天皇の像を置きて最敬礼して買ひを勧め、余儀なく買はしめられし人、甚だ多かりき。証明書の怪しげなるを示し、モグリ新聞社員來りて、広告賛助金取りて去る。奈良県中、または全國の知名または土地功労者をまとめる本として、人間の弱点をつき、金をせしめる者もあった。そして、講談もどきの部厚の書を学校などに売りつける者など。今は、全然なしとは云へずも、風を断ったことの多きを覚えてゐる。遍路の札賣り、乞食画師、書の短冊賣りなどありしも、その書は大ならずと思ふ。