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昔、野広瀬[のびろせ]に小さな谷があっての。
その谷には、丸木橋がかかっておった。
村の人が川津へ用に出るには、どうしてもその谷を渡らなあ行けなんだのじゃ。
ところが、この谷を子供を産んで日数の少ない女が通ると、必ず病気になるなど良くないことが起こったそうじゃ。
そんなことがあまりにも続くので、困った村人達はうらなってもろうたんじゃと。
そうしたら、
「わしは、親の谷に住んでいた白龍じゃ。みんなを驚かせるので姿は見せられないが、親の谷(大字小井)が荒れて住みにくくなり、住み良い所を探してここまで来たのじゃ。どうぞ、ここで祀[まつ]ってくれ、祀ってくれれば女を守る神になろう。」
と、言うたそうじゃ。
そこで村の衆は、道のかたわらに川原石を立てて、白龍さんを祭り、通る人ごとに花や食べ物をお供えして拝んでおった。
それ以来、野広瀬では、お産で死ぬ人もなく安産の神様と崇[あが]められたのじゃ。
それを伝え聞いた遠くの村からも、お参りに来る人が絶えなかったということじゃ。
白龍さんは、いつしか「はくらんさん」と呼ばれ、ダムで水没後は、川津に祀られているんじゃよ。 |
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