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余、10歳前後の頃、旱天にして雨降らざる時、スズキ追ひを為す。村中休み、御馳走。酒、鉄砲その他4斗樽(水中に入れ、之を叩く音、波はかなりの距離に達すべし。父の發明なり。)を持ち、きらびやかな風にして全部の舟を動員し、東野の下あたりより發砲、唄声、いろいろの騒音をたて、飲食にアイアイたる氣分にて下る。一方スズキは、新宮方面より登り來る魚にして、川魚にしては鯉を凌ぐ。尾のヒレは人を傷つける危険箇所なり。而して旱天の時に上り來、音を忌むと云ふ故に、下瀞の入口あたりにセギを打ち、大きなモドリを入れ置く。この行事には、その他ナワアミを川の両岸に沿ひ舟にて引く。愈々半日がかりで下瀞入口に至り、モドリを揚げる。入ってゐたスズキを調理して、飲んで大騒ぎ。児女等は喰ふて楽しく一日を過ごしたものである。それも何時とはなく消えてしまった。 |
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注- |
・スズキ追い(雨乞行事) 川伏(水難防止祈願) |
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スズキ-二尺位のものもいて、秋、ヤナに入ったこともあり、エビで釣ったこともある。今でも木津呂あたりまでは、ちょいちょい來る。ススキと呼ぶのが普通である。 |
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・スズキは尾鰭もそうだが、背鰭でパシッとハチラレルと棘のようになっておって、手が切れることがある。 |
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・セギ-セギは堰である。 |
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・スズキは、主に煮て食べた。 |
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