十津川探検 ~瀞洞夜話~
漫才のこと
   今から24、5年前の頃、よく漫才(昔流の)が來たもので、娯樂としては相当の贔屓を受けた。
 ポンポンと鼓、三味線、胡弓、装いも派手に、中には歯のない老人も括りつけの歯で、白粉で誤魔化し………忠臣蔵は三段目………枯れ木も山の賑ひか、トンボ、テフテフも鳥の内………など節おもしろく、又、鎧らしきを着て武士を装い剣舞(傍らに詩吟と拍子木)するなど、又は手品を混ぜるものあり。井田の幸之助漫才の名、最後に賣れ、そして消滅してしまった。
(32、5、3)
注- ・井田-旧井田は現在の和歌山県紀宝町井田
・幸之助漫才-なかなか上手な漫才であった

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