巻き煙草、刻みと云ふものがあるにはあったが、ここ20年頃は専ら(主として男)煙管(金属管と作製があった)で喫む傍ら、椿の葉を第一として樫の葉など用ひたり。火に焙りたるを良しとして、円錐状に丸めて漏斗の部へ刻めるを詰めて火を点じ、反対側より之を喫む。歯黒くなり、唇同じくなるも、一種の味ありて、母は専ら用ひたり。
熊野地やキセルなくとも須磨の浦
若葉くわええて口は敦盛
との歌あり。
注-
・『熊野地や……』を『十津川や……』と言う人もあったそうだ。