我幼き頃のこと、筏の上、河岸などに『奉納 金比羅大権現 當年何才 何ドシの男』と削れる表へ墨痕淋瀝に記されたる木材を見たりき。これ願事ある人、上流に流しおけば、筏夫、舟夫その他も利益のことに、何処にかかるとも次から次へ流し下し、遂には四國舟に積まれて金刀毘羅神社へ着くと云ふ。
注-
金比羅神社への献木「コンピラさんのアゲキ」と言い、昔はよくやった。2、3年前にも上流から流れて來た。