〔自〕満足する。
ホッタル 〔他〕抛る。投げる。ホカス、ホラクル。投げ捨てる(串崎・那知合)。
ホッタレグライ 〔言〕ほんのちょっと明るくなった頃合に言う(谷垣内)。
ホッチャコケタカ 〔動〕ホトトギスの鳴き声(旭)。
ホッチョウ トッテキタカ 〔動〕ホトトギスの鳴き声(西中)。
ホッチョ カケタカ 〔動〕ホトトギスの鳴き声(田戸)。
ホッチョ コケタカ 〔動〕ホトトギスの鳴き声(上葛川・玉置川)。
ホッチョ トケタカ 〔動〕ホトトギスの鳴き声(上湯川・今西)。
ホッチョ トッタカ 〔動〕ホトトギスの鳴き声(松柱・小坪瀬)
ホッチョ トットコ 〔動〕ホトトギスの鳴き声(重里)。
ホッチョン トケタカ 〔動〕ホトトギスの鳴き声(上湯川)。
ホッチョンドリ 〔動〕ホトトギス。 →ホトトギス
ボッツリ 〔漁〕魚篭[びく]。→ボウツリ
ホッテトッタカ 〔動〕ホトトギスの鳴き声(那知合)。
ポット 〔副〕ふと。
ホットラカス 〔他〕仕事に手をつけずにおく。投げ散らす。ホッタラカス、ホッチラカスとも。
ホッポ 〔植〕ホタルブクロ(那知合)。ホッポバナ、ハッポー、カッポーとも。
ホツボ 〔住〕ユルリの火心。ヒツボともいう(内原)。
ホッポバナ 〔植〕ホタルブクロ(松柱)。ホッポ、ハッポー、カッポーとも。
ホッポユリ 〔植〕ウバユリ
ホデ ①〔婚・食〕わらづと。婚礼のサケツリの祝儀の鯉を包んだり、山行きの漬物を包んだりした(上湯川・出谷・谷瀬)。松柱ではホウダイという。 ②〔食〕小麦稈[わら](ムギブル)を束ねて、上下を切り揃えて固く括[くく]り、あるいは金網にムギヅルをびっしり詰めて、これに素焼きにした鮎やアメノウオを串ごと挿して、ユルリの辺に吊るして保存する。この麦稈束がホデである。(小原・武蔵・小井)。田戸ではツト、神納川ではスドという。旭ではスボ。
ボテバラ 〔産〕妊婦の腹。
ボテフリ 〔交〕品物を担いで呼声をかけながら、売り歩く行商人。殊に魚の行商人。
ホトケサマ
(佛様)
〔信・葬〕お先祖様。先祖のことをホトケサマと呼ぶのは、一般の風であるが、律儀[りちぎ]な老人はミタマ(御魂)サマと呼ぶのが正しいという。
ホトケダナ
(佛棚)
〔信〕佛壇。ブツダンともいう(小坪瀬・出谷)。
ホトケノマ
(佛の間)
〔住・信〕ブツダンのある一番奥の小部屋。正式にはオタマヤ(ミタマヤ)というのだという人もある(旭字迫)。
ホトケマイリ
(佛参り)
〔婚〕嫁入りの時、ウラ(表)から入って、先ずお先祖様にお参りする(旭)。
ホトケノモリ
(佛の守り)
〔動〕鶺鴒(セキレイ)。シリフリドリともいう。ホトケサンの使いだからと子供でも捕らぬ(小坪瀬)。
ホトコロ 〔名〕ふところ。
ホトトギス
(時鳥)
〔動〕時鳥。鳴き声は上記の「ホッチョウトッテキタカ」以下参照。ホトトギスはモズに貸した借金のカタ(抵当)に包丁(ホウチョ)でも取って来いとて「ホッチョトッタカ」と鳴く。それでホトトギスが鳴き初めるとモズは居ない(松柱)。便所でホトトギスの初声を開いたら「ホトトギス 聞き初めと思うなよ きのうも おとといも竜田の森で開いたナムアビウンケンソワカ」と三唱する(松柱)。
ホトビル ①〔自〕水分を含んで膨れる。ほとじる。 ②〔他〕ホトバス、ホトビラカス、ホトバカス。
ボトボトニ 〔副〕ずぶ濡れに。
ホトリ 〔名〕ほとぼり。ぬくみ。「からだのホトリで着物が乾いた」。
ホナガ
(穂長)
〔植・年〕正月の飾り用のシダ(ウラジロ)(上湯川)。
ホボ ①〔植〕梢。ウレともいう。先端。 →ウレ ②〔林〕材木の梢寄りの部分。モトに対していう。ホタ(特にセチボタ)はホボからくべれば、モトキレルとて忌み、また逆にモトが残るという所もある。
ホボキ 〔林〕伐採して切り棄てた梢の部分(小山手)。
ホメク 〔自・他〕喚く。大声でわめいて知らせる。「アメヤスミ(雨休み)ヲホメク」(谷瀬・旭)。小山手・竹筒では、オメク。
ホモノ
(穂物)
〔農〕雑穀の総称。ホモノはゲシとハゲ(半夏生[はんげしょう])との間に播く(高津)。
ホヤ 〔名〕穴。うつろ。空洞。「この西瓜はホヤで食べでがない」。
ホラクル 〔他〕ほうる。投げやりにする。ほったらかす。ホカス。ホッタル。
ホリクチ
(墾り口)
〔農〕タブシン(共同開田)のシカケ(やりかけ)(谷瀬)。
ホリツケ 〔農〕山の斜面をえぐって田をホル(開墾する)こと。だからヒヤミズが湧いて困る(山天)。
ホリドイ
(彫り樋)
〔農・住〕柾目[まさめ]のとおった杉・桧の丸太にV字状またはU字状の刻み目を入れた樋。トイホリヨキで彫る(田戸)。底と両側に板を張った樋はハコドイ(箱樋)。
ホリヌキ
(堀抜き)
〔運〕(道路の)切通し(猿飼高森)。
ホリモノ
(掘り物)
〔食・植〕野生の塊根[かいこん]・球根類で掘って食物の足しにするもの。例えば、フド(フドイモ)、ウルネ(キカラスウリ)、トコロ、ヤマノイモ、オイモチ(ヒガンバナの根)、クズネ、ワラビネなど(各項参照)。米、ゴクモノ(雑穀類)に対して言う(上湯川)。
ホル ①(掘る)〔他〕穴やホタモノを掘る。 ②(墾る)〔他〕水田に開く。シンボリは新開田(各地)。道路を開くことにもいう(重里)。
ホロクニ 〔副〕十分に。
ホロセ 〔体〕麻疹[はしか](那知合)。
ポロッコ 〔名〕小突起。ぶつぶつ。いぼいぼ(旭)。
ホロロウツ 〔自・動〕(鳥が)砂遊びする。
ボンアゲ
(盆上げ)
〔年〕お精霊さんも送り出して、お盆の仕上げの日(竹筒)。
ホンイカダ
(本筏)
〔筏〕①三ハバ続いて下る場合、先頭の一ハバをホンイカダともサキハナという(宇宮原)。 ②モヤイイカダにした場合、真ん中に配して突き出した一ハバ。同じくサキハナともいう(宇宮原)。
ホンイモ
(本芋)
〔農・食〕里芋。 →ホイモ
ホンウル
(本閏)
〔暦・禁〕ウル(閏年)に2月の閏が重なる年をこういう。 →ウル(旭)。
ホンオドリ
(本踊り)
〔芸〕近隣の諸大字間で話し合って日取りを決めた大踊り(樫原・小原)。
ボンオドリ
(盆踊り)
〔年〕
ボンギョウジ
(盆行事)
〔年〕
ホングウジンジ
(本宮神事)
〔農・信〕熊野本宮(熊野坐神社)の4月15日の神事で、以前はこの日にノウシロダ(苗代田)に種をおろせば、早過ぎも遅過ぎもしないとした(上湯川寺垣内)。
ホンコ 〔村〕ムラカブ(村株)。共有林などの収益の配分に与かる昔からの家柄。大字の役職、祭祀その他に特権を有した。ホンコスウともいう。伝来の家名(ヤミョウ)を持つ。
ホンコスウ 〔村〕ホンコに同じ。瀧川筋では、特にこういう。
ホンザキ
(本先)
〔筏〕紀州の請川まで下って、そこで筏をモヤウ場合、一番先に突出する一ハバをいう(平谷・猿飼)。
ホンザツマ
(本薩摩)
〔農・食〕サツマ(甘藷)の一つ。白と赤(チュウアカ)がある(小原)。
ホンジゲ
(本地下)
〔村〕本在所。例えば迫西川では上番や湯ノ野では本番をホンジゲという。
ボンシバ
(盆柴)
〔年・植〕葉柄の赤い、大きなハネ(葉)のナッた(ついた)木。お盆に供えるので、この名がある。和名アカメガシワ(内原・谷垣内・竹筒・那知合・重里・上葛川)。上葛川ではカシワギとも。
ホンジャー 〔接〕それでは。
ホンジャースカ 〔接〕それですから。
ホンタカ
(本鷹)
〔動〕隼(上葛川)。
ホンタテブキ 〔住〕山小屋などの建て方の型。カタブキに対していう。(西中)。
ボンダナ
(盆棚)
〔年〕谷垣内の場合、旧7月13日に笹竹と里芋(葉、芋付き)とボンシバ(アカメガシワ)を立て掛け、またお膳の手前側に米と素麺をひとつまみずつ載せた輪切りの胡瓜を三つ、それぞれボンシバの葉を敷いて載せ、奥側には西瓜[すいか]でも玉蜀黍[とうもろこし]でも時節のものを一杯に供える。こうすることを「ボンダナ カザル」という。16日(オクリボン)まで、そのままにして、毎日飯や素麺を供える。16日には、胡瓜[きゅうり]だけボンシバの葉に包んで川ヘオクル。
ホンデ 〔接〕それで。
ホンデモ 〔接〕それでも。
ホンナラ 〔言・接〕それなら。
ボンニ 〔年〕お盆。(古-ぼに)(『全国方言集』)。
ホンノイモ 〔農〕里芋。マイモ。他数品種あり(上葛川)。
ボンノクボ 〔体〕うなじ。
ボンノハジマリ
(盆の始まり)
〔年〕7月13日(月後れなら8月)(今西)。
ボンハギ
(盆萩)
〔植・年〕盆花として赤く細い花の咲く萩をホトケダナに供える(出谷〕。
ホンバト
(本鳩)
〔動〕ツケバトともいう。「ツツッーツーツー」と鳴く(猿飼高森)。
ボンバナ
(盆花)
〔年・植〕お盆に供える花。特にオミナエシ(オミナベシ)のこと(松柱・上葛川)。
ボンボ 〔植〕木の実。
ホンボン
(本盆)
〔年〕
ホンバン
(本番)
〔年〕盆踊りの最後の晩で最も賑わう(重里)。
ホンヤ 〔族〕本家。インキョ(分家)に対していう。
ボンレイ
(盆礼)
〔年〕お盆の14~15日の挨拶交換。