我小学校の頃、下葛川山項に赤き旗見え、この測量のこと聞きけり。今は測量機具も人知も進み難事でないとするも、全國よくも為しつるものなりと感心する。最近の電源開發の技術員に聞くと、やはり測量の体験、根氣よき實地が大切と云ふ。
當時の話。1ケ月も上葛川山項に籠もっても測量出來ず、またその頃、何万円と云ふ舶來のものなるが、土地の人、仕事に出でて之を肩にて恐る恐る運ぶ。ある時、運搬中、道悪きため落とせしに、いたく叱りまくられ慄きたりと云ふ。當時の軍國と今の日本の民主主義を、人間を比すると面白い。