十津川探検 ~瀞洞夜話~
耳石のこと、耳島様の話
   耳の病む者、またはその他の病でも、西方に聳える山の項上に耳島祠あり。古木あり。傳説あり。熊野灘も時には見えるべし。そこに自然石の球状の多数穴ある石は、信仰の対象となる。人は之になるべく自然に穴の通りたるを捧げて、疾の癒えんことを祈る。昔よりのこと(多分、役の小角と関係あるらしく-資料は遺憾ながら明治5年の改変で寺の一切をなくしたれば知るべきよしもない。)また方1尺にも足らぬ鳥居〔鉄製〕を献ず。永年のこととて、石の数も鳥居の数も堆高く積もる。70年ほど前、あまりに高しとて中腹に移せしに、ご利益なしと元の項上に返せしことあり。

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