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ずいぶん昔のことである。ある夏の土用時分に、良い天気が続いた。川の水はうんと少なくなり、川水がくさってきた。(藻がついてきた)どうやらごうらが住みついたらしいと、村人が言いだした。
もともと、折立山崎の川向こうの笠成島の大きな石の下には、ごうらが住んでいるといわれていた。
折立山崎の中元に鉄四郎という者がいた。鉄四郎は天気続きの昼さがり、牛に水浴びさせようと思い立ち川へ連れていった。
牛を川に入れ、体を洗い、しばらく泳がせていた。やがて牛を川から上げ、川岸にある椿の木に牛をつないで、木陰で休んでいた。
ひとねむりして、ふと気がつくと、ごうらが川から上がってきて、牛の足を引っぱっている。こいつはおもしろい。ごうらのやつ、牛を川の中へ引き込もうとしているのだな。しばらく様子を見ていてやれ。
ごうらのやつ、この牛ぐらいは川へ引っぱり込めるわいと思っているらしい。ごうらはいっしょうけんめいに引っぱっている。一方の牛は引かれまいとがんばっている。
しばらく戦いは続いた。やがて、様子が変わってきた。牛の力が強かったのか、あまりの暑さにごうらがまいったのか、ごうらは、力が尽きて倒れそうになった。鉄四郎は、すばやくかけ寄り、ごうらを生けどりにしたということじゃ。 |
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