十津川探検 ~十津川言葉~
(九)助動詞の十津川言葉
(12)比況の助動詞の十津川言葉
(イ)比況の助動詞のつかい方
 a 彼のほおはリンゴのよう
 b 彼はまじめなよう
 c 彼のような人は学生の模範である
 上の下線を引いた言葉はすべて比況の助動詞である。
 a は他にたとえていう意味を表し、b は不確実な断定の意を表し、また c は例示に用いられている。
助動詞 未然 連用 終止 連体 仮定
う、に続く た、ある、なる、に続く 言いきる 時、こと、に続く ば、は省略する
飛ぶ ようだ だろ だっ

なら
正しい ようだ だろ だっ

なら
きれいな ようだ だろ だっ

なら
ようだ だろ だっ

なら
 仮定形は「ば」に連なるのがたてまえであるが「ようなら」と「ば」が省かれる。
(ロ)比況の助動詞の十津川言葉
 十津川に於ては「ようぢゃ」とつかい、活用は次のようになる。
助動詞 未然 連用 終止 連体 仮定
う、に続く た、なる、に続く 言いきる 時、こと、に続く ば、は省略する
飛ぶ ようぢゃ ぢゃろう ぢゃっ
ぢゃ
なら
正しい ようぢゃ ぢゃろう ぢゃっ
ぢゃ
なら
きれいな ようぢゃ ぢゃろう ぢゃっ
ぢゃ
なら
助詞 ようぢゃ ぢゃろう ぢゃっ
ぢゃ
なら
 十津川では終止形を「ようぢゃ」とつかうが、中には「ような」と連体形と混用する人もある。仮定形に於ても「ようなら」を「ようぢゃったら」という人もある。
 

十津川言葉へ