十津川探検 ~瀞洞夜話~
一種の香具師の來りしこと
   幼年時、よく町より地方の有力者と見ると來りたるものなり。一例にヤキツギと初めての懐中電灯なり。實験して後、里人を集めて實験して売り、また店に卸す。考へてみると、ニスのシケラックを熱して充填物として水に漬ける。子どもだましの如し。懐中電灯は珍しきまま、そして高いまま。父のみ男ひて、我引き出しの中にて、晝も夜もチョイチョイ点滅し、(そのうち何処かへ)失せり。

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