十津川探検 ~十津川郷の昔話~
西村後ろの苦竹西村後ろの苦竹(音声ガイド)
   山手に西村という家がある。その後ろの石がきに、今も苦竹の一群が茂っている。
 ずっと、むかしの話である。椋尾[むくりょう]に、椋尾長[おさ]という強力[ごうりき]の弓の名人がいた。あるとき、椋尾長は、ちょっとしたいたずら心から、椋尾峯[みね]の殿井のぞきから、西村の石垣めがけて苦竹の矢を放った。矢はみごとに石垣にささった。矢は生の苦竹であった。なぜか、そのままにしてあった矢から、不思議なことに芽が出てきたという。
 その後、この竹は増えもせず、消えもせず、毎年数本の竹が生えているという。生えてきた竹がじゃまになれば切るが、根絶えがせん。不思議なことだ、と今に語り伝えられている。
話者   山手   栗栖 光春
記録   後木 隼一

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