十津川探検 ~十津川言葉~
(九)助動詞の十津川言葉
(8)推量の助動詞の十津川言葉
(イ)推量の助動詞の正しいつかい方
 a 明日は雨降りであろ
 b 先生がお話されよう
 c 彼は旅行するらしい
 d 今年は実がなりますまい
 e 今日は字を書こ
 f さあでかけよう
 g どうやら雨になるらしい
 h つまらぬことは考えまい
 上の下線を引いた語はすべて推量の助動詞である。推量の助動詞は単に推量の意味を表すだけではない。
 上の言葉でわかる如く、a、b、c は単なる推量の助動詞であるが、d は打消と推量を兼ねた意味を表しているし、e と f とは強い意志を表している。又 g は推量して断定する意味を表し、h は打消の意味を含めた意志を表している。
 以上のようにいろいろな気持を表す時につかわれる語が推量の助動詞である。
 推量の助動詞は次のように活用する。
動詞 助動詞 未然 連用 終止 連体 仮定
う、に連なる た、なる、に続く 言いきる 時、こと、に続く ば、に続く
降る らしい らしかっ
らしく
らしい らしい らしけれ
よう よう よう
書こ
考え まい まい まい
(ロ)十津川に於ける推量の助動詞
 この推量の助動詞について十津川に於ては特別にとりたてて述べることはない。ただ「よう」が動詞や、助動詞につく時、又「らしく」が「ない」に連なる時、変化する。
 例 この仕事は骨がおれよう
   この仕事は骨がおりょう
   この仕事は骨がおれろう
先生がお話されよう
   先生がお話さりょう
   先生がお話されろう
雨が降るらしくない
   雨が降るらしゅうなあー
 

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