十津川探検 ~瀞洞夜話~
北山川上流Y家の勢力
   140年も前のことならん。現在の三重県側に非常に勢力ある人あり。(今も財産家)。ある夜のこと、「俺はシビ喰い度うなった」と云へば、傍らの若人は「ヨシ」と二つ返事で徒歩して木之本に至りて一番ドリ(鶏)の鳴くころ帰りしと云ふ。また妾など具して川遊びせしも、山林の植え込みにも努力家で、彼の穿ちし草履を狼が咬へて送って來たと云ふ。但し、これも宣傳と思ふが、とにかく勢力ありしと云ふ。
 また絶対の権力をふるい、ある時12~3歳の三郎が、正月の鏡餅を盗んだとて怒り、簀巻にして川へ投じ殺せしと云ふ。溺死の多いことを之の祟りとなす。土俗に云へり。一方では節約の経済観を有して下民を睥睨したものであらう。
注- ・重複記事である。

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