「エ」

エイガ
(映画)
〔芸〕
エエマワリ
(家廻り)
〔動〕アオダイショウ(谷瀬)。
エイカンシュ 〔村〕叡感主か、地主。年貢赦免地となって生まれた語か。
エイヨウ 〔名〕栄養から発した語ながら、特に(贅沢になって)食物の好き嫌いを言って選り好みすることに用いる。「エイヨウ言わずに何でも食べれ」。(寧ろ、栄耀からきた語か。)
エカキ
(絵描き)
〔交〕よく来て、泊めてやると絵を措いてくれた。
エキリョウ
(生霊)
〔信〕生霊。シリョウ(死霊)に対していう。
エグイ 〔形〕①えぐい(味) ②根性が悪い。
エグイモ 〔農・植〕里芋の一品種。カブ(かしら)はエグくて、そのままではとても食えぬが、茹でてアワセ(あくを抜き)、小豆を混ぜて鍋や摺り鉢に入れて、摺小木で混ぜて潰して食べた。イグイモともいう。五百瀬などではアオヅルともいう。
エコヒキ 〔名〕えこひいき。
エシム 〔他〕嫉[そね]む(杉清)。
エズク 〔体・自〕嘔吐しそうになる。
エソ 〔漁〕魚釣りのための餌。「エソ掘っとけよー。」(平谷地区)。
エダ
(枝)
①〔林〕(立木の)節[ふし]、枝。 ②〔筏〕がノカワ(一本流し)の際、河流が2股に岐[わか]れていると、主流をミト、分流をエダと言い、エダを止めてミトを通す。これをキバナサスという(宇宮原)。 ③〔狩〕鹿などの股。四肢をヨツエダなどともいう(上葛川)。 ④ホンカワ(本川)あるいはオオカワ(大川)筋に対して支流筋をエダと呼ぶ。ホンカワ・オオカワは十津川本流のこと。「エダへ入りゃあ、人間もおっとりしとる」(小原)。
エダウチ
(枝打ち)
〔林〕植林した杉桧の下枝切り(西中・田戸)。
エダウチハシゴ
(枝打梯子)
〔林〕枝打ち用の枝梯子(田戸)。
エットノー 〔接〕そしてなあー(平谷地区)。
エップリ 〔体〕げっぷ(平谷地区)。
エテ
(得手)
①〔名〕得手、得意 ②〔名〕具合、エテが悪い。
エテコ 〔動〕猿の忌詞[いみことば]。
エドキャハン
(江戸脚絆)
〔衣〕キャハンの一種。フナシ(船頭)が着けた(竹筒)。
エドコ 〔住〕床の間(小坪瀬・出谷・谷垣内)。
エドル 〔自〕薄い紙の下に絵または文字を敷きその通りかくこと。敷き写し。
エナ 〔産〕胞衣。アトザンともいう。
エノゴ 〔体〕淋巴腺腫脹[しゅちょう]。 →イノゴ
エバミ
(餌喰み)
〔動〕鮎が川底の石についた苔を舐めること(五百瀬・田戸・小原・武蔵)。
エビ
(葡萄)
①〔植〕野葡萄の一種。有毒だといって食べぬ。エビカズラともいう(谷瀬・旭) ②〔動〕海老、川蝦(エビタモで捕った)。
エビサケル
(海老裂ける)
〔自〕サツマ(甘藷)など、よく煮ればエビの腹のようにひび割れることにいう(上葛川)。
エビタモ 〔漁〕川蝦[えび]を捕る目の細かい網(田戸)。
エビツ 〔植〕サルトリイバラ(七色・重里)。エベツとも。エビツイバラ、イビツ・イビツイバラなどと呼名多し。
エビッサマ
(恵比須様)
〔信〕ヘヤに祭る(今西)。 →エベッサマ
エビツバラ 〔植〕サルトリイバラ(松柱・谷垣内)。
エビラ 〔植〕椎茸を干すため、椎茸を入れた網箱を何段も重ねて下から炭火(今は石油)で暖める仕掛け(上葛川)。
エブリ ①〔農〕田植えの直前に水田を均らしてヒラタにする道具。永井のエブリには歯がなく、武蔵のエブリには歯が刻まれている。 ②〔製〕炭窯から炭を掻き出す道具(田戸)。
エブル 〔農・他〕田の面を均らす。通例はエブリサス。
エベスダイコクサン
(恵比須大黒様)
〔信〕百姓の神。福の神(竹筒・上湯川寺垣内)。上湯川寺垣内では、その供物を女の子がタバって食べると縁が遅いという。上葛川では、その供物を子どもに食べさせない。
エベスナエ
(恵比須苗)
〔農〕ウエシマイにヘヤのエベッサマに供える一束の糯米苗。ヘヤに祭る(重里・今西)。上葛川ではナワシロのモチ苗の最後の一掴みをとって(両親の揃った者がとればよい)エベスダイコクサンに供え、それをとっておいてセキカゼの時煎じて飲めば効くという。
エベヅ 〔植〕サルトリイバラ(重里・谷垣内・玉置川)。エビツとも。
エベッサマ
(恵比須様)
①〔信〕ヘヤに祭る。百姓の神。福の神。エベッサマといってもダイコクサンと一緒に祭っている所が多い。 ②〔婚〕結婚当夜は花嫁を「エベッサマに上げる」といって床入りしない。これをオアズケという(松柱・今西)。
エベツシバ 〔植〕サルトリイバラ(上湯川寺垣内・上葛川)。上葛川では、サンキライバラとも。
エベツバラ 〔植〕サルトリイバラ。
エホウサマ
(恵方様)
〔年〕①歳徳様。正月神(谷垣内)。 ②明きの方、恵方(小坪瀬)。
エホウダナ
(恵方棚)
〔年〕大晦日に特設する歳徳棚。天井の中央から吊るしてエホウに向けて歳徳様を祭る(上湯川寺垣内)。
エライ 〔形〕甚だしい。ひどい。
エン
(椽)
〔住〕縁側(谷瀬・宇宮原・内原・旭)。古い家では巾一間のものが特徴的、前面にコエンを付けたものが多い。一般にエンノという所が多いが、エンバシという所もある。
エンゲクソワルイ
(縁起糞悪い)
「そんなこと言うなよ。エンゲクソワルイ」。
エゲツナァ
エゲツナイ
〔形〕人情味がない。辛辣[しんらつ]な。エンゲツジャ。
エンコ 〔動〕猿の忌詞[いみことば]。エテコ。 〔注〕エンコボウシとも。
エンコマワシ
〔芸・信〕猿廻し。昔は牛のオリヤ(厩)で祈祷し、守り札を置いて行った。今でもオリヤの入口の柱に猿の掌を釘付けにしてある家がある(田戸)。
エンタ 〔植〕①サルスベリ(出谷)。 ②ヒメシャラ(田戸)。ネジに良い。
エンノ 〔住〕縁側をエンノと呼ぶ所が最も多い。古い家は一間巾。居住棟の前面全体につける。近年は畳を敷いて仕切り、子ども部屋などにしている家も多い。一部ではエンまたはエンバシという。
エンバシ 〔住〕縁側(宇宮原・内原栗平)。 エンともいう。 →エンノ
エンマワリ 〔動〕アオダイショウ(上野地)。