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多分、現當主の祖父ならん。庄屋様の上、あんな封建的なる地、己が有する基□の権力は、秋霜烈日の如し。人の生殺与奪も朝飯前であったそうな。例えば、或る冬の夜、炬燵に暖を村の青年達と共にとりありしに、突然、「ワレラ、オレャ シビ喰ヒトウナッタ」と云ひしに、若人は間髪を入れず、「ヨシ、キノモトデ カウテコウ」と、急に飛び出し、小松へ來た時、一番ドリの声を聞きし由なり。現今と比して感あり。
又、ある正月の頃、第三男になる15、6の児が神に供へし鏡餅を無断で喰ひしとて激怒し、簀巻にして川へ投棄し殺したりと云ふ。又、時折愛妾を具して、馳走・川遊び、村中これに從ひしと云ふ。然し一面よく働き、杉植に1人して行きたりと云ふ。戻りには、狼が草履片一方を街へて迎へに來たと云ふ。(七色山口家の蛇の詰の類なり。) |
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注- |
・(2)話の「開けずの長持ち」・(185)話の「北山川上流Y家の勢力」を参照のこと。 |
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・山口家は紀州北山村七色の旧家として知られる。下北山村桑原の稲荷社境内に同家奉納の石灯籠あり。池原の倉谷家の姻戚。 |
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・折立、笹本家の伝説参照のこと-同家のお婆さんは、白蛇が家のハタ(傍ら)におったのを祭りソメてから、家が一気に盛んになったという伝えがある。
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