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余、21歳の頃、冬の一日、銃を肩にして田戸部落の東瑞奥之谷を下る。陽は既に餔である。石を踏み返して轉びたり。ふと見ると、砂岩様の切取殘口の破片多くあり。其一つの表面に異様なものを發見せり。貝の化石らし。重きを忍びて持ち帰り、あまりの重きに堪へかねて、槌を借りて不要分を叩き割り漸くに家に帰り保存す。〔何十万年、何百万年前は河か〕
鉱山地質の学者に見せしに、或いは三角介と云ひ、又京大あたりではアンモナイトなりと云ふ。約700万年前と云ふ。いずれにしても、この地における化石の發見は、之を以て矯矢とし、参考になることを得たり。化石の採取は、余はじめてなり。 |
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注- |
・後に、「我採取せる當地初の化石」と題した重複記事がある。 |
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・奥之谷-田戸の上ミ約百間で北山川に注ぐ支谷。 |
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