十津川探検 ~瀞洞夜話~
當地、高壓電流にての鰻とりの初め
   之は断然、余である。今でも寫眞あり。新聞を見てゐると宇治川にて某が何か利用して川魚を捕ってゐる。巡査が之を見、検分せしに毒にはあらで、電氣を利しての事であった。處罰する訳には参らぬ。空しく帰ったと云ふ。
 そこで余も苦心の末、感應コイルにて之を作り、凹凸のない平凡な川中の一石に之を通じたるに、大いなる鰻二匹飛び出し、思ひがけないことに驚いたものであった。中学二年の夏休みも終わり、田辺に帰ったが(電流利用の鰻とりは)、間もなく世の中に現れ、北山方面にては1日30〆も捕ったと云ふ。然しこれは間もなく使用禁止となってしまった。

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