大力の人ありて、天誅の騒動のとき、十津川退去の中山侍從の駕籠、笠捨越えのとき、一端に石を括り、一人にて担ぎ行きしと云ふこと、北村源吉老人に聞く。そのとき、駕籠の隙より見ると、人の汗して上り行くに引き代へて、中にてナシを喰ひをりしと云ふ。以て、當時の様を窺ふに足る。天誅組の権威殘りて、天誅組の醸す後の難を。
注-
・この項はこれで終わっている。