余、かつて水源地に至る。蕗の葉の間より水流出づる。初めは小さいので気付かざりしも、手に何か附いたのでよく見ると、体長1cm位の小さな蛭ではないか。葉の間に手を入れると、赤外線かを感ずるか、触れもせぬに何育もの蛭が一斉に頭を傾けて吸ひつかうとする。氣味悪いこと甚だし。昔は、この里近くにも大きい方の蛭がゐたさうだが、今は殆ど見られない。
然し、白谷山など深山にはまだまだゐるよしにて、例の如く一斉に頭を傾け、吸ひかかって來るよし。