初めて単線の電話が駐在所に架せられしとき、その工夫ら横柄で威張り散らし、他人を強く不平せしめしものなり。
官僚の天下の頃は工夫でも、かくの如しか。向井山にてありし伊勢の人石田の如きは、目を光らせて、その横暴を怒ってゐた。工夫は、線を用ひ、図をあしらひ我家に手拭い架けをくれたり。差別も甚だしかった。