|
|
|
|
|
今から百八十年ほどまえ、出谷川の上流に露谷嘉伝治[つゆだにかでんじ]というりょうしがいた。
ある日、嘉伝治は、果無山[はてなしやま]をこえ、熊野八鬼尾谷[やきおだに]の奥のねじ滝のそばのほらあなの中で、鏡にむかって長い黒かみをといている山女郎に出あった。嘉伝治は、孫の代まで、この山にはりょうにはいらないから、とちかって、にげ帰ったという。
何十年もたって、嘉伝治のひ孫桂房次郎[かつらふさじろう]は、言い伝えなんか信じられるかと、ねじ滝へ一人でりょうに行って、山女郎に出あった。
かみふりみだして追ってくる山女郎から、必死でにげ帰った房次郎は、それ以後、てっぽうを人にゆずり、りょうをぷっつりやめたという。 |
|
|
|
|
|
|
|
|
|