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我々の幼時(明治44年頃)は、ヒルは大分生息してゐた。第一、雨の降る日、山道を歩いてゐると、必ず何尾かのコウガイヒルの赤黄色の長い体を發見した。
次に、人の話を総合しても、又それより10数年を経てからも吸血ヒルが水溜まりなどに棲息してゐ、害を与へたと云ふ事も開いた。
或る人の曰く、白谷山中の渓谷を通った時、足元の水溜まりの辺りにおった無数のヒルが一個の触手を動かす如く、ザァーと音を立てるかと思ふばかり、その人目がけて動いて來たと云ふ。音が出れば、それほどでもなからうが、無音であるから気味悪いに違ひない。
但し、今でも白谷には存在するらし。 |
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注- |
・ヒルのことを(田戸では)ビルと言う人が多い。 |
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・白谷-白谷は芦廼瀬川の源流で、その左側一体は上葛川領に属する。 |
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