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余、7、8歳の頃か、家の入口近くの道に立ち、項上の天を仰ぎしに、このハレー彗星を見たり。ホウキ星とも云ふ如く、ホウキ形に頭は小さく、尾は太く、怪奇な姿を幾晩か位置を変へて出てゐたと思ふ。 |
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注- |
ハレー彗星は、76・03年の周期で楕円軌道を公転。1910年(明治43年)には地球が尾の中を通過するほど接近し、社会的にも騒がれた。中森瀞八郎氏が生まれたのは1905年(明治38年)であるから、5歳の時に田戸の里から狭い空を仰ぎ見たのであろう。彼に付き添っていた家族は、恐怖感をもって眺めたことと思う。ハレー彗星は、最近では、1986年に地球に接近した。 |
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