十津川探検 ~十津川言葉~
(九)助動詞の十津川言葉
(3)受身の助動詞の十津川言葉
(イ)受身の助動詞の正しいつかい方
   頭を打たれる
   人に顔を見られる
   字を書かせられる
 上の下線を引いた言葉は受身の助動詞である。受身の助動詞は動詞や使役の助動詞等の未然形について、他から動作を受ける意味を表わす言葉である。
 受身の助動詞は次の如く活用する。
動詞 助動詞 未然 連用 終止 連体 仮定 命令
よう、ない、に続く ます、た、に続く 言いきる 時、こと、に続く ば、に続く 命令の意味で言いきる
打た れる れる れる  れれ れよ
れろ
られる られ られ られる られる られれ られよ
られろ
書か せられる られ られ られる られる られれ られよ
られろ
(ロ)受身の助動詞が動詞に連なる場合の十津川言葉
 十津川に於ては未然形が「よう」に連なる時は「ろう」「りょう」となり「ない」に連なる時は、「ん」となる。又命令形に於ては、「れよ」とか「れろ」は「れー」とか「れーよ」とつかう。
 例 打たれよう 打たれろう 未然
  打たりょう 未然
見られない 見られん 未然
打たれれば 打たれりゃー 仮定
見られれば 見られりゃー 仮定
打たれよ 打たれー(よ) 命令
見られろ 見られー(よ) 命令
(ハ)受身の助動詞が使役の助動詞に連なる場合の十津川言葉
 受身の助動詞「られる」は使役の助動詞の未然形「せ」「させ」に連なることは前に述べたが、この場合に十津川に於ては「せ」は「さ」に変化する。そして動詞につく時と同様に語尾が変化する。
 例 書かせられよう 書かされろう 未然
  書かさりょう 未然
書かせられない 書かされん 未然
書かせられた 書かされた 連用
書かせられる 書かされる時 終止
書かせられる時 書かされる時 連体
書かせられれば 書かされりゃー 仮定
書かせられよ(ろ) 書かされー(よ) 命令
 

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