十津川探検 ~瀞洞夜話~
動物捕獲法〔川〕〔山〕
   エビなどは糠など煮て誘ひよせ、エビタモにてすくひ捕るなり。大したことなく、この地にて我生まれて1~2回のみ少し捕りし。但し、9歳位の時には、瀞の下手一隅に溝を作り、ザルを置きて遮断し、火光をザルの裏に置き、小エビを沢山捕りしことあり。これは邦吉と云ふ伯父と一緒であった。今は之も聞かず。
 メジロなどの小鳥を捕る時に馴れたるオトリの籠を樹間に置き、一部にトリモチを付したる小棒を添へ、寄り來る山のメジロは捕らへらるるなり。落とし穴は昔のことで、明治20年位のもの、井戸に似たるを見たるのみなり。それ以前はかなり良い方法なりしならん。但し、たまたまの樂しみなりしか。
 鹿笛と云ふもの、田戸中家にて見しことあり。昔は盛んに用ひられし如きも、今は殆ど用ひられず。之にて發情期の雌の声を装ひ、近寄り來るを撃ちて捕りしよし。これの皮の部分は、ガマの皮なりと云ふ。

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