|
|
|
|
|
我の本家に浄瑠璃三味線あり。台本もあったことを知ってゐる。盆などの行事外に雨の日、雪の日など集まりて若人はしきりに唸ったと云ふことを聞いた。不便極まる何一つ娯樂のない、然も貧乏、日も定まらぬに、こんな余裕を見出し、心豊かに過ごしたと云ふ昔の人の心根。貧乏すれど心に余裕をもって、ここに団欒の時を作ったとは感に堪へない。今の生活を豊かにする意慾が窺はれる。そして盆のなかでも、武蔵より來たりし儒者高橋管二を師として学んだ学究の態度、なお墓までたて、その終わりまで看取った弟子の先人の態度は確かに感銘する。負けてはならぬ現在人。 |
|
|
|
|
|
|