昔、子供を親たちがすかすに、「狼にかたげらるるぞ」と云ひたるよし。實際なる話なりと大伯父(東藤二郎、84歳没)が云ひたり。
或る日のこと、一匹の狼が鹿の肢を己が首にふりかけ、運び去るを見たる由なり。