十津川探検 ~瀞洞夜話~
盆踊りのこと
   今も行はれているが、傾向としては特定の「音頭とり」を好まなくなりそうだ。各自自由に酒を飲み、自由に踊る様になりゆくらし。そして酒、肴もニワカの類も段々影薄くなるらしい。
 然し、踊りは重大な意味あり。昔は追善踊りあり。ともかく1年1度の老若男女一装の風をして、歴史的なことも含ませるなどして踊りしなり。無礼講では、このときこそ羽目を外して唄ひ且つ踊り狂ふなり。ニワカは中入り後多く出で、人を笑はし、隠し芸出づるなど、朝まで踊り樂しむなり。主に青年が中心となり相企て相募りて、娘達も晴れ着にて舞扇にて踊る。老いも童心にかへり、若者は結婚の相手を見出す訳である。
    おどりよう 見に來て おどらぬ奴は〔ヨー〕
    夜食喰ひの ソーラエ 曲者か
    おどりは ヨイショコラ ヨイショコラ
    木津呂一番 玉置口二番 田戸三番 船どころ
    盆にやよう しょらしょら なんば(タウモロコシ)の中でヨー
    よいしょ コラコラ なんば動くな
    そうらエ 人が知る おどりはよいしょ コラコラ
鈴木主水の口説もあり。
    有田のさあーよ ドッコイコラ こうりゃ
    みかんのさよ 継木の都合なんじゃいの
    吉田通ればよう 二階から招くよう
    而も鹿の子の□を 振り袖で
 (盆踊りは)大分昔から、否、大昔より行はれてゐたらしい。ところにより皆違ふか、けだし唄も形式も全国的にはよく似たものと思ふ。
    シチリキシャンリキ シャンリキ シャッポンキー
              (これは何か意味ありそうなり。)
    あまり長いので 踊り子にゃーア 毒じゃよう
    ここで切り上げてエー 品かよらー
 昔は寄付のことなど水増しして貼り出し、夜食があって、その他もありて賑はったものである。

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