十津川探検 ~十津川言葉~
(四)形容動詞の十津川言葉
(1)形容動詞の正しいつかい方
  形容動詞というのは動詞に似た活用を以っていて、形容詞と同じく事物の性質や状態を述べる言葉である。
 例えば「静かだ」とか「頑固だ」というような言葉である。
 今「静かだ」という言葉のつかい方をしらべてみると
   ここは静かだろ
   あそこは静かだっ
   今日は静かである
   町を過ぎると静かになった
   今夜は静かだ
   静かな時はよく勉強できる
   静かならば勉強しやすい
 上のように「静かだ」という言葉は語幹が「静か」で語尾がいろいろに活用する。然し形容動詞にも命令形はない。
 これを表にしてみると次の如くである。
形容動詞 語幹 未然 連用 終止 連体 仮定
う、に続く た、ある、なる、に続く 言いきる 時、こと、に続く ば、に続く
静かだ しずか だろ だっ

なら
 形容動詞には「こんなだ」「そんなだ」「あんなだ」「どんなだ」「同じだ」等特別な言葉がある。
 これを表にしてみると
形容動詞 語幹 未然 連用 終止 連体 仮定
う、にに続く た、ある、なる、に連なる 言いきる 時、こと、に続く ば、に連なる
こんなだ こんな だろ だっ

なら
同じだ おなじ だろ だっ

なら
 上の表を見ると連体形が体言(時・こと)に連なる時「こんなな時」「同じな時」といわずに語幹から直ちに「こんな時」「同じ時」という。これが普通の形容動詞と異なる点である。然し「ので」「のに」に連なる時は「こんななのでよかったら」とか「同じなのに」等つかわれることがある。
 

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