十津川探検 ~瀞洞夜話~
時局漫談
   時局漫談と云ふか、一人芝居と云ふか、約17、8年も前より数年前まで來たる。尤もなるは大阪の板橋明善、外にもあり。馴れるに從ひ、怪しげな写真入りウラメシャ、ムギメシャなど書き入れたるポスター前地より送りおき、贔屓の人に宿泊も託し、朝早くより山の彼方よりチャルメラを吹いて來たり。泊まり、花にて一人興行、家人には早朝の食膳を頼み置き,人起きぬ間に去りて次に行く、明善が特徴なりき。最近は來ず。川島芳子、人間魚雷や戦爭もの、バラバラ事件とりとめなき事ばかり話し、一人芝居して変装、人を喜ばしたり。
 その後、浪曲(戦中後)、田舎芝居(顔見せ)、映画となる(競爭あり)。
注- ・花-思い思いの志
・板橋明善-この人は夜のうちに朝食を作っておいて貰って、家人が寝ているうちに食べて出立し、夜の明ける頃には向こうへ着いていた。この人は10何年か毎年続けて來村した。

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