十津川探検 ~十津川言葉~
(九)助動詞の十津川言葉
(7)希望の助動詞の十津川言葉
(イ)希望の助動詞の正しいつかい方
   僕も行きたい
 上の「たい」は希望の助動詞である。動詞の未然形について希望の意味を表す。
動詞 助動詞 未然 連用 終止 連体 仮定
う、に連なる た、なる、に続く 言いきる 時、こと、に続く ば、に続く
行き たい たかろ たかっ
たく
たい たい たけれ
食べ たい たかろ たかっ
たく
たい たい たけれ
(ロ)十津川に於ける希望の助動詞のつかい方
 十津川では連用形が「なる」に連なる時音便で「とうなる」と云い、終止形及び連体形では「たい」と云わず「たあー」とつかう。又仮定形では「たけりゃー」となる。
 例 行きたくなる 行きとうなる
行きたい 行きたぁー
行きたい時がある 行きたぁー時んある
行きたければ行け 行きたけりゃー行け
(ハ)「たがる」と十津川言葉
 十津川に於ては希望の意味を表わす「たがる」という言葉を多くつかう。
 これは「たい」の語幹に「がる」という接尾語がついたものである。その活用は次の如くである。
  行きたがら 行きたがろ 未然形
行きたがっ   連用形
行きたがる   終止形
行きたがる時んある   連体形
行きたがりゃーつれて行け   仮定形
行きたがれよ   命令形
 希望の助動詞には命令形がないが、この「たがる」には命令形がある。
 

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