十津川探検 ~瀞洞夜話~
三國にまたがる聲やほととぎす
   プロペラ船ガールが、安政の大地震の節、墜落して出來たという辷り岩はもちろん出鱈目だ。また、三縣接触のあたり、
三國にまたがる聲やほととぎす
 と云ふ句がある旨説明するが、これは正確でない。むしろ「三縣に」がよろしい。國界から言へば、こちらは大和であり、向かふは両岸とも紀州領である。作者は30数年前三重県知事である島井烏水の詠んだもので、「三國に」と唄ったのがそのまま踏襲されて今日に至るなり。

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