十津川探検 ~瀞洞夜話~
椎茸のこと
   椎茸は、昔の如く小道を登ったり下ったりした時代から、今も有力な財源に変はりない。山林の杉檜は徒らに地を求め、人手を煩はして何十年後の収入になる。昔のことを考へると之に精進した人々財を作り、山林をまとめ悠然としてをったもの、そして以下の人々も之を□ってゐたに違ひなく、利を得たに違ひない。
 (椎茸は)軽く肩にのり、山脈を縦走して大阪、堺に持ち出して賣る。価はよく、結構採算とれしものなり。栽培法も10年前辺りより改良され、菌を樫状の木に移して打ち込むもの、液状にして注入するもの、自然の関係と榾(ホタ)の堆み方など、大分進歩してゐる。全國でもなかなか盛んであり、静岡県、群馬県、宮崎県、和歌山県その他、大量生産されるに至った。

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