(58) 下図の恰好で櫂を使ふことを「引く」と云ふ。左下の姿勢が「漕ぐ」と云ふ。
「筏櫂」は、舟櫂に比して、狭く作ってある。下図二態は、いずれも筏の先を岩っ鼻から避けるための動作であり、左下方の「漕ぐ」姿勢は、流れの少ない淵などで、専ら下へ流すためである。櫂を固定させるために藤蔓の輪を筏わきに打ちつけたり、捻じ木の輪に差してゐる。