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昔、吉備の国の大臣が、中国へ渡ったときのことである。おおぜいの前で、何やらむずかしい書きものを読まなければならなくなった。もともと、中国は漢字漢文の国なので、これはえらいことになったと、たいへん心配したのであった。
いよいよ、その朝がきた。大臣は中国の偉い人の前に出て、仕方なく書きものを広げたのだった。
すると、天井から一匹の蜘蛛が、スーッと降りて来て、文字の上を這うのだった。大臣はその蜘蛛の這うように文字を追って読んだら、きちんと読むことができたのであった。
蜘蛛は、絶体絶命の大臣を見事に救ったのだというのである。この故事から朝の蜘蛛は吉・福をもたらすもので、決して殺してはならぬというのであると。 |
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